Z世代の視点で見る日本と韓国の職場環境と福利厚生

現代の就職市場において、日本と韓国に共通する悩みが浮かび上がっています。それは「新卒者の早期離職」という課題です。なぜ若者達は早期に転職するのか?そして、両国の企業はどのように対応しているのか?本記事では、日本と韓国それぞれの視点からその背後にある要因を探っていきます!

※韓国ではMZ世代(M世代+Z世代)という表現が多用され、引用記事内ではMZ世代という言葉が使われていますが、本記事では若者(青年層)を表す言葉として「Z世代」を用い統一しています。

なぜ早期離職?~Z世代が変える仕事観~

引用元:【調査発表】「新人・若手の早期離職に関する実態調査」の結果を発表|プレスリリース| 人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ (recruit-ms.co.jp)

日本でも韓国でも、採用市場で課題となっているのが「新卒採用者の早期離職」です。自らのキャリアを形成するために転職することが当たり前になり、今や3人に1人の新卒者が3年以内に辞めると言われています。その背景には、最近の若者達(=Z世代)の「仕事への価値観の変化」が関係しているようです。日本で行われた「新人・若手の早期離職に関する実態調査(実施:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)」によると、退職理由の上位は労働時間や休日の取りやすさなどを示す「労働環境・条件」がよくないこと。また、離職を想起した理由は「仕事にやりがい・意義を感じない」、「自分のやりたい仕事ができない」の現業務に関する選択肢が上位を占めています。これは、「プライベートの充実や自分自身のやりがいを含めた自己の幸福追求がより叶いやすい職場」を選ぶ傾向が高まっていることを示唆しています。

また、韓国統計庁が今年8月に公開した「青年の意識変化」資料においても、仕事と家庭のバランスが最も重要だと考える青年の比重が大幅に増加しました。日韓ともにZ世代の中で、仕事と家庭のバランスを重視する意識が増加しており、これが早期離職に繋がっていると言えます。韓国では大手企業に次ぐ人気職種の公務員ですら業務やストレスにより退社率が上昇している状況から、「ウォラベル(仕事と生活のバランス)」の重要性が高まっていることが分かります。

日韓両企業が行っている取組み

早期退職防止のため、日本と韓国の企業は入社前の体験プログラムを充実させ、就業後のミスマッチ低減に取り組んでいます。

日本の企業では、最近はミスマッチを減らすために入社前にインターンや社内見学を行う等を徹底しています。また、社員との座談会やオフィスツアーを通じて会社の雰囲気を感じてもらう機会を増やしている傾向にあります。新入社員のニーズに合わせて週休3日制を導入しているところまであるそうです。

働き方の選択肢を広げることで、個々の事情に合わせた勤務ができるよう工夫している事が伺えますね。

韓国企業の福利厚生

韓国企業の福利厚生は、日本企業のものとどう違うのでしょうか?次は、韓国企業の福利厚生制度について詳しく見ていきたいと思います。まず、上記のとおり韓国を代表する企業の福利厚生を紹介します。今回は、韓国人大学生が入社したい企業ランキング2023年版の中から上位3つを取り上げたいと思います。

こちらでは紹介しきれませんでしたが、韓国の企業でも日本企業の多くが導入しているフレックス勤務や自己開発費の支援、育休産休支援制度は整っており、無料の社内食堂は勿論のこと、社内フィットネスやリゾート休暇まで制度として導入されていて、サポートが行き届いていることが伺えます。

特に、配偶者や家族の健康管理にかかる費用を会社が支援する「家族支援制度」は、家族を大切にする儒教文化が根づいている韓国特有の制度なのかもしれません。過去の記事でも、韓国の福利厚生について紹介しています。ぜひこちらもチェックしてみてください!

韓国学生が望む働き方と福利厚生 – 韓国人採用ナビ (bwell.jp)

採用ページから読み解く!韓国BIG4の福利厚生 – 韓国人採用ナビ (bwell.jp)

グレードアップ?!Z世代向けカスタマイズ・ユニーク福利厚生

引用元:「MZ Snipes Fintech Unique Benefits」 10 out 9 Fintech従業員世代MZ – Financial News (fnnews.com)

上記の調査からもわかるように、韓国では、ウォラベル(WLB:ワークライフバランス)を重視する青年の割合は着実に増加しています。

そんな青年たちの認識変化に合わせて、企業は離職率の削減と人材獲得のために福利厚生制度の充実に向けて奮闘中です。最近は職員からの投票をもとに、Z世代社員のニーズに合った福利厚生制度を導入する「Z世代カスタマイズ福祉」を多くの企業が導入し始めています。特に離職が頻繁なIT業界では、ユニークな福利厚生制度で差別化をする動きも強まっているようです。最近急成長しているスタートアップ企業では、種類豊富なドリンク、スナックをはじめ、靴下や歯ブラシなど生必需品を無料で提供する社内コンビニを設置しています。他の企業の事例を見ても、リゾート地での遠隔勤務や社内無料サロン、シェフによる高級ビュッフェ(社内食堂)の導入など、働く魅力を感じさせる工夫が増えています。入社後も長く働き続けたいという意欲を引き出すために、企業は様々な工夫を凝らしています。

引用元:「仕事をしっかりやらせて」…最近では、IT業界では従業員の散髪まで行われています (sbs.co.kr) 動画内(スクリーンショット)

まとめ

いかがでしたか。

現代の日韓の就職市場では、早期離職が共通の問題となっています。両国で働く若者たちの価値観の変化やワークライフバランスへの重視が、企業に新たな課題を提示しています。一方で、企業はこれに対応すべく、ユニークで柔軟な福利厚生制度を導入し、新卒者の満足度向上と離職率の低減を目指しています。日本企業の皆様、韓国人材を採用する際の参考にしてみてください!

参考文献

【調査発表】「新人・若手の早期離職に関する実態調査」の結果を発表|プレスリリース| 人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ (recruit-ms.co.jp)

MZ世代を魅惑するユニークなスタートアップの福利厚生(fintechtimes.co.kr)

「MZ Snipes Fintech Unique Benefits」 10 out 9 Fintech従業員世代MZ – Financial News (fnnews.com)

「仕事もっと頑張ってね」…最近、IT業界では従業員の散髪まで (sbs.co.kr)