日本企業における韓国人採用は増加の一途を辿っていますが、彼らの特性や価値観を理解することなく日本人と同様の基準で採用を進めてしまうと、優秀な人材を見逃すリスクがあります。
本記事では、優秀な韓国人材が採用プロセスにおいてどのような企業に魅力を感じ、どのようなポイントで不安を感じやすいかを、採用フローに沿ってご紹介します。採用活動に役立てていただければ幸いです。
1.韓国人学生に聞く「入社意思を高める要素」は?
出典:求職者 就活中の「これ」にうんざり[KB国民銀行グッドジョブ]
韓国の就職情報サイト「キャッチ」が韓国人学生1046人を対象に行った調査によると、入社意志を高める要素として「明確で詳細な公告内容(56%)」が最も高い支持を集めました。次に、「迅速かつ正確な結果共有(15%)」「多様な採用情報の提供(11%)」が続きます。さらに「親切な面接官(9%)」「手厚いサポート(4%)」「公正な評価基準(2%) 」「結果に対するフィードバック提供(2%)」なども重視されていました。
彼らは採用プロセスの細かい部分に敏感で、企業がどれだけ情報を明確に提供するか、迅速に対応するかを重視する傾向があります。韓国国内でも企業の採用ブランディングが進んでおり、採用過程の細部にまで配慮する企業が増えています。
このような点を理解し、日本企業も採用プロセスを通じて信頼感や親しみを与えることが、入社意思の向上につながるでしょう。
2.採用フローに沿って確認!韓国人採用で押さえるべきポイント
韓国人を採用する際、特に気をつけるべきポイントはどこにあるでしょうか?本項では、採用フローに沿って各段階での注意点や工夫を解説していきます!
Step 1. 企業認知・応募
- 明確で詳細な公告
業務内容やキャリアパス、報酬条件などを具体的に知りたいと考える傾向が強く、「透明性」が重要視されます。企業説明会や座談会の機会を設け、彼らが持つ疑問に丁寧に答えることや、1対1のカジュアル面談も効果的です。特に韓国では報酬や福利厚生をオープンにすることが一般的であるため、可能な限り詳細に説明することが大切です。説明会や座談会を開く際は、質疑応答の時間をしっかり設けて疑問を解消できるようにするのが望ましいでしょう。
- SNSでの情報発信
昨年、日本就活市場で話題となった「タイパ(タイムパフォーマンスの略、短時間で効率的に情報を得ることを重視する考え方)」をご存じですか?タイパは今や韓国人学生の間でも注目されています。
出典:Z世代就活生は就活情報をどこで探すのか?[KB国民銀行グッドジョブ]
実際に、韓国の就職情報サイト「キャッチ」の調査では、49%の韓国人学生が企業情報をショートフォームコンテンツ(例:TikTokやInstagramリール、YouTubeショート)で収集していると回答しました。従来の長い動画やテキストよりも、短い動画で効率よく情報を得ようとする若者が増えているようです。SNSを積極的に活用し、職場環境や社風、業務内容の魅力を情報発信することで、ターゲットとする韓国人材の目に留まりやすく、興味を持ってもらえる可能性が高まるでしょう。
- KORECを活用する
優秀な韓国人材へアプローチする方法として、KORECへの掲載をぜひご検討ください。KORECの登録者数は年々増加し、2024年現在では10,000名を突破しました。当サイトではマッチングはもちろんのこと、彼らが求める企業の特徴や期待するポイントを把握することも可能です。
Step 2. 書類選考
- 柔軟な選考基準
書類選考の段階で、日本人就活生との経歴の違いに驚くことがあるかもしれません。日本の型に当てはめて判断してしまうと、優秀な人材を見逃してしまう可能性があります。韓国人ならではの経歴や背景には、日本の求職者と異なる特徴が多いため、柔軟な選考基準が求められます。
ー韓国人材の特徴的な経歴の例ー
①年齢に関する特徴
韓国人男性は、兵役制度により就職活動を始める時期が遅くなるため、年齢が高めに見えることがあります。加えて、ギャップイヤー(休学して留学やインターンを経験すること)が一般的です。
②就職活動の特徴
韓国では、大学在学中に就職活動を行わないことが一般的です。ほとんどの学生は卒業後に就職活動を始めるため、既卒としての応募が多く見られます。
③大学生活の特徴
韓国では学業成績が重視されるため、学生時代にアルバイトをしていない場合もあります。しかしアルバイト経験がないからといって、実務経験が不足しているとは限りません。代わりに留学やインターンシップ、学外活動などで得た経験に注目することが重要です。
書類選考については、当サイトにて過去に記事を掲載しています。以下参照ください。
Step 3. 面接
- 明確で丁寧な面接対応
韓国人は、意思疎通を非常に重視する傾向があります。そのため、フレンドリーで丁寧な対応が好まれます。面接時には、あいまいな表現を避け、しっかりとした説明と明確な質問を行うことが重要です。特に、「遠回しに意見を伝える」や「遠慮する」といった日本独特の文化が彼らには伝わりづらい場合があります。韓国では、自己主張や意見をはっきりと伝えることが一般的であり、あいまいな表現は誤解を招きかねません。
- 面接官の評価基準の透明性
評価基準の明確さを非常に重視します。面接時には、評価のポイントを事前に共有することで大きな信頼が生まれます。面接の開始時や進行中に「今日は特に〇〇のポイントを重視しています」と伝えることで、何を求められているかが明確になり、自分の強みを適切にアピールしやすくなります。
Step 4. 結果通知とフィードバック
- 迅速で正確な結果共有
合否の結果を迅速かつ正確に通知してくれる企業に対して好感を抱きやすい傾向があります。日本の就活では「サイレントお祈り」という言葉があるように、結果を通知しない企業も存在しますが、韓国人求職者はそのような行為を好まない場合が多く、結果的に企業に対する印象が悪化する可能性があります。
結果通知はできるだけ早く行い、可能であれば結果の告知日を事前に伝えておくと彼らの不安を減らし信頼感を高めることができます。
- フィードバックの提供
面接の結果が採用に至らなかった場合でも、具体的なフィードバックを提供することは今後の企業認知に大きな影響を与えます。自己改善のためにフィードバックを重視する傾向が強いため、建設的で具体的なアドバイスを提供することが大切です。
Step 5. 内定後フォロー
- 入社までのサポート
採用した韓国人材が日本企業に入社する際には、ビザの申請や引っ越し手続きなど、慣れない部分が多く、不安を抱えることが少なくありません。
これらの手続きをスムーズに進められるよう、企業側でしっかりサポートすることが大切です。入社までの流れや必要な書類について説明会を開いたり、相談窓口を設けることで、入社までのサポート体制を整えておきましょう。
まとめ
いかがでしたか。
韓国人の特性や、日本と韓国の就職活動の違いを理解することで、韓国人採用がよりスムーズになり、優秀な人材と出会う機会も増えます。当サイトでは、韓国人採用に役立つ記事を今後も多数掲載予定ですので、ぜひご活用ください。
参考文献
求職者 就活中の「これ」にうんざり[KB国民銀行グッドジョブ]
Z世代就活生は就活情報をどこで探すのか?[KB国民銀行グッドジョブ]