韓国人材の採用支援を行う上で、ソウルにある「就活カフェKOREC」は企業と学生を繋ぐ重要な役割を果たしています。今回は改めて、この「就活カフェKOREC」の設立経緯や現地での活動状況を、KOREC代表の春日井萌さんに伺いました。
春日井さんは年間1,000名以上の韓国人学生の就職活動の教育を行い、多くの韓国人学生と日本企業を繋いできました。その経験から感じる「韓国人採用の成功の鍵」についても教えていただきました!
「日韓関係の改善に貢献したい」その思いがKORECを生み出した
ー日本、米国、韓国と3カ国で学び、卒業後はベトナム法人で働くという、ワールドワイドな活躍をされてきた春日井さんですが、KOREC設立以前はご自身で会社を経営されていたんですね!
はい。自分一人で営業活動も学生への広報も行っていたので中々大変でした(苦笑)。でも日本企業と韓国人学生、双方と向き合う中で、もっと多くの韓国人学生の日本就職を応援したいという思いが強くなっていき、「就活カフェ」を韓国で作りたい!という夢が芽生えました。
当時日本就職を考えている韓国人学生は今よりさらに限定的で、彼らが情報収集ができる場やモチベーションを維持できる場はありませんでした。日本就職に必要な情報を発信したり、同じ目標を持って活動する仲間が集まれる就活カフェがあれば、より彼らの就職活動を応援できると思ったんです。そんな風に考えているときに、学生の就職支援を手掛ける株式会社ビーウェルの大亀さんや山田さんと出会い、株式会社ビーウェルの下、2019年5月に「KOREC」を設立することができました。
ー現在は何名のスタッフで運営しているのですか?
日本の就活カフェをモデルに、母校の延世大学や多くの大学が集まるソウルの新村(シンチョン)で、現在は社員3名と韓国人と日本人のアルバイト7、8名のスタッフで運営しています。
ーKORECの立ち上げが決まってからオープンまでは大変だったと聞きました・・!
2018年12月頃に拠点を選定してから、その後2、3か月で法人登録から資金面の調整、インテリア業者の選定まで、一から準備しなければならず、法律も文化も違う中で苦労の連続でした。今思い出すとお昼ごはんのメニューも自分で決める余裕がないほど、オープン準備で頭がいっぱいでしたね(笑)。また、そのオープン準備と並行して、3月に開催を予定していた現地採用イベントの準備もあり、忙しさに拍車がかかりました。
好評だった現地採用イベント。オフラインならではの距離の近さが魅力
ー立ち上げ当初から多くのオフラインイベントを成功させましたね。
はい。最初の現地採用イベントには5社の日本企業と約40名の韓国人学生が参加してくれました。コロナで開催中止を余儀なくされるまで、短期間に8回程開催しており、延べ約40社の企業と約320名の学生が参加してくれています。
コロナ禍で現在はオンラインイベントとなっていますが、このオフラインでの現地採用イベントは韓国当局からも好評で、早く再開してほしいとご要望いただいています。私自身もとても有意義なイベントだったと感じているので、コロナが落ち着けば早く開催したいですね。
ー具体的に現地採用イベントとはどのような内容ですか?
現地採用イベントは午前中に全ての参加企業が順に会社説明会を行い、午後から座談会、面接(希望者)、懇親会というスケジュールです。韓国人学生は興味のある企業しか会社説明を聞かない傾向が強いのですが、各社の会社説明を聞いてもらうことで、興味を持っていなかった企業と出会うことができます。意外とそういった企業と上手くマッチングすることがあるので、こういった取り組みは、学生の選択肢を広げる良さがあると感じています。
また、懇親会では企業担当者と学生でサムギョプサルを食べるのですが、説明会や座談会よりも近い距離でお互いを知ることができ、それが最終的に内定に繋がる場合もありますね。
ー参加学生の傾向などはありますか?
最初はソウル周辺の学生が多かったのですが、開催数を重ねるごとに口コミやSNSなどで知名度が上がり、文理問わず、地方からの学生も増えてきました。また四年制大学だけでなく専門学校の学生も増えてきていますね。
運営については、スーツ着用のルールを私服でも参加できるように変更するなど、多くの学生に参加してもらえるよう工夫を重ねており、まずは足を運んでもらえたらと思っています。
日本就職一本に絞った学生たちの熱意を感じてほしい
ー韓国人学生を採用した企業を多くみてこられたと思いますが、採用が成功する企業の特徴はありますか?
日本就職を希望する学生は、「なぜ、この企業は韓国人を採用するのか?」と疑問を持っているので、韓国人を採用する目的を明確に伝え、韓国人採用への積極的な姿勢を打ち出すことが大切だと思います。やはり採用意欲の高い企業ほどその思いは学生に伝わり、内定に繋がることが多いと感じますね。
ー日本人採用以上に、思いを伝えるのが大事ということですね!
そうですね。また内定後も大事です。優秀な人材ほど就職活動を継続する傾向にあるうえ、コロナ禍で内定から入国までの時間が長くなるので、先輩社員と話す機会や課題の提示、人事からの状況確認など、接触回数を増やすことが重要になってきますね。
ーズバリ、韓国人学生の魅力はどういったところでしょうか?
とにかく優秀で勉強熱心ですし、学生時代から高いスキルを身につけています。日本が好きで日本で働きたいと熱い思いを持ち、日本就職に専念して頑張って活動しています。韓国人材を検討している企業の方には、ぜひ彼らの熱意を感じて欲しいですね!
まとめ
今回はKOREC代表の春日井萌さんにお話を伺いしました。改めて「韓国人学生の日本就職支援」と、それを通じた「日韓関係の改善」への熱い思いを知ることができました。この思いは、KORECに来る学生へと伝わり、就職活動のモチベーションを高める一助となっていると感じます!