韓国人学生向けオンライン企業説明会のコツ

韓国は買い手市場のため、企業が学生向けに説明会をすることは稀です。このような環境のなかで日本企業が説明会をすると、自然と好感度が上がります。基本的に、説明会の内容は日本人学生向けと同じで構いません。ただし、より良くするコツがあるのも事実です。

この記事では、日本企業が韓国人学生にオンライン説明会を実施するときのコツをお伝えします。

◉プレゼンテーションは日本語でOK

日本就職を志す学生は日本語の勉強をしており、大半がJLPT(日本語能力試験)で N2以上を保持しています。N2レベルは、「日常的な日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベル。なので、日本語での説明も通じます。また、ビジネスレベルの日本語を求めているのであれば、説明会の日本語が通じない場合は最終的に不採用になる可能性が高いので、やはり日本語でOK。ただし、はっきりとややゆっくりめにお話しすることはオススメしています。

◉外来語(カタカナ語)の使用時は注意

日本でも浸透しているカタカナ語は、韓国人にも伝わります。ただし同じワードでも発音が異なるため、聞き取ってもらえない場合もよくあります。例えば、IT系だと「フロントエンド」や「バックエンド」、一般的なワードだと「リーダーシップ」などが挙げられます。カタカナ語を使う場合はご注意ください。

◉外国籍社員の割合、韓国人社員の在社を伝える

外国人、および韓国人社員が多ければPRポイントとして活用できると思います。1名もいない場合は触れないでも問題ありません。

◉なぜ韓国人を採用しようとしているのかを伝える

韓国人学生にとって「なぜ私たちを採用しようとしているか」というのは素朴な疑問だと思います。「海外進出を考えていて、語学堪能な人材が欲しい」「国籍は気にしてない。優秀な人材を探しているため」など、実際の理由をお伝えすると良いと思います。

◉韓国人社員の参加

韓国籍の社員がいる場合は、説明会に参加してもらうことを推奨しています。韓国人学生にとって同じ国籍の社員がいることは安心材料になりますし、直接話を聞けることは有意義な時間になります。韓国語でプレゼンしてもらったり、質疑応答を韓国語で返答していると評判が良いです。私たち日本人が英語やフランス語で説明を受け続けることを想像すると分かりますが、母国語以外での説明は理解できたとしても体力を使います。ワンポイントでも韓国語でのコミュニケーションがあると、学生からの評価がグンと上がります。

◉質問はチャットで受け付ける

参加学生の人数によりますが、質問はチャットを推奨しています。参加学生の中には日本語が不得意にも関わらず、積極的に質問する学生もいます。積極性は評価したいのですが、言葉が通じづらいと多くの時間を費やしてしまう可能性が高いです。たくさんの質問に答えるためにも、チャットで受けることをオススメしています。

◉社員の学部までを開示する

韓国では大学の専攻と職務の関連性を気にする学生が多いです。「大学での学びを活かせるのか」という視点で就職活動をしている学生も多いので、先輩社員やキャリアのモデルケースを紹介する場合、学部を紹介することを推奨しています。余談ですが、この視点は世界的にはスタンダードなので、学部よりも大学名を気にする日本が特殊と言えます。

◉住宅手当や寮を気にする学生は多い

「月々の給料で生活できますか」「東京は家賃や物価が高いので不安です」と相談されることが多く、住宅手当や寮を気にする学生が多いです。異国の地から日本に来る学生にとっては当たり前の不安かもしれません。もし制度が充実しているのであれば、PRポイントとして活用されると良いでしょう。制度が充実していない場合は「当社には一人暮らしで働いている社員がたくさんいますよ。月々の収入で先輩が生活できているので、○○さんも生活はできると思いますよ。ソウルから来ても、北海道や九州から来ても同じ一人暮らしですから」と説明すると安心してくれると思います。

◉説明会を録画して再活用する

コロナ禍で変化はありますが、韓国人学生はインターンシップに参加できませんし、合同説明会や会社説明会に参加できる機会は減っています。また、韓国国内で日本就職の方法や企業理解できるwebサイトも少ないです。彼らは情報を欲しがっています。説明会を録画して、新しい学生に展開したり、選考に進んでいる学生だけに再度動画を送付して、企業理解を促す仕掛けは良いと思います。

韓国人学生向けの企業説明会のコツをお伝えしましたが、いかがだったでしょうか。

基本的にはあまり難しく考えず、いつも通りの日本語の説明会でOKですが、ちょっとした工夫で参加者の反応が変わってくると思います。すぐに取り入れてもらえることばかりなので、ぜひ一度トライしてみてください。

執筆/ビーウェルインターナショナル 山田功生