KORECではこれまで数多くの日本企業と韓国人材とのマッチングに携わってきましたが、大学レベルや日本語レベルはもちろんのこと、「どんな判断軸で採用すればいいか」という点に、多くの企業様が苦労されています。
そこで今回のコラムでは、「書類選考で陥りがちな“3つのワナ”」に焦点を当て、そのメカニズムと対応策を探っていきます。
書類選考で、どこを見る?
突然ですが、あなたが採用担当を務める会社が、本年度から初めて韓国人採用に力を入れることになりました。エントリーの受付直後、続々と応募が集まりました。
応募書類に記載のパーソナルデータは下記の通りです。
選考スケジュールの都合上、全学生と会うのは困難な状況です。さて、あなたはこのデータを見て、接触する学生をどのように絞り込みますか?
1.大学名のワナ
おそらく多くの方が最初に着目するのが「大学名」なのではないかと思います。日本でも認知度の高い、「ソウル大学」「高麗大学」「延世大学」等上位校(通称SKY)の学生には接触したいと考える企業が多いでしょう。
一方で、例えばGさんが在籍する「韓国科学技術院」はSKYほどの知名度や認知度はありませんが、同校は工学と科学技術の専門家を養成するために作られた国立大学で、韓国内ではソウル大学と同等レベルのポジションの学校です。
こういったことを認識せず、大学の知名度のみで判断をした結果、思いがけず高い能力を持った学生を落としてしまったということに繋がりかねません。
2.年齢のワナ
次に注意すべきポイントが年齢です。今回のリストでも、Gさん(28歳)やBさん・Iさん(27歳)等、日本人学生の採用活動ではあまり見かけない年齢層の応募者が多数存在しています。
この傾向は、韓国人採用においてはごく普通のことで、平均して男子学生は6~7年間、女子学生は5~6年間大学に在籍しており、日本のように4年で卒業する学生は極めて稀と言えます。その背景として、韓国人男性には兵役の義務があり、大半の男性が大学1年生から2年生になるまでの間に、約2年間休学して兵役に行くことが挙げられます。また、競争社会の同国においては、個々のスペックを高めるために、就職活動前に積極的に留学やインターンシップへ参加をしているということも、在学期間が長くなっていることに繋がっています。
したがって、年齢が高いからNGであるという判断は好ましくなく、むしろ在学期間が長くなった分の、その“経験内容に注目する必要があるでしょう。
3.新卒/既卒のワナ
韓国において、卒業のタイミングは2月と8月の2パターンあり、それぞれの人数に大きな違いはありません。そして、前述の通り就職活動前にインターンシップへ参加したり、資格取得のためにIT系の専門学校で勉強をしたりといったことが一般的であり、卒業後に就職活動を始める文化が特徴であるとも言えます。実際に現在KORECに登録している学生を見てみても、在学中の学生が44.8%、既卒の学生が55.2%を占めています。
年齢のワナとも共通しますが、年齢が高い/既卒であるからという理由で絞り込んでしまうのはやはり望ましくありません。
会うべき学生が分からない…どうする?
以上のような視点で改めてパーソナルデータを見直してみると、接触すべき学生の幅が拡がってくるのではないかと思います。同時に、“会いたい学生が増えてしまい、データだけでは判断できない”という悩みも挙がってくるでしょう。
そのような場合、もちろん書類選考として初期判断を下すステップは必要ですが、あくまでも足切りの役割にとどめることも一つの手です。少しでも接触してみたいと思った学生は、WEB上での実施で構わないので、積極的に「座談会」や「ワークショップ」形式の選考会に呼び込んでみてはいかがでしょうか。
争奪戦にもなりうるハイスペックの韓国人人材の採用活動においては、選考中辞退や内定辞退の可能性も大いにあります。そういった対策のためにも、初期段階では絞り込みすぎないことが重要です。
まとめ
今回は書類選考の側面から、韓国人学生の採用において注意すべき事柄をお伝えしました。個人のデータを比較する際には既成概念にとらわれないこと、そしてデータだけでは分からない部分は直接接触して確認していくことが大切なポイントとなります。韓国という国の文化や韓国人の特性をとらえたうえで、採用活動に臨んでいただければ幸いです。