牽引する若者は「ボーダレス世代」?韓国で広がるイエスジャパン現象

昨年取り上げた、韓国の若者における「イエスジャパン現象」。前回の記事では、日本のゲーム、お酒、キャラクター、JPOPなどが、未来世代と呼ばれる若者を中心に人気であることを取り上げました。今回は、この記事から約一年経ち、尚も衰えない「イエスジャパン現象」を前回とは違ったコンテンツなど取り上げると共に、韓国の若者のイエスジャパン現象に対する考え方の一つとして、「ボーダレス世代」についてご紹介していきます。

前回のイエスジャパン現象の記事▶https://bwell.jp/korec/magazine/archives/3876

イエスジャパン現象とは                      

イエスジャパン現象とは、数年前に韓国で起きた日本製品の不買運動“ノージャパン運動”と対比し、その後、政権が変わったことなどが関係し、韓国の若者世代を中心に起きている日本ブームのことを言います。次の項では、韓国で”イエスジャパン現象”と呼ばれている日本ブームがどのようなものなのか、例を挙げながら説明していきます。

                                 

様々な分野から見えてくる日本ブーム

:韓国の飲屋街に日本語看板⁉

ソウルで日本語看板を掲げるお店が増え、注目を集めているようです。日本風の店構えで、看板表記も日本語のみという店が登場したのです。これまでも日本風の店構えの日本式居酒屋は存在したようですが、日本語とハングルを併記していました。最近は注意してみないと気付かないほどハングル表記が小さい店や、表記が日本語のみの店も現れたそうです。この現象は空前の日本旅行ブーム、ハイボールブームが相まって日本式居酒屋が急増していると考えられるようです。日本料理を求める人が集まってきて地域の活性化に繋がるだろうとの肯定的な見方がある一方で、韓国の屋外広告物法には言語表記の規制があり、看板や広告物など韓国語表記を義務付けていることから、この現象は賛否両論を呼んでいます。

:日本製ビールが大人気!韓国のコンビニでもライナップ充実!

韓国のコンビニに行くと、お酒コーナーで最近よく目にするのが日本のビールです。それもそのはず、韓国の日本ビール輸入額が、日本政府が対韓輸出規制を強化して以降初めて1位に返り咲いたそうです。2023年の日本ビールの輸入額は前年比283.3%増の5551万6000ドル(約81億8500万円)で国別1位となり、日本ビールの輸入額1位は2018年以来5年ぶりとなりました。ビールだけでなく、日本産ウイスキーの輸入も急増したようで、それも前年比92.5%増加、2018年の7.6倍に達する規模です。これは、ハイボールが流行したことが一つの要因と言われています。

:ハイブリットな性能が人気⁉️日本車ブーム到来

お酒だけでなく、日本車のシェアも最高となりました。2024年1月、韓国輸入車市場で日本車のシェアが15%を占め、国別販売量はヨーロッパに次いで2番目の多さでした。理由として、韓国国内の自動車市場でハイブリッド車を好む現象がより顕著になったことに伴うものだと分析できるそうです。最近、電気自動車(EV)の需要が停滞している中で、ハイブリッド車の技術力強化に注力してきた日本ブランドのハイブリッド車が人気を獲得しているようです。

”イエスジャパン”ではなく「ボーダレス世代」?

前項で見てきたように、若者を中心に「イエスジャパン」の波が広がり、日本文化や日本製品を楽しむ「イエスジャパン世代」とも言われていますが、この現象を「イエスジャパンではなく、日本文化を楽しむボーダレス世代だ」と述べる見方も韓国には存在します。それを取り上げた韓国の新聞記事によれば、「国境のないSNSに、誰よりも馴染みのあるZ世代は文化の国籍を問わないコンテンツそのものの魅力を優先する。いわゆるボーダレス(Borderless・国境のない)世代だ。」と述べられています。無条件に日本にイエスするのではなく、「歴史は歴史、文化は文化」に区別し、国境を行き来するイメージを持っている若者もいるようです。

2019年に「ノージャパン」をしたのは歴史的問題に対するものであり、現在日本文化が好きな自分を「イエスジャパン」と呼ぶのはどうなのか、といった意見もあり、若者によっても自分たち世代に対する呼び名に対して疑問を抱いていることがあるようです。

まとめ

いかがだったでしょうか。韓国では昨年から引き続き、若者による日本ブームやそれに伴う日本製品の輸出が好調であるようです。ただ、この現象をすべての若者が「イエスジャパン」という見方をしているのではなく、「歴史は歴史、文化は文化」と区別して考える若者もいるということを知っているだけでも、日韓両国の関係を見る視点が広がるのではないでしょうか。ぜひ採用の参考にしてみてください。

参考文献

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/02/post-103690.php

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240117000900882?section=japan-relationship/index

https://japanese.joins.com/JArticle/31573

https://m.hankookilbo.com/News/Read/Amp/A2023052617360004398

https://www.hankyung.com/amp/202401170778g

https://www.yomiuri.co.jp/world/20230317-OYT1T50088/2

https://www.asiatime.co.kr/article/20240119500308#_across#_mobwcvr#_doyouad