韓国の大学受験 最新スヌンニュース

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スヌンとは、日本の共通テストにあたる大学修学能力試験の略称(修能:スヌン)です。韓国人採用ナビでも過去にこちらの記事:シビアすぎる受験戦争?大学修学能力試験「スヌン」とは!?でご紹介したように、日本よりも受験がシビアだというイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、スヌンは受験生とその家族のみならず全韓国国民にとって一大イベントと言えます。この記事では、過去2年間に行われたスヌンのニュースから、スヌンあるあるや珍事件をご紹介します。

スヌンあるあるは続く…

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スヌンの大きな特徴といえば、まずは国民総出で受験生に協力することではないでしょうか。会場間違いや渋滞で遅刻しそうな受験生のために、オートバイを所有する地域住民や警察が会場まで送り届けることは、もはや風物詩。

受験生の集合時間に合わせて地下鉄が増便され各企業が出勤時間をずらすほか、リスニングの時間には飛行機が発着停止になり、軍事演習まで中止されます。出勤時間の変更で、株式市場ですら取引開始が遅れることには驚きです。

発表によると、2023年のスヌンで警察が出動したのは214件。このうち、受験生を乗せた事例は178件、受験票などを送り届けた事例は13件とのこと。渋滞にはまってしまった場合や、家に忘れた受験票を届けてもらうために警察に通報するケースも珍しくないそうです。

また、難問のレベルも桁違いです。今回、1問ごとの最低正答率が社会で2.5%、数学で2.6%という問題が出題されました。こうした問題はあまりにも難しいため「キラー問題」と呼ばれ、韓国政府が対策を発表するほど社会問題になっています。今回のスヌンでは、過去の模試と出典や出題形式が酷似した問題が出題され、塾と作問者の癒着が疑われる事件まで起きました。こうした厳しい受験戦争が、スヌンを国民総出の一大イベントたらしめる背景にあるようです。

スヌンのためにストライキが解消

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過去には、スヌン当日のストライキが未然に防がれたこともあります。

2021年秋に行われたスヌンでは、京畿道市内バスのストライキ決行日がスヌン当日に直撃し、受験生の移動に影響が出ることが予想されていました。ネット上では「受験生を人質に取っているのではないか」などと、受験生に迷惑だという声が数多く上がっていました。

しかし、当日の明け方5時頃、交渉は劇的に妥結となり、バスは始発が少し遅延する程度で概ね通常通りの運行が再開されました。スヌン当日のストライキは過去に例がなく、大きくニュースに取り上げられたことで交渉が進んだのではないかという見方もあります。

毎年、交通渋滞でバスが来ないという理由で警察やボランティアに送り届けてもらう受験生が複数発生する中、労務交渉を急いでまでストライキを防ぐとは驚きです。

パトカーで移送される受験生も

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ソウル経済によると、2022年11月に実施されたスヌンでは、試験会場を間違えた受験生Aさんが警察に移送される事件がありました。この受験生はソンドン高校で受験するはずが、名前があべこべのドンソン高校に行ってしまったそう。同じソウル市内ではありますが、4km離れており公共交通機関では25分かかります。

Aさんの通報を受けた警察は、近くを巡回していたパトカーにAさんを乗せ、サイレンを鳴らして15分程度でソンドン高校まで送り届けたそうです。

ここまでして時間通りに送り届けようとする理由は、試験開始時間の8時40分を過ぎると受験会場の門が閉まり、入室できなくなるからです。数年間にも渡る受験戦争の集大成とも言える日に遅刻で入試を受けられなくなるのはかわいそうだ、という考えが浸透しているのでしょう。

この地域を管轄するソウル市へファ派出所長は、ソウル経済の取材に対して「こういうことが毎年1~2件はある」と述べました。入室時間を過ぎてから警察に移送を要請され、約30分後の試験開始時間までに間に合わせることもあるそうです。日本でも受験会場を間違える受験生はいると思いますが、パトカーで移送してでも間に合わせようとする姿には国民全体の受験に対する熱量が表れています。

いつものスヌンが戻った

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今回のスヌンでは、4年ぶりにノーマスクで試験が実施されました。

コロナ以来、韓国ではマスク着用が義務付けられ、校門前で応援団が受験生を見送る伝統が制限されてきましたが今回はコロナによる規制が全て解除され、通常の形式に戻った試験でもありました。

今回の大半の受験生は、日本と同じく中学3年生の頃からコロナ禍に見舞われ、高校生活にも制限が付き纏った世代です。放課後にも学校で勉強する習慣がある韓国では、この世代の受験生がコロナ禍により学校生活のみならず学習量でも影響を受けたのではないかと心配する声も聞かれたそうです。

受験会場となる各地の高校前では、地域住民や高校1,2年生、学習塾の講師らが待ち構え、思い思いの応援ボードを掲げて受験生を見送ります。高校の後輩たちによる応援団は、太鼓やメガホンを使いながらエールを届けることも。朝の校門前はお祭りのような熱気に包まれました。

まとめ

いかがでしたか?

日本とは比べ物にならないほどの競争社会である韓国。大学入試のシステムが違うことはもちろんですが、地域住民から警察までが一丸となって受験生に協力するその熱量には驚かされました。今後も韓国の最新ニュースなどをお伝えしていき、韓国人採用に役立てれば幸いです。

<参考文献>

・受験会場周辺には警察官も配備、韓国中が大学受験に神経を尖らすスヌンの日

今年の大学受験者数50万4588人···11月16日、出勤時間を遅らせ首都圏の地下鉄増便

韓国受験戦争、政府が対策発表 難しすぎる「キラー問題」排除へ Asahi Weekly

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