シビアすぎる受験戦争?大学修学能力試験「スヌン」とは!?

大学進学率約80%の超学歴社会、韓国。その登竜門として大学修学能力試験、通称スヌンがあります。この試験結果によって大学はもちろん、その先の将来が決まるとも言われているため、韓国ではこの日のために幼い頃から勉学に励む学生がほとんどなのです。今回は、熾烈な受験戦争を繰り広げる韓国の大学入試、スヌンについてご紹介します!

大学修学能力試験(スヌン)とは?

 韓国の大学入試には2通りの方法があります。

  1. 1. 随時募集
  2. 2. 定時募集

随時募集はいわゆる推薦入試のようなもので、受験生の高校での生活記録や内申点、先生による推薦状などを基に大学側が評価する仕組みになっています。一方で、定時募集はいわゆるセンター試験のようなもので、今回ご紹介する大学修学能力試験(以下スヌン)のことを指します。スヌンは年に一度、11月中旬の木曜日に実施される韓国の全国共通大学入試試験のことで、受験生は

  • ・国語
  • ・数学
  • ・英語
  • ・韓国史
  • ・探究(社会・科学・職業)
  • ・第二外国語 又は 漢文

の6教科を受けます。朝8時40分〜夕方17時40分までの長丁場を乗り切らなくてはならず、まさに体力勝負の試験と言えますね…!

2021年度の受験者数は浪人生を含む44万8,138人で、毎年大勢の学生が試験に挑みます。一昨年は新型コロナウイルス感染症の影響により試験日程が調整され、予定日より2週間先延ばしの12月開催となりましたが、2021年度は受験生である高校3年生を対象にコロナワクチンが優先的に接種され、無事11月開催となりました。

国を挙げての一大行事!

(大学前でよく見られるスヌンの日の光景。)

当日の会場には出身高校の後輩たちや先生、親などが大集合しプラカードを掲げたり太鼓を鳴らしながら思い思いに応援する、いわばお祭りのような風景が広がっています。受験生以外の一般国民も、試験に影響が出ないよう当日はバスが増便されたり、会社や学校などで出勤・登校時間を1時間遅らせたり、社会全体で受験生たちを配慮する徹底ぶり。

遅刻しそうな受験生のために白バイやパトカーが出動し、会場まで送り届けるという光景はもはや当たり前になっています。更には英語のリスニング試験が行われる時間帯には、飛行機の離発着やクラクションを鳴らすことも禁止されるのだとか。スヌンがいかに韓国全体でサポートされるほどの重要なイベントなのかがわかりますね!

韓国学生が憧れる“SKY”とは?

(写真は高麗大学キャンパス。)

 “SKY”とは、韓国で知らない人はいない3大名門大学『ソウル大学』『高麗(コリョ)大学』『延世(ヨンセ)大学』の頭文字をとった通称。スヌンの成績上位1%という狭き門を潜り抜けた人しか行けないため倍率はとても高く、実際にSKYに受かるまで浪人して頑張る学生も多いです。それは、SKYに進学することが韓国人にとって誇りであり、人生安泰と言われているからなんです。就職氷河期の韓国では、中小企業の給与は大手企業の給与の半分以下、狭き門のSKYを卒業してもサムスン、LGなど韓国大手財閥系企業に入れるのはわずかという厳しい就職事情があるので、大学入学後も資格取得や高成績を目指して努力をし続けるという状況が続くのです。

試験対策についてー学生の実体験を聞いてみた

スヌンを乗り越えて、今は大学生活を謳歌する韓国人の友人に試験を乗り切ったモチベーションと試験対策法について聞いてみました。

韓国人Sさんによると、ほとんどの学生が高校3年生になると塾や予備校に通い、スヌン対策を始めるようです。また、韓国の高校には“夜間自立学習(ヤジャ)”というシステムが存在します。これは学校の居残りのようなもので、授業が全て終わった放課後に学校で夕食を食べ、その後午後6時〜10時頃まで予習や復習をします。Sさんは平日ヤジャに参加→週末は塾で勉強というルーティーンでずっと勉強していたそう。みんなが頑張るから自分も頑張れる。「負けられない」という競争意識が勉強へのモチベーションに繋がったと語ってくれました。

夜遅くまで学校に居残って勉強する…。日本人の私にはかなり馴染みのないシステムに驚きました!

まとめ

熾烈な競争社会に生きる韓国人学生たち。負けられないという競争意識と将来安泰への強い希望が、熱心で高いスペックを併せ持つ韓国人材を作っていくのだなと感心しました。今回の記事を通じて、韓国には優秀な韓国人材が大勢いることを改めて知っていただけたら嬉しいです。