大学が日本就職を後押し~韓国就職難のリアル

10年以上前から続いている韓国国内での厳しい就職難。大きな改善兆候がないまま韓国国内での就職を諦めた学生が、海外で仕事を求める動きがここ数年高まっています。コロナ渦の混乱も一息ついた今、韓国の就職市場はどう変化したでしょうか。今回は韓国における最新の就職状況やトピックスについて調査してみました。

仕事を掛け持ち!?  韓国MZ世代の就職事情

韓国4年制大学卒業者の就職率は過去5年間は60〜65%で推移しており、日本の新卒学生と比較すると30%も低い値となっています。また、2022年度の調査によると、韓国全体192の4年制大学の就職率は64.1%であると集計されました。就職率がトップの大学であっても77%にとどまるという結果であり、就職難の状況は現在も続いているようです。

一方で韓国青少年の高等教育を受けた割合は他の国に比べても高い水準を記録しています。2年連続で経済協力開発機構(OECD)国の1位を占めた高等教育の水準であるのにも関わらず、就業市場ではミスマッチを引き起こしているのです。

そんな韓国では、「N Jober」という就職難と関連した新造語が誕生しました。これは、2以上の自然数を表す「N」と英語で仕事を表す「Job」が合わさってできた「N Job」に人を表す「ber」が追加されてできた造語です。つまり、1人が複数の職を保有している状態を意味しています。

韓国でも日本と同様、コロナウイルスの影響で就職が難しくなりました。 更に最近の不景気が重なり、経済的困難を抱えたMZ世代(1981〜2010年の間に生まれた人たち)の多くが職をいくつか掛け持ちする社会的現象が起きているのです。韓国が就職難を抱える理由については、以下の記事で詳しく扱っているので是非チェックしてみて下さい!

韓国の若者はなぜ就職難なのか? – 韓国人採用ナビ (bwell.jp)

国内を諦め海外就職市場へ

厳しい就職難が続く韓国では自国での就職が厳しいため、海外で就職を目指す動きが近年増え続けています。2020年、就業プラットフォームのジョブコリアが2030世代求職者2,100人を対象に「海外就職選好度」を調査した結果、回答者の84.9%が機会があれば海外就職をしたいと答えました。また回答の理由として「国内ではこれ以上就業の見通しがないため」が22.7%を占めました。

これらの動きに対し、韓国政府では「K-Moveスクール」プログラムを通じて海外就職を支援・推進しています。「K-Moveスクール」は、青年たちの海外進出のために職務および語学教育後の海外就職連携まで支援する事業です。海外就業に成功した青年は、条件に応じて海外就職定着支援金などの支援金の受領も可能です。他にも、韓国企業への就職の厳しさから創業の道へと進む若者や、ワーキングホリデーを利用し、海外で職を見つける割合も増えているようです。

韓国の大学が日本就職をサポート

こうした中、日本での就職を目指す韓国人の割合も増加しています。韓国人にとって、日本語は学びやすい言語であり、また地理的に近く韓国と行き来しやすいという点から日本での就職は人気が高いです。加えてグローバル化の進行により、日本企業が外国人人材を多く受け入れるようになった点も大きいでしょう。また、日本ではIT関係のエンジニアが不足しているため、IT業界に強い韓国人材に注目する企業が増えつつあります。

最近では、日本の企業とパートナーシップを組み、日本就職を支援する大学や日本就職をサポートするサービスが出てきています。今年6月、韓国の白石大学は日本の有限会社ユー・プラネットを訪問し、日本の就職を希望する人材養成と交流強化のため、産学協力協約を締結しました。さらに、同月、全北大学の就職支援課は、大阪に位置する(株)SANYOホールディングスと学生就職のために緊密な協力網を構築する目的で懇談会を開催しました。

また、海外就職専門機関(株)ウィザストールエアポートサービスは、日本現地就職サポートを進めていく方針を発表。更に、韓国産業人材公団では、日本企業就職希望青年のための「2023年日本優良企業採用面接会」の開催を発表するなどの動きが見られました。 コロナ渦の混乱が終わりに近づき、今後さらに日本就職を促す動きが増えてくることと予想されます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。まだまだ続く韓国の就職難。高学歴でハイスペックな韓国人材でさえ就職が難しい現在の韓国では、国内から海外就職市場へと選択肢を広げる学生が増えていることが伺えました。KORECサービス利用者も近年増加傾向にあり、また最近の日韓交流の緩和の動きも相まって、日本就職を目指す韓国人材は今後更に増えていくことが予想されます。採用担当者様には、韓国人材に是非注目して頂き、韓国人材とのベストマッチングを実現して頂きたいです!

参考文献

韓国の若者はなぜ就職難なのか? – 韓国人採用ナビ (bwell.jp)

韓国の就職活動は厳しい?〜韓国人学生と日本人学生の就活事情の違い | ASIA to JAPAN | 海外大の日本語が話せる新卒理系【IT・機械・電気・電子】の就職支援

【緊急診断】「Z世代はNジョバー」、オフィスワーカーの3人に1人が「副業をしている」 < ソーシャル<ソーシャル< 記事本文 – 日曜日ソウルI (ilyoseoul.co.kr)

[今]仕事を見つけるのが難しい中で…海外で「肉体労働」をしたい応募者 – JobsN (chosun.com)

海外で働くことを選ぶ若者の現実 │ マガジンハンギョン (hankyung.com)

ペク・ソクデ、日本海の海外雇用を強化 |ソウル新聞 (seoul.co.kr)

全北大学の学生が日本での就職への扉を広げる <大学ニュース <ニュース <記事本文 – 高麗大学新聞 – 429大学をつなぐ「力」 (unn.net)

ウィザーステイル・エアポートサービス株式会社、日本の就職を支援 <生活経済< 記事本文 – おはよう経済 – ビジネスマンの国、ビジネスパーソンの朝! (goodkyung.com)

海外で働くことを夢見ている場合はどうなりますか?日本のいい会社で面接を通して応募しよう!- アウトソーシングタイムズ (outsourcing.co.kr)

【特集初掲載】希望を求めるMZ世代 – 仁川日報 (incheonilbo.com)

「皿洗いをしても外国にいる⋯」「仕事難で「ワーキングホリデー」ブーム – MSトゥデイ (mstoday.co.kr)