外見至上主義⁉ 韓国の最新美容事情

2023年3月中旬から、日本ではマスクの着用が個人の判断となる「脱マスク生活」がスタートしました。通勤ラッシュ時の混雑した電車やバスでは引き続きマスク着用が推奨されるなど一部例外はあるものの、2020年のコロナ感染症拡大以降、3年ぶりのノーマスク生活が期待されています。そこで、一層注目を集めるようになったメイクや整形、ダイエットですが、近年K-POPや韓国ドラマの影響もあり、韓国コスメや韓国美容はこれまで以上に人気が高まっています。韓国は「整形大国」といわれ、他のアジア圏から整形のために韓国に訪れる人がいるほど、美容整形が進んでいることで知られています。なぜ韓国ではこれほどまで美容が最先端を行っており、外見を重視しがちなのでしょうか。そして、今流行している韓国美容は何なのか?気になった人も多いはず!そこで今回は韓国の美意識へのこだわりと美情報について、まとめてみました。

美容大国「韓国」

韓国はコスメや整形手術のレベルが高い「美容大国」として知られています。韓国人は日本人の約2倍(67.6分)もの時間を美容に費やしており、サウナやあかすり、パックといった肌そのもののケアや日常的な食事から基礎代謝をあげるデトックス習慣が定着しています。また国策としてK-POPや韓国ドラマとともに「K-Beauty」を推し進めており、韓国人はもちろん国全体として美容にこだわっている国といえます。また日本で整形をするよりも韓国でするほうが圧倒的に安いことから、整形目的に韓国に訪れる人も多く、韓国の美容は国内外から注目を集めています。

日本で整形するというと、整形へのハードルは随分低くなったものの、まだまだ抵抗感がある人が多いように感じます。しかし、韓国では町の薬局に整形後のサポートグッズが売っていたり、親から卒業のプレゼントで目の二重整形をプレゼントされたりと美しくなるためには整形も一つの手段だと受容されているようです。実際、2018年韓国のネットニュースによると、国際美容整形手術協会が発表した国民一人あたりの整形手術件数は、韓国が人口1千人当たり13.5件、世界1位でした。このデータによると、都市部に住む19歳から49歳の韓国人女性のうち5人に1人の割合で整形手術を受けたことになるようです。実際、ある製薬会社の調査によると、美容整形を受けたことがあると回答した韓国人女性の割合は42%にものぼり、近年では男性の整形も増えているとのことでした。

少しさかのぼると、韓国はそもそも儒教の教えが強く、親からもらった身体に自ら傷をつけてはいけないという精神がありました。しかし、2000年代に入ってから、完璧な美へのこだわりの加速化や女優キム・ナムジュやホン・スア、MOMOLANDのジュイなどが整形をカミングアウトしたことなどもあり、その風潮が変わり、美容整形が受け入れられるようになったようです。

外見にこだわる背景

ではなぜ、それほど外見にこだわる人が増えたのでしょうか。

一番大きな理由として挙げられるのが、一目でわかる完璧を求める国民性にあると考えます。性格や人によって差はあるものの、韓国人は何事にも完璧や一歩上を求める傾向が強いように思います。例えば、K-POPではアイドルが完璧な演技を求めて昼夜問わず練習していたり、大学受験に向けて中学3年生から受験準備をするのが当たり前であったりと完璧な状態を創り出すための対策が万全です。そのため、外見においてもより完璧な状態を求めるようになったのではないでしょうか。

また国民性以外にも、以下の2つの事情が外見へのこだわりをいっそう強めていると考えられます。

1つ目は就職への影響です。韓国では就職活動において、スペック採用と呼ばれる学歴や資格、語学力などの個人が持つ能力が重要視されます。失業率が高く、大企業と中小企業の待遇格差が大きい韓国ではより良い会社に入るため、競争社会が定着しており、個人が持つスペックが高ければ高いほど、いい会社に入ることができる可能性が高くなります。韓国の求人サイト「사람인(サラミン)」が行った調査の結果によると、求職者たちの74.8%が「外見もスペックの一つ」と考えていることが発表され、話題になりました。このように、競争力の一つに「外見」も含まれており、「同じ学歴・能力なら、容姿がいい人から、採用される」ということが露骨にあるようです。特に女性の場合はその傾向が強く、より安定した就職先やよりよい生活を求めるうえでは、外見を気にせざるを得ないようです。

2つ目に結婚や交際のためにも外見にこだわる傾向があります。日本でもよく「恋人に求めるものは外見か中身か?」のような話題がされますが、韓国でも「(恋人としての)理想を決定する重要な要素は?」というアンケートで、男女ともに「外見」が一位になるように、韓国においても外見が大きな割合を占めていることが伺えます。

このように就職状況や対人関係などの外的要因が、韓国人の外見・美意識へのこだわりを加速化させているようです。

必見!「美容大国」韓国のオススメ

続いて、マスク生活で肌荒れに悩む人や、韓国のエンターテイメントにはまって韓国美容に興味を持つ人向けに「美容大国」韓国に訪れた際にオススメの美容を4つご紹介します。

  • 1.アートメイク 

アートメイクとは、針で色を付け、素顔でもメイクをしているように見せる美容施術方法です。日によって眉毛の形がいまいち決まらない、朝メイクの時間がないなどの悩みを抱える方に人気のようです。日本でもアートメイクは普及していますが、韓国では日本の2分の1、3分の1ほどの費用でお手頃に受けられます。最近は、おでこの生え際に1本1本産毛のように繊細に書き足すことで額のフェイスラインを整え、小顔に見せるヘアラインアートメイクもあるようです。

  • 2.ヴィーガン化粧品

今、韓国の化粧品市場で急速に人気を博しているのが「ヴィーガン・ビューティー」です。激戦された天然素材のみを使用し、動物由来成分を含まないクルエルティフリーなヴィーガン製品がスタンダードになりつつあります。ヴィーガンが人気になった背景として、コロナによるマスクの常時使用で、肌荒れが深刻化した人が増えたことが挙げられます。そこで、韓国でもともと人気の鎮静系コスメ(より肌に優しいコスメ)として、ヴィーガンコスメが注目されました。ヴィーガンコスメの条件として、動物実験を行わないことやヴィーガン認証マークを取得することなどがあるので、自分にも周りの環境にも配慮した消費につながります。「BEIGIC(ベージック)」や「FEMMUE(ファミュ)」「Klairs(クレアス)」などを筆頭に数多くのブランドがこのヴィーガン化粧品を出しています。

  • 3.ラネージュショールーム

LANEIGE(ラネージュ)とはマスク崩れがしないファンデーションなどで日本でも人気を集めるコスメブランドで、明洞にあるショールームでできるサービスが今注目を集めています。それは、”BESPOKE NEO”と呼ばれる、肌色に合うカラーを1:1で診断し、150通りものカラーの中から自身にぴったりなファンデーションをその場で作ってくれるサービスです。まずクッションやリキッドなど作りたいファンデーションのタイプを選択し、性別や年齢、肌の悩みなどの基本情報を入力します。そして独自の肌トーン診断技術で写真を撮影すると、自身の肌にぴったりのカラーを教えてくれます。自分に合ってるファンデーションが分からないという人にぴったりのサービスで、コスメ好きにもワクワクする場所ですね。

  • 4.医療観光案内所

最後にご紹介するのは、2022年昨年オープンしたばかりのMZ世代を対象に韓流コンテンツや韓国の観光スポットをPRする実感体験型の韓国観光広報館「HiKR GROUND(ハイカ・グラウンド)」です。「HiKR GROUND」とは、「世界の観光客に韓国(KOREAのKR)の人々が笑顔で挨拶(Hi)する」という意味と、誰もが自由に遊べる場所を意味する「GROUND」を組み合わせた言葉。韓国を訪れる観光客を歓迎し、みんなで自由に楽しめる空間」という意味を持ちます。この施設には、日本語・英語・中国語・韓国語で対応してくれる医療観光案内所があり、肌の悩みに合わせて、数ある美容クリニックからおすすめのクリニックを紹介・予約までしてくれます。どこがいいかわからないという方でも日本語で対応してくれるので安心ですね。

まとめ

今回の記事では美容大国韓国の美容事情について、なぜ外見にこだわるのか、今注目を集めている美容は何かを取り上げました。韓国ドラマを見るたび、どの俳優さんもスタイルが良く、お肌もきれいで、どうしてあんなに綺麗な容姿なのか不思議でした。韓国社会では見てパッと見ただけでわかる容姿が重要視されていることで、就職活動や結婚という人生で大切な節目に外見の美しさが求められていることがわかりました。と同時に韓国の美容やコスメ市場も自然と拡大し、国内外から韓国美容市場は高い注目を集めていることがわかりました。