スヌンより厳しい!? 韓国の受講申請

今回は日本の大学から韓国の大学に再入学したKORECライターが、新学期に行われる履修科目の「受講申請」についてレポートします。韓国の大学受験戦争はニュースになるほど有名ですが、その後にある受講申請も日本と比べてかなり大変だったとのこと。韓国の大学生活のリアルをお届けします。

 韓国の大学の受講申請について

まず、一言で韓国の受講申請というものは「戦争」と呼ばれています。

私自身、日本の大学から韓国の大学に再入学したので、日本と比べてここまで受講申請に神経がすり減るということを身をもって体験しました。そして、この韓国の「学業」と「戦争」を結び付けた表現は、他にどこかで聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。「韓国の受験戦争」こと「수능(スヌン,修学能力試験)」です。韓国の高校生は、朝から晩まで、睡眠まで削って大学受験に挑むという傾向は、ドラマや映画で見たことある方も多いと思います。そして、晴れて大学に入学した後も、「戦争」が待っているのです。どういった点で「戦争」と呼ばれているのか、日本と韓国を比較していきたいと思います。大学によって規定が違う点はありますが、日本と韓国の共通点としては、

:シラバスの中から履修したい科目を決める。

:事前に組まれている必修科目と照らし合わせたり、アルバイトなど個人的なスケジュールと調整しながら教養科目・専攻科目を組む。

:学期毎に単位の上限数が決まっているので、卒業単位から逆算しながらバランス良く組む。

以上のように、教養科目、学科別専攻科目などに対する考え方や準備方法はほとんど同じで、その後の「申請方法」が大きく異なります

インターネット先着順!申込の厳しさ

日本の大学では基本的に受講したい科目をそのまま申請し、もしその科目が人気な場合には抽選で決めることが大半です。しかし、韓国の大学の受講申請は「インターネット上の時間を基準に、申込ボタンを早く押した順に授業を獲得することが出来る」のです。今回は私が在学中であるスンシル大学の受講申請方法を紹介したいと思います。

1>アプリを使って、講義評価情報を収集

韓国の大学生の間で広く使われているアプリ「エブリタイム」などを利用し、講義評価を調べます。シラバス以上の情報(実際の授業の雰囲気、課題や試験について)が掲載されているので受講申請前の準備には欠かせません。このアプリは、時間割を作成して友達と共有が可能で、学食・閲覧室など有用な学校生活の情報、同じキャンパス内のコミュニティなどが利用できる韓国の大学生にはマストなアプリです。※専用アプリを用意している大学もあります。

2>予備受講申請

受講申請日より1週間ほど前から始まります。これは、受講申請をする際により早く効率的に授業をとるための作業になります。簡単な手順として、シラバスから受講したい科目を選び、ECサイトのように「お買い物かご」に入れておきます。人気な科目やどうしてもとりたい授業の優先順位を付け、その順番通りに申請をしていきます。

3>最大の壁「インターネット申込」

この作業が一番重要な点であり、日本と決定的に違う作業になります。1秒でも早く申込ボタンを押そうと、インターネットの環境が良い場所で受講申請をします。韓国では、オンラインゲームをする人が多く、PCバンというネットカフェのような場所で実施する人もいます。

また、PCバンでただ申請をすればいいのではなく、インターネット上の時間で行うため、自分が使っているインターネットの正確な時間を見ながら、申請をする必要があります。サイバー上の時間を知るために、「네이비즘 서버시간(ネイビズムサーバー時間)」というものを使います。電波時計ではなく、使っているパソコンのサイバー時間が表示されるため、隣に座っている人とずれている場合もあるそうです。

このように私の大学の場合、受講申請時間が10時〜15時までという時間が設けられてはいますが、10時にスタートしたらその一瞬で運命が決まってしまうのです。

(韓国ではコンサートやミュージカルなどの観覧申込の方法も、申込ボタンを押した順に前方の席から獲得することができるシステムです。)

教授へ直接電話で交渉!取れなかった場合は休学も

結果、希望の科目がとれなかった場合は、担当教授に直接電話して、受講許可の交渉をします。これは韓国では빌넣(ピルノッ)と言います。語源は「빌어서 넣는다(お願いして入れる)」の略です。

韓国のパリパリ文化「빨리빨리(早ければ早いほど良いという考え)」の特性が影響しているのか、科目毎の授業計画書には教授のメールアドレスと電話番号が載っています。メールだと返事をいただけないこともありますが、電話することでその場で臨機応変に対応していただけることもあります。また、学科の事務室に直接訪問して、助教授の方に相談することも手段の一つです。助教授が教授と相談してくれたりすることもあるので、能動的に行動してこそ、受講申請の成功に繋がこともあるようです。

しかし、上記のような手段を尽くしたとしても、授業を聞くことができない場合は大学を休学する学生もいます。日本では、休学という選択肢を選ぶ人はかなり少ないですが、希望科目をとれなかった場合は、休学して資格をとったり、別の勉強に専念したりする人もいます

 まとめ

受講申請がかなり重要なことが理解していただけたのではないでしょうか。

私は現在2年生ですが、実際に今学期の受講申請に失敗してしまい、教授への電話もつながらなかったため学科の事務室を訪問しました。増員やクラスを増やそうと試みてくださいましたが、4年生を優先的に授業に入れているため、入れることは不可能だと言われてしまいました。むしろ4年生になってから優先的に入れてもらう方がいいとの事でした。

また韓国での企業説明会は業界や企業によって違いますが、韓国のある就職情報サイト (https://www.saramin.co.kr/zf_user/public-recruit/job-fair-schedule)を見ると、新学期の始まりである3月と9月の最初は開催している説明会自体が無いため、受講申請の大変さも考慮されているようです。

■参考文献

日本の受講申請 https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/52656

韓国の受講申請

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