皆さんは「結婚」に対してどのような考えを持っていますか?価値観が多様化する中で、結婚は必ずしもするものではなくなりました。しかし、韓国では日本であまり見られない「ある考え」を持つ人々が増えています。
韓国人口保健福祉協会の調査(2019年)によると、20代女性の57%が「結婚する意思はない」と答えています。一方、男性は37%です。したくでもできない「未婚」とは異なり、あえて結婚を選択肢しないことを「非婚」と呼びます。韓国女性政策研究院の調査(2019年)によると、「結婚に負担を感じる」と答えた女性は日本では32.3%ですが、韓国では64.0%にもなります。韓国の、特に女性の間でこの考えが広まっているのです。
一体何が起きているのでしょうか。何名かの韓国人の知人(20代・男女問わず)に結婚観について聞いてみると意見は様々で、「私は非婚主義者です」「最近はほとんどが結婚するつもりがなかったり、良いイメージを持っていない。逆に結婚したいと言っている友人がいない」「結婚しなくてもいいかな。でも、してみたいかも」「特に考えてないけど、どちらかと言えば肯定的」「機会があればしたいけど、そこまで重視していない」という声が上がりました。今回は、「非婚」について多く見られた傾向や、韓国で問題になっている問題についてご紹介しようと思います!
不動産の異常な高騰「家が高すぎて買えない」
今回の大統領選の争点にもなった不動産の高騰。投資を目的とした不動産取引が背景にありますが、ソウル市のマンション平均価格はここ5年で2倍ほど跳ね上がり、2022年時点で約1億2000万円となっています。例えば、築20年以上の3LDKマンションでも約1億3000万円するほど高騰しているのです。一方で所得は増えておらず、2019年の平均所得は約360万円です。このような状況から「家が買えないのに結婚なんてできるのか」という意見がありました。
また、2、30代を中心に株や不動産、暗号資産取引などの投資をする人が増えており、大学生の4人に1人が投資をしているというデータがあります。「友人と連絡をすると、株やビットコインの話が出る」という意見もありました。投資をする目的は様々ですが、このような不動産高騰を受けて、将来のために始めているのではという見解もあります。
韓国の過酷な就職活動「そもそも結婚を考える余裕がない」
韓国の就職活動が非常に厳しいということはこれまでもお伝えしてきました。その理由の1つとして「スペック採用」があります。ポテンシャル採用の日本とは異なり、即戦力を求めるのです。そこで必要になってくるのがインターンシップ。3ヶ月から半年の期間が一般的ですが、これを2、3社経験するそうです。また、インターンシップに必要な資格の勉強もしなくてはなりません。さらに、スペックには就労経験や資格だけでなく、大学での成績も考慮されるため、GPA3.5は必要。インターンシップや資格取得、大学の勉強などがあり、しかも希望する職に就けるとは限らないので、結婚について考える余裕が無いのだそう。ちなみに、韓国内の2018年の大卒新卒社員の平均年齢は30.9歳です。第二新卒の増加が背景にありますが、それだけ就職の準備には時間がかかることがわかります。
キャリアの断絶「5人に1人が退職」
韓国女性政策研究院の調査(2019年)によると、「子どもがいると就業やキャリアに制約を受ける」と答えた女性は、日本は35.6%に対し、韓国は77.2%となっています。実際、韓国では既婚女性の5人に1人が結婚、妊娠、出産、幼い子どもの育児と教育のために職場を離れたというデータもあります。さらに、復帰しようと思っても難しい現状が待ち受けます。韓国の就職情報サイト「サラムイン」によると、「ブランクを持つ女性を雇用すること」について246社に調査したところ、約6割が「負担を感じる」と答えました。
育児に対するイメージ「子どもを産むつもりはない」
韓国人口保健福祉協会の調査(2019年)によると、「子どもを産むつもりはない」という回答は71.2%にものぼりました。「子どもを産むと自分の時間がなくなる」「長時間労働に加えて、家事も育児もしなくてはいけない」といった意見がありました。韓国では日本以上に長時間労働が課題となっており、2016年時点で年間労働時間は2052時間です。一方、2015年度時点の日本の年間労働時間は1724時間、OECDの平均は1766時間でした。さらに最近では、家事や育児に費やす1日あたりの時間は、男性よりも女性の方が3時間長いというデータも出ています。
非婚時代を解決する道とは
これまでには一定規模以上の企業への保育園設置義務化や、残業時間縮小の「週52時間勤務制」など様々な政策が施行されてきました。今回の大統領選で当選した尹錫悦氏は、加速するこれらの状況を重くみて「250万戸以上の住宅を供給する」という公約を掲げました。
価値観が多様化する中で結婚は以前より自由になりました。しかし、生きやすさという面では課題も多く残っています。より暮らしやすい社会に向けて、今の時代に合った政策の検討が急がれています。
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