“韓国人採用を成功させるコツ”の後編として、前回の「選考編」に引き続き、今回は「内定者フォロー編」と題してそのポイントをお伝えいたします。
内定者フォローの重要性
日本人学生の採用経験がある企業様の場合、「内定者フォロー」の重要性について、一度は耳にされたことがあることと思います。マイナビ社の調査によると、入社予定先を決めている学生に対し、「不安になったことがあるか」という質問をしたところ、「不安になったことがある」と回答した学生が50.0%にのぼりました(「2021年卒 学生就職モニター調査 7月の活動状況」より)。また、不安になった理由で最も多かったのは「この会社できちんと務まるかどうか」という項目でした。
日本人学生でさえこのような不安を抱えたまま入社するケースが少なくない中、異国の文化に足を踏み入れる韓国人学生の心境はどうでしょうか。さらに昨今のコロナ禍ゆえ、実際に内定先企業を見学したり、働く社員と対面で接したりといった機会が極端に減ってしまっている状況下です。
韓国人学生の入社に対する不安を早い段階で払しょくすることが採用成功の肝となると言っても過言ではありません。
韓国の採用事情
2019年に大手企業の現代自動車が新卒一括採用を廃止し通年採用を開始したのちに、通年採用を行う企業が増えてきたことからも分かるように、韓国では「4月入社」にこだわらない採用が一般化してきています。実際にKORECのサービスに登録している韓国人ユーザーのうち54%が既卒であり、企業側も新卒・既卒を問わずアプローチをしていく必要があると言えます。
学生側も、日本では大手企業は夏前に採用活動を終えるため、志望企業から内定を得た学生は就職活動を長期化するメリットがなく、夏前に活動終了するケースがほとんどです。しかし、ほぼ通年採用を行っている韓国においては、他社からの内定を確保した状態で、冬頃まで水面下で就職活動を継続し、内定辞退に繋がってしまうケースが多々あります。複数社から内定をもらう優秀学生にこそ、内定通知書を交付したら終わりではなく、入社まできちんとフォローをしていく必要があるのです。
韓国人学生の内定者フォローを成功させるために
それでは、韓国人学生に対してはどのような内定者フォローが有効なのでしょうか。ここでは本年度KOREC経由で2名の韓国人を採用した、ITサービス系企業A社の事例をご紹介いたします。
韓国人学生の採用はA社にとって初めての試みであり、優秀な内定者を確保できたものの、入社までどのようにモチベーションを保ってもらうか、また自社への帰属意識を高めてもらうかということが課題となっていました。
そこで、KORECのマネジメントのもと、内定者2名に「リクルーター」として活動してもらう計画をスタートさせました。具体的には、効果的な『A社の23年卒韓国人採用の企画』をプランニングし、実際に広報活動をしてもらうという内容です。
本取り組みは内定者からも非常に好評でした。実際に後輩学生に向けてA社の魅力をアウトプットすることで、改めてA社のビジョンや事業内容を理解する契機となっただけでなく、オンライン主体でなかなかリアルに入社企業と接点を持つことができない状況においても、帰属意識の向上に繋がりました。
また、A社にとってもメリットが大きく、韓国人学生にとって自社がどのように映っているのかを確認する機会となり、次年度以降の採用活動に活かせるヒントを得ていただくことができました。
こうした事例は一例ですが、ザイオンス効果(※)にも示されるとおり、入社までの間に内定者となるべく多くの接触ポイントを持ち、会社側と学生側とで相互理解を深める取り組みを行うことが、内定者フォローにおいては重要となります。
※ザイオンス効果:相手と頻繁に接点を持つことで好感度が高まる心理効果
まとめ
今回は内定者フォローフェーズにおける、韓国人採用のコツについてお伝えいたしました。ポイントをまとめると、以下のとおりです。
・内定者は不安を抱えている。入社までにその不安を解消させることが重要である
・特に韓国人採用に関しては、内定辞退が起きやすいという特徴があるため、丁寧にフォローする必要がある
・フォローの手段として、例えば内定者を次年度採用のリクルーターとして活用するなどの取り組みも有効である
「選考編」「内定者フォロー編」と2回にわたり、韓国人採用を成功させるためのポイントをご紹介しました。貴社にマッチする優秀な人材獲得のためにも、これらの要素をご参考に、ぜひ韓国人採用にチャレンジしていただければ幸いです。