本記事では、日韓の働き方の特徴を比較し、採用広報時に何をアピールすべきことや韓国人材採用後の具体的なサポート対策について紹介します。韓国人材が日本企業に対して「この会社に入りたい」という志望意識醸成のヒントになることでしょう。
日韓の働き方課題と対策
労働時間の短縮とフレキシブルな勤務形態
韓国では、2018年から労働時間の上限が週68時間から52時間に短縮される法律が施行されました。この改革は、長時間労働を是正し若者の失業率を改善することを目的としています。企業はこの新しい規則に従うため、残業を減らし業務効率を向上させるための取り組みを強化しています。具体的には、業務プロセスの見直しや自動化技術の導入が進められているようです。
一方、日本では「働き方改革」が進行中であり、企業は労働時間の短縮やテレワークの導入を進めています。特に、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが普及したことにより、多くの企業がフレキシブルな勤務形態を採用しています。これにより、社員は仕事とプライベートのバランスを取りやすくなりました。
正規・非正規社員の格差解消
韓国では、正規社員と非正規社員の格差解消が重要な課題です。政府は企業に対して非正規社員を正規職化するよう呼びかけており、一部の大企業では非正規社員を廃止する動きも見られ、非正規社員への待遇改善や賃金引き上げを進めています。
日本でも同様に同一労働同一賃金が求められており、非正規社員への待遇改善に取り組んでいる企業が多いです。これには、賃金体系の見直しや福利厚生の充実が含まれます。特に、大手企業では非正規社員にも教育や研修機会を提供することで、スキルアップを図る動きがあります。
若者雇用促進策
韓国政府は若者雇用促進策に力を入れています。具体的には、インターンシッププログラムや職業訓練プログラムを通じて若者を積極的に雇用する取り組みが行われています。また、中小企業への支援も強化されており、若者が安定した職場で働ける環境作りが進められています。
日本でも若者雇用促進策として、新卒者向けのインターンシップや職場体験プログラムが増加。また、企業は新卒者が早期離職しないよう、入社前後のサポート体制を強化しています。特にZ世代(1990年代後半から2000年代初頭生まれ)の価値観に合わせた柔軟な働き方や福利厚生制度が課題です。
韓国人材の志望動機向上サポート施策
韓国人材の志望動機を上げるためにサポート施策と福利厚生のカスタマイズは、企業が多様なニーズに応えるために重要です。以下に具体的な施策とカスタマイズ例を紹介します。
文化的適応支援
韓国の人材は異なる文化やビジネス慣習に直面することが多いため、文化交流イベントやオリエンテーションプログラムの提供をおすすめします。例えば、韓国の伝統的な行事や食文化を紹介するイベントを開催し、社員同士の交流を促進することで、職場環境への親しみを深めることができます。
韓国では食事を共にしたら「家族同然」
韓国人の挨拶は「ご飯で始まり、ご飯で終わる」そうで、友達にあった時、日本だと「元気だった?」と聞くところを、韓国人は「ご飯食べた?」と聞き、別れる時は「いつかご飯食べよう」ということが多々あるそうです。
キャリア開発プログラムの提供
韓国人は自己成長やキャリアアップに対して高い意識を持っています。企業は、メンター制度やスキルアップ研修を導入し、個々のキャリアパスに合わせた支援を行うことで、定着率の向上が期待できます。
卒業学部を意識したキャリアプログラム
韓国では大学の専攻と職務の関連性を気にする学生が多いです。「大学での学びを活かせるのか」という視点で就職活動をしている学生も多いので、先輩社員やキャリアのモデルケースを紹介する場合、学部を紹介することを推奨しています。
福利厚生のカスタマイズ
韓国人材向けに特化した福利厚生として、健康管理プログラムや家族支援制度の導入があげられます。例えば、健康診断やフィットネスプログラムの提供に加え、家族に関連する制度を充実させることで、社員の生活全般をサポートします。
韓国企業は住宅手当が出ない企業がほとんど
単純に住宅手当があると嬉しいという思いを持っている韓国人学生は多いです。寮や家賃補助など何かしら補助があれば、経済的な不安を払拭してあげることができます。また異国の地での新生活なので「内定後、家探しなどを一緒になって探してもらって嬉しかった」という声もありましたので、寄り添う気持ちを持って対応してあげるのが大事だと言えます。
コミュニケーションの強化
言語の壁やコミュニケーションスタイルの違いから生じる誤解を減らしましょう。そのために多言語対応の社内コミュニケーションツールなどの導入が有効です。定期的なフィードバックセッションや意見交換会を設けると、社員が自分の意見や要望を気軽に表明できる環境を作り出します。
日本語は少しゆっくりめに
いくら日本語が出来る人だとしても、ゆっくり話をすることで「気を遣ってくれている」と感じられ、お互いのコミュニケーションがスムーズになります。
カタカナ語は言い換え
日本語と韓国語は文法的にも漢字語などの発音も似ていたります。しかし外来語は、全く異なる発音であることもしばしば。例えば、日本人は「Databese」は「でーたべーす」、「infomation」を「いんふぉめーしょん」と発音してますが、アメリカ人の英語の聴こえ方と異なりますし、韓国人が聞いても伝わらないことがあります。そのためカタカナ語はなるべくゆっくり伝えたり、説明を加えてあげたり、簡単な言葉に言い換えてあげましょう。例えば「フェーズ」は「段階」、「DX」は「ITやデジタル技術による改革」などに変えるといいでしょう。
柔軟な働き方の導入
リモートワークやフレックスタイム制度など、多様な働き方を選択できるようになれば、社員は自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能になります。働き方の柔軟性は特に若い世代にとって魅力的であり、企業へのロイヤリティ向上につながります。
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/09/korea_02.html
https://www.moel.go.kr/news/enews/report/enewsView.do?news_seq=16975
まとめ
韓国人材へ日本企業の魅力を伝えるためには、サポート体制と福利厚生の充実、キャリア開発や積極的なコミュニケーション、柔軟な働き方の導入などが効果的です。これらの対応策を効果的に組み合わせることで、定着率の向上も期待できるでしょう。韓国人採用の参考にしていただけると幸いです。