こんにちは!KORECインターン生の山崎です。私は2020年9月から2024年7月までの4年間、韓国大邱市にある慶北大学校に正規留学をしました。今回は、その留学で感じたことや学んだことを紹介します。韓国の大学生活や文化、就職活動の違いなど、多岐にわたる経験をエピソードを交えてお伝えしていきます!
留学を決意した理由
私が韓国正規留学を決意した理由は、進路選択に迫られていた当時のジレンマを解消できる道だったからです。
幼いころからKカルチャーに興味を持ち、韓国が好きだった私は、韓国語を独学で学んでいました。高校では韓国にある姉妹校との交流にも積極的に参加し、韓国への理解を深めていきました。
進路に悩んでいた当時、私の中で「韓国語を完璧にしたい」という思いと「経営学を学びたい」という想いがぶつかっていました。最初は日本国内の大学に進学するつもりでしたが、その選択肢では私の成し遂げたい2つのうち、どちらか一方に絞らざるを得ませんでした。
転機となったのは、高校3年生の夏に参加した韓国政府奨学金(GKS)主催の研修プログラムでした。そこで韓国への正規留学という選択肢を知り、「これだ!」と確信しました。
韓国で学べば、語学力の向上と専門知識の習得を同時に実現できると考え、留学を決意するに至りました。
勉強も遊びも全力!韓国の大学生活
韓国の大学に入ってまず驚いたのは、学業に対する熱意の高さでした。
試験期間になると図書館は満席となり、徹夜で勉強する学生も珍しくありません。また、韓国の大学では相対評価が一般的で、就職時に成績が重視されるため、良い評価(A評価)を得るために皆が必死です。私自身、最初はこの環境についていくのに苦労しました。
例えば、ある経営戦略の授業では、グループプロジェクトでケーススタディを行いました。韓国人学生たちと深夜までミーティングを重ね、プレゼンテーションの準備をした経験は、今でも鮮明に覚えています。彼らの熱意と努力に触発され、私も必死に食らいついていきました。
しかし、このような環境が、逆に自分を奮い立たせてくれました。授業に参加する際も前の方の席から埋まっていく様子や、授業終わりに積極的に教授に質問をする姿を見て、大変多くの刺激をもらいました。スタディカフェ等、勉強に集中できる環境が整っている点も良かったです。
一方で、韓国の大学生は息抜きの仕方も上手です。試験期間が終わると、学科やサークルで「終講パーティー」を開催します。そこでは試験期間に頑張った分、仲間と共に深夜まで飲み、ストレスを発散します。
この「オンとオフの切り替えの早さ」は、韓国社会全体に見られる特徴だと感じました。
勉強に全力を注ぐ一方で息抜きも全力で楽しむという姿勢から、メリハリのある生活の大切さを学び、4年間の留学生活を通じて「全力」という言葉に集約される韓国の大学生活を経験しました。
大切なのは「とりあえず言ってみる」:コミュニケーションの違い
韓国で生活しながら、日本人と韓国人の違いを改めて感じました。特にコミュニケーションの側面から、多くのことを学びました。
韓国で生活しながら感じたのは、韓国社会では「とりあえず言ってみる事」が大事だということ。つまり、何事も待つのではなく、自分からアピールする姿勢が重要であるということです。授業中に疑問があれば躊躇せずに質問する、グループワークでは積極的に意見を述べるなど、自己主張することが当たり前の文化なのです。
最初は日本人としてこの文化に戸惑いましたが、この「言ってみる精神」のおかげで多くの機会を得ることができました。
例えば、ある教授の国際交流イベントに興味を持ち、直接メールでアポイントを取って参加させてもらえないか尋ねたところ、快く受け入れてもらえました。日本にいた頃の私なら、遠慮してしまっていたかもしれません。
また、入学時期がコロナパンデミックと重なり、友達作りに苦労しました。しかし、自分から積極的に声をかけ、「日本人留学生です」とアピールすることで、同期や教授が声を掛けてくれるようになりました。
ある時は、韓国語での発表に自信が持てず悩んでいた際、勇気を出してチームメンバーに助けを求めました。すると、彼らは快く協力してくれ、発音の練習から原稿のチェックまで手伝ってくれました。
このような経験を重ねるうちに、韓国と日本のコミュニケーションスタイルの違いが、それぞれの社会や文化に深く根ざしていることに気づきました。日本の「以心伝心」や「空気を読む」文化に対し、韓国では直接的な表現や自己主張が好まれます。この違いは、単なる個人の性格の問題ではなく、社会全体のコミュニケーション規範の違いを反映しているのです。
韓国はスペック重視、日本はポテンシャル重視:就職活動の違い
私は、留学中に日本企業への就職活動を経験し、両国の就職スタイルの違いを肌で感じました。
まず、韓国はスペック(スキル)重視、日本はポテンシャル重視という大きな違いがあります。加えて「新卒カード」や「総合職」という概念は日本独特のもので、韓国では馴染みがありません。特に韓国の就職活動では、学業成績が非常に重視されます。多くの企業が成績証明書を要求し、GPAが選考の重要な基準になります。また、専攻と職種の関連性も密接で、例えばマーケティング職には経営学部出身者が有利になります。
さらに、韓国では資格やスキルの重要性が顕著です。TOEIC等の語学スコアや、職種に関連する資格が高く評価されます。インターンシップなどの実務経験も、採用において大きなアドバンテージとなります。就職準備に1〜3年かける学生も多く、中には卒業後に就活を始めるケースも少なくありません。
一方、日本企業向けの就職活動では、自分の経験や性格を伝え、「ポテンシャル」をアピールすることが求められます。私は実際に就職活動を行いながらこの違いに適応するのに苦労しました。
ある日本企業の面接では、学業に力を入れていたことを「ガクチカ」としてアピールしたところ、「勉強だけでなく、課外活動にも積極的に参加していましたか?」と質問されました。韓国では当然評価される要素が、日本では必ずしもプラスに働かないことを実感しました。
別の面接では、「韓国で学んだ異文化コミュニケーション能力を、どのように日本の職場で活かせますか?」という質問を受け、留学経験を日本のビジネス文脈に落とし込んで説明することの難しさを感じました。
これらの経験を通じて、文化によって「優秀な人材」の定義が異なることを学びました。また、自分の経験を相手の文化に合わせて表現することの重要性も痛感しました。
また、海外大学出身者に対する理解がもっと広まってほしいと強く感じました。留学生が持つユニークな視点や経験は、グローバル化が進む企業にとって大きな資産になるはずです。
相互の理解が深まれば、KORECを通じて日本企業とつながる韓国人材が、その能力を十分に発揮できる機会が増えていくことでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
4年という留学期間は長いようであっという間でした。この貴重な時間を通じて、単なる言語習得以上の深い学びを得ました。長期間韓国に住むことで、日本に住んでいたころには気づかなかった日韓の文化や社会システムの微妙な違いを肌で感じることができました。また、KORECインターン生として活動しつつ、日本就活を経験したことで、日韓の就職活動の違いについても深く考える機会を得ました。
私の体験記をもとに、韓国人材に対する理解が深まれば幸いです。同時に、海外経験を持つ日本人材の可能性についても考えるきっかけになればと思います。是非、採用時に参考にしてみてください。