今またブーム到来!?韓国でも大人気な日本のキャラクター

今韓国では日本のキャラクターが人気を博しています。専門店はもちろんコラボカフェまで登場しています。特に人気が高いキャラクターは「クレヨンしんちゃん」「サンリオ」「ジブリ」だそうです。なぜ人気なのか、どのような経緯で人気が広がったのかなどについて探っていきます。

幼少期から親しまれてきたクレヨンしんちゃん

クレヨンしんちゃんは、1999年に韓国の放送局SBSで初放送されました。現在25歳ぐらいの若者が生まれた年なので、クレヨンしんちゃんをテレビで見て育った若者が多いようです。韓国で放送されるクレヨンしんちゃんは、現在韓国で放映中の日本アニメの中で一番長い歴史がありますが、内容によっては韓国で放送される前に原作の約65%~70%カットされたこともあるそうです。韓国での「クレヨンしんちゃん」は「짱구는 못말려」(チャングヌン モンマルリョ)というタイトルで、直訳すると「チャングは止められない」という意味です。「チャング」がしんちゃんの韓国名です。

人気の理由

”SDキャラ”という2〜3等身で書かれている愛らしいキャラクターで、ユーモアさと滑稽さ、親近感がある点が人気です。普通の家庭が背景になっていて、登場人物がどこか見たことのある人物像であると、韓国人にも共感されてるそうです。また、誰もが共感できる人生の意味を伝えてくれる秀作だとして絶賛されており、韓国の情緒と合うことも相まって大人から子どもまで楽しめるアニメとして定着しているそうです。もともと1999年からSBSで放送されていましたが、SBSが放送権をTooniverseに譲渡後、2013年から高画質放送となり、新たに韓流要素も追加されました。日本でも人気となった「愛の不時着」のシーンを再現した内容が取り入れられたり、人気のK-POPアーティストの曲が作中で取り上げられるなどしている点も、人気の理由の一つだと考えられます。

コラボ

韓国のコンビニやアパレルショップでは、クレヨンしんちゃんとコラボした商品がよく見られます。ここでは、コラボした商品の中から一部紹介していきます。

コンビニチェーンCU ”クレヨンしんちゃんビール”

韓国大手コンビニエンスストアのCUが発売したこのビールは、主人公のしんちゃんではなく、アクション仮面やひろしなど、しんちゃんの周辺人物を全面に掲げたのが特徴です。20代30代のMZ世代のしんちゃんマニアを狙い、差別化をして魅力度を上げようとしているようです。

SPAO パジャマ

韓国の大手アパレルブランド”SPAO”では、クレヨンしんちゃんに関連するパジャマを多く販売しています。コラボパジャマが販売された2017年当初、SNSで話題となり、パジャマ1万枚が発売2時間以内に完売したといいます。現在(2024年6月時点)も、クレヨンしんちゃんに関連する商品が17点販売されており、子ども用から大人用まで老若男女問わず着れるようなデザイン、サイズ展開になっています。

世界的人気ブランドのサンリオ

サンリオキャラクターは、世界的に人気なキャラクターの一つですが、韓国も例外ではありません。韓国でより沢山のサンリオキャラクターが愛されるようになったきっかけを、サンリオグループ会社(Sanrio Korea Co., Ltd.)社員によれば、「マイメロディ」45周年記念ポップアップイベント(2020年)の影響が大きいそうです。もともと韓国でも「ハローキティ」は三世代にわたり愛され続けているキャラクターで、「ハローキティ」に続く人気キャラクターを見つけるため、韓国の社員がSNSを分析したそうです。そこで「マイメロディ」にもファンが多いことが分かり、イベントを開催しました。結果イベントは成功し、3週間で1万2千人訪れたそうです。試験的に「マイメロディ」「リトルツインスターズ」「クロミ」「シナモロール」「ポムポムプリン」などのグッズも販売したところ、こちらも大人気で、沢山のサンリオキャラクターグッズが販売されるようになったそうです。

人気の理由

いかにも韓国らしい理由として、「サンリオのキャラクターと顔やしぐさが似ている推しのK-POPアーティストを重ね合わせて愛でている若者も多い」という点です。芸能人のファンサイン会などで、サンリオキャラクターグッズをプレゼントしたり、実際に身につけてもらう事で推し活を楽しんでいるファンが多いようです。サンリオキャラクターはSNSを通じたデジタルプロモーションで徐々に若者のファンを増やし、今や韓国で大人気キャラクターとなっています。

コラボ

韓国にはサンリオキャラクターとコラボしたイベントや商品が多数存在します。サンリオはキャラクターの種類が多い為、キャラクターから派生した商品やコンテンツを制作しやすいのだと考えられます。

Everland(instagram @witheverland  ※韓国語)

韓国で人気の遊園地、Everlandは、2024年3月22日〜6月16日にサンリオとコラボしました。色んな花を楽しめるガーデンや、キャラクターと写真を撮る事ができるフォトスポットなどが登場し、見る人を楽しませました。

サーティーワンアイスクリーム

昨年、31アイスクリームとサンリオのコラボで、桃とヨーグルトの組み合わせのアイスクリームが発売されました。「マイメロディ」と「クロミ」の外見を表したアイスクリームで、可愛い見た目が特徴のアイスクリームです。

業界からも憧れの的であるジブリ

日本の大衆文化が解放されつつあった2000年以降、ジブリのほぼ全ての長編作品が韓国国内の劇場で公開され、幅広い世代に受け入れられているそうです。2023年に公開された「君たちはどう生きるか」は韓国でも上映され、初日動員数が25万5000人を突破しました。これは、韓国で上映された日本映画として歴代最高記録を樹立した「すずめの戸締り」の初日功績も上回る驚異的なスタートとなったそうです。また、新作映画だけでなく、過去に上映された人気作の再上映も行われており、2014年に「ハウルの動く城」、2015年に「千と千尋の神隠し」、2019年に「となりのトトロ」「魔女の宅急便」が再上映されるなど、韓国でのジブリ人気が伺えます。

人気の理由

韓国は映画産業が盛んですが、韓国の国産アニメのヒット作は少なく、収益を得るのは難しいと言われています。アニメを制作する韓国の若者の中には「韓国の宮崎駿になる」と表現する人がいるほど、ジブリ作品は韓国のアニメ業界に影響力を与えていると考えられます。現在の若者は、映画上映や再上映、Netfrixを通じてジブリ作品と親しんでいるため、ジブリは上の世代に限らず、若者にも愛されているのだと思われます。

コラボ

ソウルの延南洞には、「魔女の宅急便」をコンセプトにしたカフェ「コリコカフェ(Koriko Cafe/코리코카페)」があります。2024年3月には、済州島にも2号店をオープンしました。このカフェを手がけている大元メディアは、スタジオジブリの公式パートナー企業としてジブリ作品の韓国での展開を手がけている企業なので、このカフェはスタジオジブリ公認のカフェになっています。

筆者自身も2023年に延南洞のコリコカフェに訪れました。店内は魔女の宅急便のコンセプトで細部にまでこだわって世界観を表現しており、非常に温かみのある空間でした。店内にはジブリグッズが販売されており、ショッピングも可能です。店内には若い世代の女性やカップルが多くおり、ジブリが若い世代に人気なことが伺えました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したキャラクターは世界でも人気なキャラクターですが、韓国ならではのマーケティングやコラボ企画で人気を伸ばしている部分もあるようです。日本の文化が韓国国内でどのように取り扱われているのかを知ることで、韓国の今の流行や韓国人の趣向を知るきっかけになれば幸いです。

参考文献

https://www.oricon.co.jp/special/67150/2
https://creatrip.com/ja/news/13692
https://sanriotimes.sanrio.co.jp/n/n41b5ff75d87b
https://kstar-translation.com/sanrio-korea
https://creatrip.com/ja/news/12316
https://kstar-translation.com/crayon
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240305001500882
https://www.chunichi.co.jp/article/542638
https://www.ghibli.jp/info/013344
https://sskensyou.r-cms.jp/society_topic/id=4442
https://www.youthdaily.co.kr/mobile/article.html?no=123602
https://m.dnews.co.kr/m_home/view.jsp?idxno=202303301412237350127