大学人気学科紹介①Kコンテンツ時代を支える!韓国のメディア学科とは?

韓国で急速に人気を集めるメディア学科。その背後には、世界中で絶大な注目を集めるKコンテンツの影響があります。K-POPや韓国ドラマの勢いはとどまることを知らず、これに伴いメディア関連の学びが魅力的な選択肢となっています。今回は、韓国の大学で人気が高まるメディア学科の魅力と、その背景にあるKコンテンツの力について詳しく探っていきます。

世界を圧倒するKコンテンツ

画像: 全米俳優組合賞(SAG)ではアンサンブル・キャスト賞を受賞

出典:【徹底検証】パラサイトはなぜアカデミー賞作品賞を受賞できたのか? – SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)

以前から、K-popや韓国ドラマ等の韓国が作るコンテンツは国際的に話題を集めてきましたが、2019年に一つの大きな転換点が訪れました。韓国映画「パラサイト」が第92回アカデミー賞で作品賞を含む4部門を受賞し、韓国映画史上初の快挙を成し遂げたのです。この出来事により、Kコンテンツへの注目が一気に高まり、韓国のエンターテインメント産業全体に対する国際的な評価が大きく向上しました。

さらに、2020年以降のコロナパンデミックは、Kコンテンツの世界的普及を加速させる要因となりました。外出制限や自粛生活が続く中、多くの人々がOTTサービスを通じてエンターテインメントを楽しむようになり、その結果、Netflixやその他のプラットフォーム上で提供される韓国ドラマやバラエティ番組への関心が急激に高まりました。

こうした流れの中で、韓国ドラマやK-POPは世界中で親しまれるコンテンツへと成長しました。

Kコンテンツが人気になった背景

このようなKコンテンツの急速な台頭と持続的な人気の背景には、韓国政府が長年にわたって推進してきた国策としてのコンテンツ産業育成があります。特に1990年代後半から、韓国政府はコンテンツ産業を国家の戦略的産業として位置づけ、積極的な支援と投資を行ってきました。

その中核を担う機関が「韓国コンテンツ振興院」です。2009年に設立されたこの政府機関は、韓国のコンテンツ産業が国内経済をリードするグローバルリーダーに成長できるよう、様々な支援事業を展開しています。具体的には、コンテンツ制作への資金援助、海外展開支援、人材育成プログラムの実施、最新技術の研究開発支援など、多岐にわたる取り組みを行っています。「世界5大コンテンツ大国の実現」をビジョンとして掲げ、国家としてコンテンツ産業の育成のための総合的なサポート体制を構築しているのです。

このような国を挙げての取り組みは、特に韓国ドラマ産業に大きな影響を与えています。政府の支援と民間企業の投資が相まって、韓国ドラマの制作環境は著しく向上しました。大手OTTサービスとのオリジナル作品制作や、世界同時配信の積極的な展開は、その成果の一つと言えるでしょう。

例えば、Netflixは韓国コンテンツに対して巨額の投資を行っており、2021年には向こう4年間で5,500億ウォン(約5,500億円)を投資すると発表しました。このような外部からの大規模投資も、韓国ドラマの製作費の増大と品質向上につながっています。

日本の動き

(出典:Netflix公式YouTube)

一方で、日本でも近年、グローバル市場を見据えたコンテンツ制作の動きが活発化しています。従来の制作会社や放送局主導ではなく、俳優や監督が直接グローバル配信プラットフォームと組んで世界市場に挑戦するケースが増えているようです。

例えば、俳優の賀来賢人さんは2023年に自身の映画製作会社「KUNDŌ」を設立し、Netflix向けのオリジナルコンテンツ制作に乗り出しました。また、世界的に評価の高い是枝裕和監督も、2023年にNetflixと複数年契約を結び、映画やドラマシリーズの制作を手がけることを発表しています。

高まるメディア学科への関心

メディア学科とは?

メディア学科は、人文・社会学系統に属する学科です。情報通信技術の急速な発展に伴い、多様なメディアで提供されるコンテンツを基盤に新しく創出される様々な応用分野を扱います。

メディア学科は、マルチメディアと情報通信および情報保護を包括し、基本的な理論に基づいて実用的な教育を提供します。実務能力の優れた人材を輩出するため、マルチメディアのための、情報通信による、信頼できる情報化社会を先導する専門家養成に教育目標を置いています。

数年前までは、多くの大学が「新聞放送学科」という名称を使っていましたが、時代に合わせ今では大多数が「メディア学科」へと名称変更をしました。大学によって、コンテンツに力を入れたり、言論(新聞や放送局)に焦点を当てた専門的な学科もある一方、「文化メディア」といった幅広い学問として設けている学校もあるようです。

高まるメディア学科の人気

今までは、文系と言えば経営・経済系列が人気を博していましたが、最近はメディア系列学部が文系のトップに躍り出ています。

韓国「鍾路学院」が2025入試を準備する受験生1104人を対象にアンケート調査を行った結果、文科生の44%がメディア/社会科学系進学を希望することが明らかになりました。

このようにメディア/社会系列の人気が高まっているのは、Kコンテンツが世界中に広がり、それに伴って関連学科への関心が増したためだと考えられます。

特にメディア/社会系列の代表的な学科であるメディア学部、メディアコミュニケーション学部などの場合、卒業後、メディアや放送局だけでなく、映画、映像、広告、マーケティングなど様々な分野に進出が可能で人気の高い特徴があります。

最近ではYouTubeやNetflixなどのビデオプラットフォームの影響力まで大きくなり、関連学科を志望する学生も増えているようです。

メディア学科生の進路と強み

(出典:人文科学の「メディアと社会科学」(44%)を非専攻の選考で選ぶのはなぜ?..2位 経済・経営 (33.6%) < 大学入試ニュース < 大学入試<記事本文 – Veritas Alpha (veritas-a.com)

韓国のメディア学科は、4次産業革命時代のニューメディア分野をリードする人材の育成に積極的に取り組んでいます。最近では、「コンピュータプログラミング」と「グラフィックデザイン」の学習が基盤となり、これに加えてAI(人工知能)やデータサイエンスの知識が重視されています。これにより、学生たちはデジタル時代に求められる高度な技術と応用能力を備えることができます。特に、AIとデータ基盤の知識は、メディア業界での革新を支える要素として重要視されており、これらを活用した実践的なコンテンツ制作実習が数多く設けられています。このようなカリキュラムにより、卒業生は多様なメディア分野で即戦力として活躍できる人材となっています。

主な就職先は以下の通りです:

– 放送職:放送演出家(PD)、放送作家、ウェブ及びマルチメディア企画者、ウェブ放送専門家、演劇・映画・放送技術監督

– 広告職:広告・広報専門家、広告デザイナー、コピーライター

– 技術職:デジタル映像処理専門家、音響・録音記事、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)専門家

まとめ

いかがでしたか。韓国といえば「IT人材」のイメージが強い傾向にありますが、今回ご紹介したように、コンテンツ制作力や創造性を備えた人材も豊富に存在します。特に、メディア学科で学ぶ学生たちは、最新のテクノロジーとクリエイティブな思考を融合させた教育を受けており、グローバル市場で通用する高い潜在能力を持っています。

今後も、韓国の大学で注目を集める学科や、ユニークな専門性を持つ学科について紹介していく予定なので、お見逃しなく!

参考文献

映画『パラサイト』成功の裏側、韓国の「文化輸出」への思いと戦略(澤田 克己) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

韓国政府、コンテンツ大国トップ4に向けて「映像産業跳躍戦略」を発表(韓国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

日本を圧倒する「韓国コンテンツ」不動の人気の訳 30年前からすでに始まっていたグローバル展開 | 読書 | 東洋経済オンライン

賀来賢人、大沢たかおら日本の俳優がNetflixやAmazonと組んでプロデュース業に参入:日本のエンタメ産業に新しい風 | Branc(ブラン)

【徹底検証】パラサイトはなぜアカデミー賞作品賞を受賞できたのか? – SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)

人文科学の「メディアと社会科学」(44%)を非専攻の選考で選ぶのはなぜ?..2位 経済・経営 (33.6%) < 大学入試ニュース < 大学入試<記事本文 – Veritas Alpha (veritas-a.com)