日本との違いは!?韓国の英語教育事情

コロナ以前よりグローバル化が加速し、さらにここ数年はインバウンド需要の増加などから「英語力」「英語教育」について多くの話題や課題が取り立たされています。ことさら韓国人学生の英語力の高さについては、KORECでも度々取り上げてきました。今回は韓国の英語力を支えている教育事情について調査してきました。

韓国はアジア1位の実力!日本は・・・


世界的な語学学校運営企業のEFエデュケーション・ファースト(スイス)が2023年の「英語能力指数」ランキングを発表したところ、韓国は49位、日本は過去最低順位の87位でした。さらにこの調査のうち、アジア23カ国・地域において韓国が1位でしたが、日本はさらにベトナム、中国などを下回り15位という結果でした。

日本の文部科学省は2020年度より小学校3年生から英語の授業が必須科目となりましたが、韓国ではすでに1997年から小学校3年生の英語が必須科目となっています。

韓国が早くに英語教育を充実させた理由は、1997年のアジア通貨危機により韓国ウォンが暴落したことがきっかけです。韓国企業は生き残りをかけてグローバル化に着手し、この改革が成功したため、多くの韓国の有名企業がグローバル企業へと発展しました。同時に義務教育でも1997年より英語の授業の見直しが行われたのです。

また、韓国の英語の授業では「質」の部分にもこだわっているのが特徴です。特に英語でのコミュニケーションを重視した授業が主流となっています。旅行や買い物で使う英会話や、英語で手紙やメールを書くなど、日常の場面ごとに英語の授業が展開されているため、英語でコミュニケーションをとる良い機会となっています。さらには、単語や文法も覚える進級テストが設定されており、英語の「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランスよく身につけることができます。

2023年2月21日の日本経済新聞には「小学校3~6年生が学校で英語を学ぶ時間を合算すると、韓国の方が日本よりも約130時間多い」と記載されてます。授業レベルも高く、韓国の小学6年生の英語の授業は、日本の中学2年生レベルだとも言われています。このように韓国では早期から質にこだわった学校での英語教育が充実していることも、韓国人の英語力が高い理由の1つといえるでしょう。

日本とはここが違う!?学校外の英語教育事情

日本と違って韓国では学校外でも英語教育が熱心に行われています。その特徴を調べてみました。

ーーー英語塾に通う

韓国では小学校の近くには英語塾があることが普通で、毎日のように生徒が学校帰りに通っているそうです。韓国の小学校では3年生から英語が成績のつく科目であるため、学校外で英語塾に通い成績を伸ばすために勉強しています。韓国では幼少期の段階から英語を学んでいる人が多いのが日本との違いの1つです。

ーー留学に行く

留学生の数も韓国と日本では違いがあります。2023年の日本経済新聞の記事によると、2019年の時点で外国の大学・大学院に留学中の韓国人は約21万人もいるそうです。それに対して日本は約6万人に留まっています。対比すると、韓国の人口は日本の半分ほどですが、留学生の数は3倍にも上るということ。留学経験のある方は、留学先で韓国人の友達がたくさんできた!という方も多いのではないのでしょうか?単に語学留学に行く人はもちろん、学位として海外の大学に進学する人もたくさんいます。

また近年人気の「フィリピン留学」も、元々は韓国人がフィリピンに語学学校を建設したことから始まったと言われています。1日約6時間マンツーマンで英語をみっちり学習できることが特徴とされるフィリピンの語学学校は、韓国人経営の学校が沢山あります。このことからも韓国人の英語学習に対する熱心さや、彼らの留学に行く割合が高いことを象徴しています。

韓国人の性格の特徴と言われる「外向き思考」、何でも積極的に行動するという国民性、「とにかく悩まずに海外に飛び込む」というマインドもたくさんの韓国人の方が海外留学を経験している要因の一つかもしれません。

韓国の英語教育が発展した背景

これまで韓国の英語教育の事情について日本と比較して述べてきました。どうしてここまでも英語教育に熱心なのかと言うと、その主な目的は将来の就職活動のためだと言われています。韓国の有名企業で働くためには、有名大学を卒業することはもちろん、TOEIC850点以上必要です。KORECカフェに通う韓国人学生からも「TOEICの点数は900点以上でないと自慢にはならない」「日常会話レベルの英語は話せて当たり前」という声をよく聞きます。また韓国企業からは、韓国内の大学学位よりも海外大学の学位の方が評価されやすいため、留学に備えて早期から英語学習を始める人も多いそうです。

ハヌル(大学入学試験)はもとより、厳しい競争社会に打ち勝つために英語はもはや一つのツールとなっているのです。

まとめ

いかがでしたか?韓国では学校内だけではなく、学校外でも幼い頃から、将来を見据えて英語の学習が熱心に行われていることが分かりました。

英語学習を早期から始めることは、韓国人の英語力の高さを象徴しています。そのような彼らの高い英語力はグローバル化が進む韓国企業だけでなく、世界各地の企業で活躍できることは間違いないでしょう。

参考文献

https://www.recordchina.co.jp/b909575-s39-c30-d0195.html

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2020/09/post-444.php

https://www.nippon.com/ja/japan-data/h01509/

https://ej.alc.co.jp/entry/20170228-korea-english