韓国の英語教育

グローバル化が進む中で避けて通れない英語力。どんなに翻訳ツールが開発されても、さまざまな国の人と交流するにはやはり英語でのコミュニケーションは欠かせません。

韓国の方の日本語力の高さについてはこれまでもお伝えしてきましたが、今回は韓国の「英語教育」についてご紹介したいと思います!

韓国の英語教育の歴史

日本の小学校で英語が必修科目になったのは2020年4月ですが、韓国の小学校ではなんと1982年から英語授業が導入されています。当初は「特別活動」や「課外活動」という形で試験的にスタートし、1997年には小学校3年生以降の必修科目となりました。さらに2008年には小学校1年生からの必須科目となっています。

中学校及び高校では、第1次教育課程が制定された1950年代初めから英語の教育課程の目標が設定され、英語教育が始まりました。訳読読解中心の教育から1970年代ごろに文法教育へ、1980年代には使える英語を目標とし、1990年代には文法中心から概念や機能を中心とするように変化していったと言われています。

韓国では基本的に高校受験はなく、芸術やスポーツに特化した特殊目的高校や自立私立高校、エリート高校と呼ばれる科学英才学校のみ高校受験があります。これらの受験が必要な高校の中に英語を含む外国語に特化した高校もあり、高校受験はかなりハイレベルな戦いになります。

そして、韓国の受験戦争といえばスヌン(大学受験)です。1994年に開始したスヌンでは、第一回から英語の試験がありました。義務教育時代からしっかりとした英語教育がなされ、スヌンに向けての勉強でさらに英語力が鍛えられるわけですね!

韓国のTOEIC事情

就職や留学で、日本でも必要条件であることも多いTOEIC。日本のTOEICの平均点は、2021年時点で574点で、これは世界で31位になります。では、韓国は何位だと思いますか?正解は、679点で21位です!(ちなみに2020年は683点で世界12位でした!)

韓国の順位はアジアの中でトップクラスで、平均点は日本と100点以上も差がついています。先ほどご紹介した学校での英語教育の違いだけで、これほどの差がついてしまったのでしょうか??

実は理由は他にもあり、韓国では小学校に入る前から子供に英語を習わせる人が多いです。小学校の英語教育の導入が早かったことも大きな要因で、英語の早期教育に深い関心が寄せる人が多く、ネイティブの先生や生徒と一緒に学べる英語幼稚園も年々増えていると聞きます。

また、やはりスヌンの熾烈さも要因として考えられます。基本的に高校での英語はスヌンの突破に向けた勉強が多く、スヌンの方がTOEICよりも複雑だったと感じる人もいるようです。

そして大学に入ると、今度は就職のためにTOEICを勉強し始めます。韓国では海外へ市場を広げている企業が増加しているので、グローバル人材を求める傾向があります。韓国の就活は学歴やスペック重視なため、書類で落とされないように良いスコアを取らなければいけません。(就活生にはTOEICのスコアがコンプレックスで600、700点台でも言わない人もいます!)

ちなみに、2021年に世界5位とアジアの中で常にトップクラスのTOEICスコアを叩き出しているのがフィリピン。韓国ではTOEICの点数向上のためにフィリピンへ語学留学をする人も多いのですが、フィリピンにある英語学校は韓国人経営校が結構多いんです。実際TOEICの勉強のためにフィリピンの韓国人経営校へ留学した人に話を聞くと、提供される食事は韓国料理が美味しかったり多国籍な環境で異文化交流できたりと魅力を感じつつも、かなりハードなカリキュラムで自由時間も少なくスパルタだったそう(苦笑)。TOEIC対策もバッチリで、その甲斐あってスコアはかなり上がったそうです!

実際の英語教育と第2外国語

何人かの韓国人の方に、英語の授業や勉強法について聞いてみました!

ー英語の重要性を意識し始めたのはいつですか?

この質問はかなり人によって回答が違いました。仕事をしている時に海外の人とコミュニケーションをとった時や、成人して社会に出たタイミングだと答える人もいれば、小学校や中学校の英語の授業で“感じさせられた“と答える人もいました。

ー何がきっかけで英語が重要だと思いましたか?

中学校や高校で周りの友達と比べて頑張らないと!と思ったことがきっかけという声が多くありました。試験の結果や受験勉強の際、また英語キャンプに参加した時に力の差を感じたという回答がありました。

英語キャンプは英語村とも呼ばれ、施設で一定の期間、学生が授業だけでなく生活でも英語を使いコミュニケーションを取りながら過ごしていくプログラムです。最近はこのようなプログラムや語学研修が子供の時から体験でき、英語力向上の良い刺激となっているようです。

他には、グローバルな企業が増えたことや、実際に留学をする人の中で、扱うものが英語になってきて勉強するきっかけになった人もいました。

ー英語はどのような授業でしたか?

スピーキング、ライティング、リスニングなど様々な形態の授業があったが、スヌン向けの授業が多く、基本的に文法を学び読解をすることが多かったようです。

ー英語力向上のためにどのような行動をしましたか?

この回答はさまざまで、ドラマや外国人のインタビューをみて真似をした人、洋書を読んで勉強した人、過去問をひたすら解いた人、海外の人と交流できるプログラムに積極的に参加した人などそれぞれ自分に合った努力で向上してきたようです。

終わりに

元々国として早くから力を入れていた英語教育に加え、厳しいスヌンや就職、企業のグローバル化などの影響が、韓国の素晴らしい英語力を生んでいるのが分かりました。

また、韓国では英語以外にも第2外国語の教育が熱心になされています。以前の記事で韓国での日本語教育についてご紹介しましたが、韓国の高校では日本語を含む第2外国語を選択式で学ぶことができます。スヌンでも第2外国語を受験科目としている大学もあり、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、日本語、ロシア語、アラビア語、ベトナム語など様々な言語が選択科目にあります。高校で習っていたため簡単な会話ができたり、留学や海外での就職のきっかけになったりなど、英語以外の言語教育もグローバル化と共に進んでいるように感じます。今後も韓国での語学教育は躍進していくでしょうか。

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