韓国のスペック採用について

韓国ドラマをよく見ていると、大手企業就職のためにボランティア活動をしたり、資格取得や好成績を目指して昼夜勉強に勤しむシーンをよく見ます。例えば、2018年公開のドラマ『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜 』では、上流階級の妻たちが子どもの教育に奔走し、あの手この手で大学合格を手に入れようとする姿が印象的でした。

韓国はなぜこれほど高学歴にこだわり、高スペックを重視するようになったのでしょうか?

今回は、新卒であっても高いスペックを求められる韓国式「スペック採用」の背景や、昨今の韓国内での採用事情について見ていこうと思います!

韓国でスペック採用が進む背景

実は韓国でスペック採用が主流となったのは、それほど昔の話ではありません。変化のきっかけとなったのは1997年に起きたアジア通貨危機です。莫大な不良債権を抱えることとなったこの通貨危機で韓国経済は大打撃を受け、中小企業は倒産、大企業は雇用を抑えるようになります。もともと日本と比較して労働市場が小さいうえ、多くの企業が利益重視の経営方針に転換したため、大卒者とその就職先のバランスが崩れてしまったわけです。

また、日本であれば就職先の選択肢として大企業だけでなく中小企業もありますが、財閥企業を始めとした大企業と中小企業の間に圧倒的な差がある韓国では、中小企業への就職は何としても避けたいところ。

例えば、新卒でもらえる平均年収を比較しても、大手企業が約4,130万ウォン(日本円=約413万円)なのに対して、中小企業は約2,800万ウォン(日本円=約280万円)と130万円以上の差※があり、待遇面の差や雇用の不安定さなど、日本とは違う中小企業の脆弱性が、大企業への一極集中を引き起こしてしまっています。

2022年現在、韓国経済は好調とは言えず、韓国・世界日報による就職率は、調査開始以来最低の数値となる65.1%を記録しています。つまり、超買い手市場で企業が求職者を厳選できる採用環境になっているので、狭き門をくぐる判断材料としてスペックが活用されるようになるのは、ある意味必然と言えるかもしれません。

※JOBKOREA「4年制大卒の新卒初任給平均」より

主流となりつつある「常時採用」

韓国でスペック採用が進む要因の一つに、近年主流となりつつある「常時採用」があります。常時採用は「通年採用」とも呼ばれ、必要な時期に必要な人数だけを採用する方法です。

韓国ではこれまで、年2回(3月と9月)採用時期を設ける定期採用が導入されていました。これは日本で経団連が採用選考活動開始を卒業・終了年度の6月1日以降と定めているように、毎年同じ時期に選考を行い、新卒の学生を採用する方法です。しかし近年、大企業や中堅企業を中心に、定期採用から常時採用への動きが進んでいます。韓国4大企業グループである現代自動車グループ、SKグループ、LGグループも2020年ごろから定期採用を廃止し常時採用に移行しており、世界企業との激しい競争の中で活躍できる、即戦力人材の獲得に注力していく風潮です。

景気回復等で人材募集が大幅に増えない限り、必要な即戦力だけを採用する常時採用では、定期採用時と比べて採用枠は減る一方です。今後も大企業への就職はさらに厳しく、スペック競争も加熱していくのではないでしょうか。

まとめ

今回は韓国就職の特徴であるスペック採用とその背景、主流となりつつある常時採用についてもご紹介しました。この常時採用への移行によって、今後も大卒学生にとって厳しい就職難が続くと思われます。日本を始めとした海外での就職を視野に入れる優秀な韓国学生が、ますます増えてくるのではと感じています!

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