韓国が持つ、日本の新しいイメージとは。

エンタメや食文化など、韓国を身近に感じる場面は近年とても増えていると感じますが、政治的に日韓関係が上手くいっている、とは決して言えない状況です。日本人の私たちからすると、ニュースで聞く韓国人の反日行動について、疑問に感じる部分もあると思います。

実際、韓国では教育として反日教育を受けているのでしょうか。日本に対して、どんなイメージを持っているのでしょうか。韓国人材の採用を検討している担当者の方からすると、そのあたりのデリケートな面も気になると思います。

今回は、就職支援を通じて多くの韓国人と触れ合うKORECスタッフや、韓国人留学生のリアルな声をお届けします!

新しい日本のイメージ

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が出している外国人留学生の2020年度データによると、日本に留学している韓国人は15,785人で、国別で4位です。そんな留学生の一人、Y君に話を聞くことができました。

小さい頃から日本のアニメに親しみ、中学生くらいになるとネットで自ら韓国字幕がついている日本アニメを検索して見ていたY君は、日本にどういうイメージを持っているでしょうか。

ー学校の授業での日本はどんな感じでしたか??

「やっぱり植民地の授業とかになると、昔の日本を悪く言うような発言や、政府を批判するような発言はあったかもしれません。でも、今の日本、というか日本人のことが嫌いになるような発言は特になかったですね。

韓国人としてみんなが持っているイメージとしては、植民地時代の支配に関するしっかりとした謝罪がないからひどい、みたいな感じでしょうか・・。日本が嫌いとか、日本人が嫌いとかは全然ないです!」

ー歴史の授業を聞いて、日本嫌いにはならなかったですか?

「授業中は歴史の知識を学んでる感じなので、特に嫌な感情にもなりませんでした。歴史の授業で習ったことよりも、日本のアニメがおもしろいっていう感情が勝つので、日本が好きって子の方が周りに多かったです。年代によるかもしれませんが、若者は日本に対して歴史よりもアニメなどのイメージが強いと思いますね。」

歴史から受ける感情

ソウルにある延世大学の卒業生で、現在も韓国で働く日本人のMさんにも、お話を伺いました。

「日本と比べると、日韓の歴史を学ぶ量や時間が多いと思います。自国の歴史を学ぶ上で、1割くらいは日本について学んでいるのではないでしょうか。植民地時代の話も多いし、慰安婦問題や竹島問題など、現代史としてもよく学んでいます。

また、日本ではそれほど深く取り上げられない『文禄・慶長の役(豊臣秀吉時代の朝鮮出兵)』は、韓国ではとてもメジャーな歴史で、みんな詳しく知っていますね。特に挑戦水軍司令官のイ・スンシンは韓国では英雄的存在で、銅像とかも建てられています。」

ー反日教育についてはどうでしたか?

「あるなしで言うとあると感じます。文禄・慶長の役など、日本=侵略者として授業で習うので、悪い感情というのはどうしてもあるのかな、と。植民地時代についても、学校の先生がその当時の日本は悪だって教える人が多いようです。逆に先生が植民地時代について少しでも肯定的な立場を取ると、学生に批判されるみたいなことも実際にありましたね。」

日本に対する本音と裏側

またMさんは、在学中に起こった印象的な出来事を話してくれました。

「延世大学在籍中に反日をリアルに感じた話があります。東アジアの文化について学ぶ授業で、アメリカに長く住んでいた韓国人の教授が、植民地時代の日本の活動が、韓国のインフラ整備や成長につながった一面もある、という話をしたんです。そしたら、その話を聞いていた学生が直接抗議のメッセージを送ったり、Facebookでその教授の愚痴を書いたりして。SNSなどが荒れた出来事がありました。」

ー少しでも中立的な意見を言うと、そのように批判されてしまうのですね。

「その出来事を知って、大学生になるまでに結構な反日的教育を受けてきたんだって感じました。『そんな意見はあってはならない、そんな意見を聞くために高い授業料を払っているわけじゃない!』というような、結構衝撃的な意見も聞いたりしました。」

ーとはいえ、今の日本と昔の日本は別物であると考えているのでしょうか。

「ウリナラ(私たちの国)で起きたことっていうふうに考えているので、今でも昔に起きたことに対する憎悪とかは残っているような気がします。

でも民間レベルで見ると、日本人の友達がいたり、日本文化が好きだったりはたくさんあります。なので、そういう点では別物として捉えているのかな。

日本のドラマ、アニメ、芸能人が15年前くらいから結構入ってきていて、その影響で日本に対するイメージも徐々に変わってきているかもしれません。例えば、嵐がきっかけで日本語の勉強始めたっていう子は最近でも結構いますよ!」

まとめ

今回は、日本に対するイメージについて2人の人からお話を伺いました。反日教育がないわけではないので、歴史認識など、依然としてナイーブで難しい話題なのだと感じます。しかし、若い人の間では、アニメやアイドルなど新しい日本のイメージでいい方向に上書きされてきているとも感じました。

これからも多くの韓国人に日本の文化への興味や愛着を感じてもらい、さまざまな壁を超えて交流できれば嬉しく思います。