韓国財閥シリーズ①サムソングループ

主要財閥10グループの総売上高がGDPの約75%を占める韓国。しかし、過酷な受験戦争、就職戦線を生き抜いても、それらの財閥企業に入社できるのは本当に一握りです。そんな韓国人材の憧れ、財閥企業の魅力について紹介していこうと思います。

韓国財閥シリーズ、まず最初は韓国経済のトップオブザトップ、サムソングループです。

成り立ち

日本統治時代の朝鮮大邱市で、干物や地元産の食料品を扱う貿易会社「三星商会」(現サムスン物産)をスタートしたのが始まりです。その後、砂糖を販売する「第一製糖」、服地を生産する「第一毛織」など、その時代のニーズを着実に汲み取りながら事業展開を続けていきます。現在は、電子、航空、機械、化学、大型船舶製作、金融など多方面で韓国経済を率いており、韓国のGDP全体のなんと20%以上を担っているお化け企業です。

ちなみに創業者の李 秉喆は日本の早稲田大学を中退しています。

強み

李一族によるオーナー経営が迅速な意思決定を生み出していますが、目標に向かって貪欲に突き進む、高い意識を持った人材が成長を支えています。(サムスン電子の入社試験の倍率は700倍との話!)

グループ中枢のサムスン電子は、スマートフォンの世界でシェア22%(2021年4月時点)を獲得しており、これは米アップルを抑えてNo.1の座です。

強さの秘訣は、緻密なマーケティング力にあると言われています。市場ターゲットを新興国と設定し、その現地ニーズを徹底的に把握することで、独自の開発製品を市場に売り出し成功させています。また、メモリー半導体分野、ディスプレイ分野なども世界最大手の位置を走っています。

企業データ

創業者李 秉喆(イ・ビョンチョル)
現在のリーダー李在鎔(イ・ジェヨン)
総資産363兆2000億ウォン
グループ理念・事業報国
・人材第一
・合理追求
主なグループ企業サムスン電子、サムスン重工業、サムスン物産、サムソン生命
平均勤続年数12.4年(2020年時点)
男女比2.8:1(2016年時点)
平均年齢50.4歳
年間休日最低15日

トピックス

アジア通貨危機の影響

「朝鮮戦争以来、最大の困難」と言われる、1998年に起こった経済危機(アジア通貨危機)では、時計事業撤退、自動車生産をフランスのルノーに売却しました。グループの核であるサムスン電子も倒産の危機に瀕しました。

政治と金

1966年に起きたサッカリン密輸事件では、創業者の次男である李昌熙が密輸に関わっていたとして逮捕。2007年には役員や従業員名義の借名口座に裏金がプールされていることが発覚し、2002年の大統領選への資金提供疑惑などから李健熙会長ら幹部が在宅起訴。また、現経営TOPの李在鎔副会長も朴前大統領への贈賄容疑で逮捕され、実刑判決を受けています。

韓国経済を支えるサムスン

経済危機や贈収賄問題など、さまざまな困難に直面してきたサムスングループ。しかし、それくらい痛くも痒くもないと言わんばかり、韓国経済を支える圧倒的な地位をキープしています。米国に対するサムスン電子の大規模な半導体投資の話も相まって、実刑判決を受けた現トップ、在鎔副会長の赦免要求の声も上がっており、韓国の政治経済に大きな影響を及ぼすサムスングループの動きに、今後も目が離せません。

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