食に工芸に宿泊まで!「韓屋村(ハノクマウル)」の最新楽しみ方

有名旅行誌でも紹介され、SNS上でも今ますます人気を集めているスポットが「韓屋村(ハノクマウル)」です。韓屋とは韓国の伝統的な家屋で、韓屋が密集した「韓屋村」と呼ばれるエリアが今注目を浴びています。韓屋村の楽しみ方は食に工芸に宿泊と無限大で、村ごとにそれぞれ特徴や魅力があるようです。近年では現代的なリノベーションが加えられてたものも多く、昔と今を同時に体験できる唯一無二な場所となっています。今回は人気のエリアの中でも特に代表的な、北村(プクチョン)韓屋村、益善洞(イクソンドン)韓屋村、そして全州(チョンジュ)韓屋村を中心にご紹介します。

韓屋村は今一番のホットプレイス?

北村韓屋村

アクセス:地下鉄3号線安国駅から徒歩

【街並み】

ソウル唯一の韓屋密集地域として知られる北村韓屋村。ソウル中心部に位置し、景福宮・宗廟・昌徳宮という王宮に囲まれた韓屋村。伝統的で整った街並みが特徴です。少し高い位置にあるため景色が良く、「北村八景」を散策しながらソウルタワーやソウルの街並みを眺めることができます。文化財、民俗資料などさまざまな歴史の痕跡が残っているため、「都心の中の生きた博物館」とも言われています。

【歴史】

朝鮮時代はソウルの政治・行政・文化の中心地であり、当時は王室の高位官職者や王族だけが居住できた高級住居地区でした。「北村」は、清渓川と鍾路の上(北)の方の村という意味でこのような名前が付けられたそうです。

【見どころ】

①北村伝統工芸体験館

刺繍、ポジャギ、メドゥプなどの伝統工芸プログラムを選んで体験することができる場所。曜日ごとにいくつかプログラムがあり、お手軽なものから本格的なものまで幅広く用意されているようです。

②北村文化センター

北村の歴史や魅力を映像、ミニチュアで紹介している施設です。実際に韓屋の中に足を踏み入れることができ、日本語の地図や小冊子で韓屋について学ぶことができる。七宝焼きやポジャギなどの伝統工芸の文化講座も。

益善洞韓屋村

アクセス:鍾路3街(チョンノサンガ)駅6番出口から徒歩

【街並み】

北村エリアの南東にある益善洞。北村エリアより新しく規模も小さいですが、それでも約100の韓屋が密集しており、メイン通りには築100年もの韓屋を活用したショップなどが立ち並んでいます。伝統的な北村韓屋村に対し、益善洞は今と昔が共存する雰囲気で、トレンド感あふれるお店も多いことが特徴です。生活感のあるディープな路地もあれば、古民家を改装して壁面をガラス張りにした韓屋カフェや、ユニークな看板やストリートアートもあります。観光客以上に現地の若者に特に人気なスポットで、繁華街として夜まで賑わっているようです。

【歴史】

北村エリア同様に宮殿に囲まれている益善洞は、朝鮮時代には政治・行政の中心地でした1970年のソウル市都市計画で都心部全体が商業地域になるに伴い、様々な文化を発信する店が立ち並んでエンターテインメントの中心地となりました。現在では飲食店やサービス業、小売など330店あまりが密集する商業地域となっています。

【見どころ】

マダンフラワーカフェ

カフェとお花屋さんが併設された韓屋です。代表的な韓国ドラマ『トッケビ』の撮影地にもなったことや、カラフルな傘で装飾されたお店の外観で注目を集めました。カフェスイーツの写真を撮ることはもちろん、お花を購入して益善洞を散策してもまた写真映えしそうなフォトジェニックなスポットです。

全州韓屋村

アクセス:ソウル→全州駅(韓国高速鉄道(KTX)で2時間弱)

全州駅→全州韓屋村(市内バス)

【街並み】

韓国最大規模の伝統韓屋村といわれているエリアで、昔の韓屋の数は625軒におよび、中には築1000年以上の歴史がある韓屋も。歴史的建造物が多く残っていることが特徴で、朝鮮を建国した李成桂(太祖)の肖像画がまつられている「慶基殿」(キョンギジョン)をはじめ、かつての地方学校の「郷校」(ヒャンギョ)、そして100年以上前の教会の「殿堂聖堂」(チョンドンソンダン)などもあります。そんな一段と歴史の深い韓屋村ですが、ほかのエリア同様にレストランやカフェ、気軽に楽しめる伝統体験プログラムなどもあります。

【歴史】

全州は三国時代の百済の一都市としてはじまり、新羅の時代に行政中心地として大きく発展しました。高麗時代には「全州邑城(チョンジュウッソン)」と呼ばれるお城が作られましたが、東西南北の城郭門のうち、南門の「豊南門(プンナムムン)」は今も残っています。

1977年に慶基殿の周辺の韓屋の家々が韓屋保存地区に指定されたことで、現在のような「全州韓屋村」ができることになりました。

【見どころ】

・慶基殿(キョンギジョン)

朝鮮王朝を切り開いた太祖・李成桂の肖像画が本殿に祀られている史跡です。「宮(クン)~Love in Palace」、「ザ・キング―永遠の君主-」、「光海、王になった男」、「恋慕(ヨンモ)」などの韓国時代劇作品が数多く撮影され、特に園内にある竹林(竹やぶ)が有名です。

・全州伝統韓紙院(チョンジュチョントンハンジウォン)

伝統的な韓紙の生産と販売を行っています。実際に職人による韓紙の生産現場を間近で見たり、売店で韓紙や韓紙工芸品を購入したり、実際に体験プログラムに参加することができます。韓国の美が感じられる名スポットです。

楽しみ方① 韓屋ステイで癒し体験

家主がいる韓屋だけではなく、ゲストハウスとして観光客に解放されているものも多くあります。心落ち着く木造建築に、窓からの美しい中庭の景色は、都会の生活から離れて癒されたい人にぴったり。その形も伝統韓屋からモダンなアレンジを加えた韓屋、大きなものから小さなものまでとバリエーション豊かです。現代人が快適に過ごせるよう、ベッドやバスルームなどの施設を完備しているところも増えています。

ただ寝泊まりするだけではなく、茶道体験や料理教室などのプログラムや、チムチルバン、韓服(チマチョゴリ)体験など韓国文化をまるごと楽しめる韓屋ステイも多いです。

楽しみ方② 韓屋リノベカフェで一息

日本でも地方に観光に行けば古民家カフェを訪れる人も多いですが、韓国でも韓屋を活用したレトロな「韓屋カフェ」が話題です。日本と異なる点は、韓国では建物をそのままに保存するよりも、改装によってトレンド感あふれるデザインに一新してしまうことが非常に多いそう。優雅な趣にモダンなセンスが加わり、観光客や現地の若者にも映えると大人気な韓屋カフェ。いくつか代表的なスポットを紹介します。

・Onion安国 外観とベーカリー

開店前から大行列ができるベーカリーカフェ。韓屋の原型はそのままですが、壁は全面ガラスになり、ベーカリーもオシャレに並べられ、洗練された雰囲気です。お座敷はもちろん、マルとよばれる縁側に腰掛けることもできます。

・イリンハンジャン(1人1杯)

ソウル市街地から少し離れた再開発地区にある恩平韓屋村。ここには大自然と穏やかな韓屋村がマッチした風景を望める韓屋カフェがあります。イリンハンジャンはビルの1、2階と屋上がカフェになっていて、屋上席からの北漢山の眺めは圧巻です。メニューはバラエティ豊かで、ドリンクに洋風の料理やスイーツはもちろん、ソンピョンなど昔ながらのおやつをいただくこともできるそうです。

楽しみ方③ 韓服レンタルで思い出の時間に

韓服を着て韓屋村を散策すれば、朝鮮王朝にタイムスリップしたかのような気分になれること間違いなしです。韓屋村の周辺には韓服のレンタルと着付けを行っているお店が豊富にあり、数時間~数日間借りることができます。

韓服の上衣と下衣を選んだら、カバンなどの小物を合わせ、ヘアセットまでしてもらえば完璧。女性だけでなく男性や子ども用の衣装もあるので、カップルや家族連れでも楽しめそうですね。

韓国政府の韓国の文化推進キャンペーンにより、韓服を着ている人は入場料が安くなるサービスをしている施設もあるようです。(景福宮・宗廟・昌慶宮など)

まとめ

いかがでしたでしょうか。韓屋村には、エリアごとに歴史に根付いた特徴や唯一無二な魅力があるようですね。伝統を守り伝えると同時に、積極的に韓屋をリノベーションして現代的な要素を加えることで、トレンドに敏感な若者でもワクワクできるスポットになっていました。これこそが今、観光客から大きな人気を集めている理由ではないでしょうか。

みなさんも韓国旅行に行く際にはぜひ韓屋村を訪れて、住居や工芸、食などの韓国文化をまるごと体感してみてください。