韓国財閥をご紹介するシリーズ第3弾。今回はS Kグループをご紹介します。今まで紹介したサムスンや現代(ヒョンデ)と比べると、日本人にはまだ耳馴染みのない財閥ですが、元々は日本の京都にあった「京都織物」という会社と合弁で作った会社なのです。
興味深いS Kグループの、まずは成り立ちから見ていきましょう!
成り立ち
朝鮮総督府時代に日本資本で誕生した「鮮満綢緞」と、日本の「京都織物」が合弁で作った「鮮京(ソンキョン)織物株式会社」がルーツです。名前の通り、紡績・繊維業を事業の中心として成長していきますが、1970年代に石油精製に進出し、1990年代以降には通信事業や半導体事業にも手を広げました。ちなみに、鮮京(ソンキョン)グループからS Kグループに名称変更になったのは1998年からです。
2019年度の公正取引委員会(韓国)資料では、所属企業数が111社と10財閥の中で最も多い数となっており、総資産では国内3位に位置しています。
強み
グループ中核のS Kテレコムは韓国最大の携帯電話事業者で、国内加入者の約50%のシェアを獲得しています。石油化学企業のSKイノベーションでは、先日バッテリー部門を分社化。L G社に遅れを取っていたこの分野で技術力・生産力を強化し、10年以内を目標にバッテリー業界で世界トップを目指しています。
韓国唯一の半導体ウエハーメーカーであるLG シルトロンの買収(2017年)、米国デュポンのSiC(炭化ケイ素) ウエハー製造部門の買収(2020年)など、半導体部門の動きも活発です。積極的なM&Aにより、半導体部門やその周辺事業におけるリーディングカンパニーとしての存在感をより強固なものにしています。
企業データ
創業者 | 崔鍾建(チェ・ジョンゴン) |
現在のリーダー | 崔 泰源(チェ・テウォン) |
総資産 | 170兆7000億ウォン |
グループ理念 | SUPEX (Super Excellent:人間の能力で到達できる最高の水準) |
主なグループ企業 | SK、SKイノベーション、SKエナジー |
平均勤続年数 | 10年(2020年時点) |
男女比 | 4.3:1(2016年時点) |
トピックス
スポーツ事業への貢献
韓国では多くの財閥トップがスポーツ団体の会長職に就いています。SKグループも例外ではなく、サッカー、バスケットボール、ハンドボール、eスポーツなどのプロスポーツチームを運営しています。今年初めの、名門野球チームSKワイバーンズ(韓国野球委員会)が新世界グループに売却されるというニュースは大きな話題となりました。
ウーバーと共同で配車サービスへ参入
米配車大手ウーバー・テクノロジーズとSKテレコムが提携に向けた動きを発表したのは2020年。それまでは、韓国の配車サービス市場は、国内ゲーム会社のカカオゲームズが独占状態でした。
共同事業は現在進行中で、SKテレコムの持つTマップ・モビリティの運転手ネットワークやマッピング技術を、ウーバーの配車技術や世界展開の知見に掛け合わせ、新たな市場開拓に挑んでいます。
財界を牽引する崔泰源会長
S Kグループの崔会長は、サムスン、現代自動車、LGを合わせた4大財閥の中で最年長のトップになります。今年初めには、韓国経済団体の大韓商工会議所の会長にも就任し、今後の動きに注目が集まっているところです。S Kグループのみならず、韓国経済界を牽引する存在であることは間違いないと言えるでしょう。