韓国人は健康オタク?!~ヘルスケアの最前線を探る

美容大国として知られる韓国ですが、実はその健康意識は美容だけに留まりません。コロナ渦を経て、さらに人々の健康意識が高まり、生活様式の変化や健康への関心の増加により、ジム通いや自宅でのフィットネス、さらには健康食品に至るまで、韓国人は健康にとても関心が高いようです。今回は、日本との比較を通じて韓国のヘルスケア市場を徹底解剖していきます!

韓国は美容だけじゃない!

出典:トレンドモニター (trendmonitor.co.kr)

美容大国と呼ばれる韓国ですが、単なる外見の美しさだけでなく、健康面での取り組みにも熱心です。代表的な健康志向の指標である「フィットネス参加率」を見ると、その高さが際立ちます。

2019年の調査では、韓国のフィットネス参加率は8%と日本の3.3%を大きく上回っています。上位国であるスウェーデン(約22%)、アメリカ(20%)といった数値と比べると、差はあるものの、アジア諸国の中では、ある程度の関心の高さがあるようです。

なお、この調査はコロナ前の2019年なので、韓国社会はコロナ以前から既にフィットネスを重視していたようです。パンデミックを経て健康志向がより高まったことを考えると、現在の参加率はさらに上昇している可能性があります。これらのデータに加え、韓国トレンドモニターの調査では「自己管理に気を使う」と答えた人が86.7%に上るなど、韓国人の健康志向の高さが裏付けられています。さらに、ヘルスケア関連のトレンド調査においても、運動や健康食品が上位にランクインするなど、韓国では確かに『健康ブーム』が根付いていると言えるでしょう。

ジム通いは当たり前?

⑴韓国人が運動をよくする理由

韓国のフィットネス参加率が日本より高い背景には、いくつかの要因が考えられます。

まずは、男性の兵役制度が大きな影響を与えています。兵役では訓練や日々の業務を通じて体を鍛える習慣がつきます。そのため除隊後もジムに通い、筋トレ等の自己管理を続ける人が多数いるそうです。

次に、フィットネスジムの料金がリーズナブルな点もフィットネス普及の後押しになっています。一般的に、会員制のフィットネスジムは3か月で9万〜12万ウォン(1万〜1万4千円)です。筆者も現在会員制フィットネスジムを契約していますが、3か月で9万ウォン(一万円)というお手頃価格でした。

加えて、女性のフィットネス人口も非常に多いことが特徴的です。ジムはもちろんのこと、ここ数年はピラティスやヨガが流行し、最近ではポールダンスも注目されています。筆者自身も現地のジムに通う中で、老若男女問わず運動に取り組む姿を目にしてきました。

この理由として、「フィットネス=健康維持」という価値観が韓国人の間に根付いていることが大きいのではないかと考えられます。日本では、フィットネスの目的が「ダイエット」と捉えられることが多い一方、韓国人は健康維持を主な理由としているようです。

⑵最近のフィットネストレンド

続いて、韓国でのフィットネストレンドを覗いてみましょう。韓国では日本と同様、コロナ渦以降、自宅でも簡単にできる「ホームトレーニング」が流行が流行しました。その影響で、トレーニング系ユーチューバーが高い人気を集めました。

加えて、MZ世代を中心に、人気K-POPアイドルがSNSで自身のトレーニング風景を公開するVlogコンテンツに高い関心が集まっています。アイドルに憧れを抱く若者たちが、そうした動画に影響を受けているようです。

さらに、近年「ボディプロフィール」と呼ばれる、理想のボディラインを写真に残すためのサービスが一般化してきました。これまでは芸能人などの有名人が中心だったこの需要が、コロナ禍で家にいる時間が増えたことから、一般人の間に広がったのです。

このような流れを受けて、ジムでのパーソナルトレーニング(PT)の需要も高まっています。筆者の知人にもPTを活用している人が複数います。また、SNSで運動着姿の全身写真を投稿し、その日の運動を報告する「運動認証ショット」なるものも若者を中心に広まっています。韓国某金融機関が発表した消費者カード使用履歴統計からも、MZ世代における「自己管理」に関わる支出が大幅に増加していることが裏付けられています。コロナ禍を経てもフィットネス人気に陰りは見られず、むしろトレンドが一段と加熱している様子がうかがえます。

韓国で盛り上がるインナービューティー

出典:健康食品の売り上げ、3年間で2倍に···CJオリーブヤング、ヘルス部門を強化|韓国経済

美容や健康のためのインナーケアアイテム、外見だけでなく、体の中から健康で美しくあろうとするいわゆる「インナービューティー」製品が注目を集めています。最近では、お菓子のように食べられるタイプや、写真映えするドリンクなど種類も豊富になり、より身近なアイテムとして親しまれるようになりました。中でも代表的なのが、伝統の高麗人参エキスです。韓国ドラマ内の間接広告(PPL)などで、見たことがある方も多いのではないでしょうか。この商品は国民的健康食品として、特に年配層から高い人気があります。

今や「人生100年時代」。韓国でも高齢化が進行する中、より一層インナービューティーへの関心が高まっているようです。実際に、国民的メッセンジャーアプリ「カカオトーク」のギフト機能では、ビタミン剤や栄養剤がランキング上位に常に食い込む状況が続いています。韓国の国民的ドラックストア「OLIVE YOUNG」でも、インナービューティーコーナーの充実度が目立ちます。韓国製のインナービューティー製品が海外でも売れ行きを伸ばすなど、この分野での韓国の先進性が伺えます。医療や美容先進国として進化を続ける韓国では、今後もインナービューティーの最前線を牽引し、革新的な製品開発が期待されています。

まとめ

いかがでしたか。美容大国としてはおなじみの韓国ですが、本記事を通して、単なる外見の美しさだけにとどまらず、健康や体の内面の美しさにも積極的に取り組む国民性が見えてきました。

特に兵役制度がヘルスケアに対する高い関心に繋がる点など、韓国社会の特性がヘルスケア文化を形作る過程に関与しているのは、日本とは異なる興味深い側面だと感じました。

<参考文献>

アメリカ・韓国に比べて低い日本のフィットネス普及率。解決のヒントは健康思考にあり | ハフポスト LIFE

トレンドモニター (trendmonitor.co.kr)

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