税制改正が追い風にならない大学生バイト事情!150万円の壁、増収よりも生活優先?

はじめに

当記事は、大学TIPSを運営する株式会社ビーウェルで調査実施した、

「2025年度税制改正と大学生のアルバイト事情に関するアンケート」に関するレポート記事です。

調査概要

【大学生協賛ナビ_登録会員に向けたオンラインアンケート】

対象:全国の大学生

期間:2024年10月~11月

方法:オンラインアンケート

サンプル数:603名

質問項目

Q1:あなたの性別を教えてください。
Q2:あなたの現在のアルバイト状況について教えてください。
Q3:2025年度の税制改正で、「大学生年代の子を扶養する親の税負担を軽減するため、特定扶養控除の年収制限が103万円から150万円に引き上げられる」ことについて、あなたはどう思いますか?

Q4:親があなたを扶養している場合、この変更が親の税負担にどのように影響すると思いますか?

Q5 :「年収103万円の壁」について、あなたはどのように感じていますか?

Q6:年収が103万円から150万円に引き上げられることで、アルバイトの時間を増やすつもりですか?

Q7:親の税負担軽減が、あなたのアルバイトをする意欲や時間にどのように影響すると考えますか?

Q8:今回の税制改正について、あなたが知っていることや興味を持っている点について教えてください。(自由記述回答)

Q9:他に税制改正やアルバイトの条件に関連して、改善してほしい点があれば教えてください。(自由記述回答)

Q1:あなたの性別を教えてください。

アンケートにおいて、『男性』36.1%(234名)、『女性』62.5%(405名)、回答しない1.4%(9名)のアンケート回収を実施。

Q2:あなたの現在のアルバイト状況について教えてください。

回答者の内、『アルバイトをしている学生』は92.1%(597名)、『アルバイトをしていない学生』は7.9%(51名)。

Q3:2025年度の税制改正で、「大学生年代の子を扶養する親の税負担を軽減するため、特定扶養控除の年収制限が103万円から150万円に引き上げられる」ことについて、あなたはどう思いますか?

回答者の内、『良いことだと思う』と回答した学生は86.6%(561名)、『あまり良いことだとは思わない』と回答した学生は3.2%(21名)、『どちらとも言えない』と回答した学生は10.2%(66名)。

Q4:親があなたを扶養している場合、この変更が親の税負担にどのように影響すると思いますか?

回答者の内、『特に変わらないと思う』と回答した学生は43.1%(279名)、『税負担が軽減されるので、家計が楽になると思う』と回答した学生は45.4%(294名)、『よくわからない』と回答した学生は11.6%(75名)。

Q5:「年収103万円の壁」について、あなたはどのように感じていますか?

回答者の内、『103万円の壁について特に考えたことがない』と回答した学生は9.3%(60名)、『アルバイトをしているが、103万円を超えることは避けた方が良いと感じている』と回答した学生は82.4%(534名)、『アルバイトをしているが、103万円を超えても問題ないと思う』と回答した学生は5.6%(36名)、『アルバイトをしていないので関心がない』と回答した学は2.8%(18名)。

Q6:年収が103万円から150万円に引き上げられることで、アルバイトの時間を増やすつもりですか?

回答者の内、『まだ考えていない』と回答した学生は13.4%(87名)、『はい、増やすつもりです』と回答した学生は52.8%(342名)、『いいえ、今のままで十分です』と回答した学生は33.8%(219名)。

Q7:親の税負担軽減が、あなたのアルバイトをする意欲や時間にどのように影響すると考えますか?

回答者の内、『税負担が軽減されることで、もっとアルバイトを頑張りたいと思う』と回答した学生は59.3%(384名)、『まだわからない』と回答した学生は8.8%(57名)、『税負担の軽減はあまり関係ない』と回答した学生は31.9%(207名)。

Q8:今回の税制改正について、あなたが知っていることや興味を持っている点について教えてください。(自由記述)

(一部回答抜粋)

親の扶養でありながら、一人暮らしをしていてアルバイトで生計を立てている人は多いと思うので、これによって仕送りなどがなく、アルバイトで生活している家庭の学生の生活が豊かになると思う。また、教材や健康等にも収入は関連があると思うので、学習機会がより均等になることも考えられる。しかし、アルバイトの時間が増やせるようになった事で、学習時間が制限されることが懸念される。

税制が変わることで一時的な家計は改善されると思われるが、国レベルで見た時に税収が減るため、国債費が増え、消費税増税という形で消費者に返ってくる可能性が考えられる気がする。数字だけ見てホイホイ釣られるのはどうなんだろう…というのが今の考え。

政党同士で意見が割れ、まともな議論ができていないとニュースで見た。どの政党がどのような意見を表明しているのか調べたい。

壁が150万円まで引き上げられることにより、「150万円まで働いていいんだ」という認識が広がる。しかし、学生の本分は勉強することであり、150万円近くまでアルバイトをすることは勉強が疎かになるひとつの要因となってしまう可能性が大いにある。今一度、学生という身分を見直すことが必要なのではないかと考えている。

Q9:他に税制改正やアルバイトの条件に関連して、改善してほしい点があれば教えてください。(自由記述)

(一部回答抜粋)

何を買うにしても値段が上がっているので、時給を上げて欲しい。このままの時給では生活するのが難しい。

アルバイトをしている学生の本分は勉強であり、扶養控除上限を上げて学生がアルバイト時間を増やしたとして、学生自身の負担は大きいままであり、問題の根本的な解決にはなっていないと考える。税制改正よりも、最低賃金の引き上げや、親の所得に基づき学生の学費を少なくするなど、別の角度から対策して欲しいと感じる。

103万円を超えてしまったために、12月は賃金が発生しないボランティアとして働くという声を周囲からきいた。ボランティアといっても普段と仕事は変わらないため、アルバイトと同じことをしているのに対価は支払われず、断りにくい立場にいる大学生は、言いなりになっている現状がある。このようなアルバイトの弱い立場を利用し、アルバイトを軽視した態度をとる職場がなくなるような体制づくりを改善してほしい。

その他備考

当社では、Q3における”2025年度の税制改正で、「大学生年代の子を扶養する親の税負担を軽減するため、特定扶養控除の年収制限が103万円から150万円に引き上げられる」ことについて、あなたはどう思いますか?”の質問にて『良いことだと思う』と回答した学生86.6%(561名)のQ6″年収が103万円から150万円に引き上げられることで、アルバイトの時間を増やすつもりですか? “における回答データにも注目しました。

特定扶養控除の年収制限が103万円から150万円に引き上げられることに

『良いことだと思う』という回答をしてはいるものの、

40%以上の学生が『今のままで十分』『まだ考えていない』という回答結果に。

▶アルバイトの時間を増やす意欲の欠如

アルバイトの時間を増やす意欲がないという回答が多い理由としては、以下の点が考えられる。

・ 生活の質を重視

大学生は学業やプライベートの時間を優先する傾向が強く、アルバイトの時間を増やすことで学業や生活のバランスが崩れることを避けたいと考えている可能性がある。

・収入の必要性の違い

年収が103万円を超えて150万円に引き上げられたとしても、アルバイトで得られる追加収入が生活に大きな影響を与えないと感じている学生も多い可能性がある。これにより、現状のままで十分と感じることがあります。 税制改正が親への経済的な負担を減らすメリットがあることを認識している一方で、アルバイトを増やしてまで自分自身の収入を増やす必要は感じていないという大学生の価値観や生活スタイルが影響していると考えられます。

まとめ

今回の調査では、税制改正が大学生のアルバイト意欲に与える影響には、単なる収入の上限引き上げだけでは解決できない価値観の変化が関係している可能性が明らかになりました。

若者の働き方に関する更なる調査や、柔軟な働き方の実現を支援するための取り組みについても、今後継続的に発信していく予定です。本調査結果が、社会全体で若者の未来を考えるきっかけになれば幸いです。

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