韓国人材が定着・活躍に必要!日本企業が取り組むべき5ステップ

せっかく採用した韓国人材が早期に離職してしまえば、そのコスト面での損失は企業にとって大きな痛手となり得ます。韓国人材のその後の定着と活躍こそが本質的な成功を決定づける要素となります。本記事では、採用した韓国人材がその能力を最大限に発揮し、組織の利益に貢献できるように、受け入れ側で企業がどのような取り組みを行うべきかを5つに分けて紹介していきます。

 今求められる文化と価値観の理解

Businessmen are holding resignation document and packing personal company on brown cardboard box changing work, resign concept

韓国をはじめとする外国籍人材の採用においては、異なる文化や慣習を持った人材が日本の企業文化にどれだけうまく適応できるか、また、どれだけ成長意欲を持って成果を上げるかを考慮することが求められます。

2024年6月に外国人専用の就職・転職サイトから発表された「外国人の退職理由」調査結果を見ると、日本人材が会社に起因する理由による退職が多いのに対し、外国人材は「自分が希望する仕事ではない」が最多でした。

外国人材の退職理由

 1位「自分の希望する仕事ではなかった」

 2位「給与・報酬が少ないから」

 3位「契約期間が満了したから」

特に退職理由1位「自分の希望する仕事ではなかった」については、正社員採用であれば職種は設定されていても明確な業務内容は変化することが多く、人事異動や就業場所の変更もあり得るため「自分の希望する仕事ではなかったから」と感じる可能性が高い、とのこと。

この調査から踏まえると、どのようにして企業の価値観や文化を理解し、効果的に組織にフィットさせるかを考えることが求められます。また、その後のオンボーディング(新入社員教育)においては、ギャップを最小限に抑えるための取り組みが鍵を握ります。新しい文化的背景を持つ人材をいかにして受け入れ、組織の一員として定着させるかが、企業全体の生産性向上に直結します。

優秀な韓国人が長く働くための取り組みとは

実際に優秀な韓国人が長く働くためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。以下の5つのステップに沿って、具体的な方法をご紹介します。

1. 会社として目指す姿や方針を明確にし、現場へ浸透させる

2. 韓国人材受け入れに必要な、しくみやツールを検討する

3.(受け入れ側に対し)ダイバーシティマネジメントや異文化理解に関する教育を行う

4.(韓国人採用者に対し)異文化理解や組織・業務の理解に繋がる教育を行う

5. 1on1や定期的なチームビルディング等の、日常的なフォロー施策を実行する

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1. 企業のビジョンや方針を明確にし、それを現場に浸透させる

前提として、外国籍人材を受け入れる意義、重要性について実際に韓国人材が配属されるであろう現場の日本人社員が理解している事が重要です。何のために、何の仕事を一緒に担当するのか。特に韓国人材の受け入れにおいては、経営層や人事部門だけでなく、現場レベルでも企業の方針や目指すべき組織文化をしっかりと共有し、浸透させることが重要です。

2. 韓国人材を受け入れるためのツールや仕組みを整備する

韓国人材採用の意図を会社の方針として、さらに現場にまでしっかり落とし込むことができたら、今度は受け入れ体制の検討に入ります。このフェーズにおいては人事部門と現場とが一体となって進めていくことがベストです。日本人を新規採用する際に用いているしくみやツールがあれば、そちらを活用いただいても構いませんが、韓国人材にとって日本の商習慣や文化は自国のそれらとは全く異なるものです。

例えば、組織の構成はどうなっていて、どのようなステークホルダーが存在しているのか。また、休暇の取り方や残業に対する認識等も、後々のトラブルを生まないために、すり合わせておくことが重要です。はじめて韓国人材を受け入れするケースでは、簡単なマニュアルを用意し、受け入れに関する全メンバーに共有しておくことをお勧めします。

3.(受け入れ側に対し)ダイバーシティマネジメントや異文化理解に関する教育を行う

初めて外国籍人材を受け入れる職場では、日本人と異なる文化や商習慣を持った人々と働く不安が大きいことが想定されます。ポイントとなるのがリーダー層へのマネジメント教育です。リーダー層に対して韓国人材と日本人とではどのような文化や価値観の違いがあるのかを理解してもらい、それらに配慮したダイバーシティマネジメント手法をトレーニングすることが肝要です。

まずは個々の意識の部分「アンコンシャス・バイアス」“無意識の偏見”に目を向けることが大切です。本人が気付いていない偏ったものの見方が判断や行動に影響を与えることを指す概念を取り除き、同時にメンバーが持つアンコンシャス・バイアスを取り除く働きかけができるよう、促していくことが望ましいでしょう。

尚、昨今はリモート環境の浸透により、異文化理解に対するコミットが一層重視されています。対面でのコミュニケーションが不足する分、互いに相手を理解しようとする姿勢がより求められるためです。そのためにリーダーが行うべきことは、「承認」をベースに社員同士が互いを認め合えるような、尊重できるチームづくりであると言えます。

4.(韓国人採用者に対し)異文化理解や組織・業務の理解に繋がる教育を行う

異なる文化や商習慣に対する理解を深めてもらうと同時に、仕事の全体像やステークホルダーとの関係性、行う業務の意義・意味と詳細な進め方などをレクチャーします。例えば、会社や業界固有の言葉に早く慣れるために、用語集や難しい会話へのアプローチ方法に関する手引きを作成すると、(韓国人・日本人を問わず)新規採用社員を受け入れるシーンで毎回活用することができます。また職場に存在する“暗黙知”や“何となく理解が共有されている事項”については、ぜひ言語化していただくことをお勧めします。

「印刷機が故障してしまったとき、誰にどのように報告するのか」

「全員不在の隣の部署の電話が鳴ったとき、どのように対応するか」

一見些細な事柄だと思われるようなことも、新規で採用される韓国人材にとっては不安や戸惑いの種になりかねません。いかにスムーズに職場になじんでもらうかということを最優先にしましょう。

さらに、入社後のオンボーディングにおいては、育成計画を共有しながら、今後身に付けてもらいたい知識やスキルに対してコミットさせていく必要があります。目標設定のスパンとして有効とされる“最初の3か月間”、具体的な目標達成のために必要なプランを設定することが有効です。早い段階で自信を得ることができるように、目標が形骸化しないよう、上司やトレーナー・メンターと新入社員とが内容や進捗を共有できるシートを作成したりすると効果的でしょう。

5. 1on1や定期的なチームビルディング等の、日常的なフォロー施策を実行する

職場受け入れ後のポイントは、「意図を持った」「多くのメンバーを巻き込んだ」「継続的な」フォローです。オススメしたいのが「定期的なチームビルディング」です。チームビルディングと一口に言っても、その手法は多岐にわたります。日本人と韓国人とが、共通のお題や課題に取り組むワークショップを実施するといったことでも一体感が強くなりますし、親睦を深めるためのランチや懇親会を定期的に開催するということでも良いでしょう。

また、4でお伝えした目標設定に関しても、日常的な1on1のなかで、その進捗を共有していくことが大切です。その際、課題やうまくいっていない事柄に対し、どのようなサポートが必要かを互いに話し合える機会が持てるようにしてください。

まとめ

長期的なビジネスの成功・発展のためには、背景の異なるメンバー同士が互いを受け入れ、尊重し合う体制をつくることが必要不可欠と言えます。「採用の成功=人材の活躍・利益貢献」という観点から、ぜひ受け入れ側のしくみづくりの参考にしていただければ幸いです。


参考:

https://solanowa.jp/media/column/no102.html

https://www.iiajapan.com/leg/pdf/data/iia/Understanding%20the%20Effects%20of%20Diversity%20and%20Inclusion%20on%20Organizations.pdf

https://energyswitch-inc.com/archives/column_diversity-management

https://www.daijob.com/uploads/pdfs/a4ebf7-7d94-4f3ea.pdf