韓国では、全ての成人男性に課せられる兵役義務。部隊は陸軍・海軍・空軍・海兵隊の4つに分かれており、特に海兵隊が1番過酷な部隊として有名です。前編で日本就職の経験について語ってくださったゼロさん。海兵隊出身ということで、後編では気になる海兵隊での経験について、詳しくお話を伺ってきました!
強い人間になりたい、一心で志願
ーーーなぜ海兵隊を希望しましたか?
何があっても耐えられる強い人間になりたかったからです。「全ての人が夢を見出せる世の中にしたい」という大きな夢を持っているからこそ、どんな壁にぶちあたってもそれを乗り越えられるような強い精神力を持ちたいと思い、志願しました。
ーーー配属までの過程を教えてください。
海兵隊で基礎訓練を7週間受けたあと、各々の能力や特性によって希望する兵科を志願していく中で、僕はKAAVという装甲車を操縦する兵科がかっこいいと思い、試験を受けて選ばれました。同期が約1000人いる中で、同じ兵科は30人ほどだったので、狭き門でしたね。
ーーー実際にどんな業務に当たっていましたか?
海兵隊が唯一運用している水陸両用装甲車KAAV(韓国型上陸突撃装甲車)の運転手として働いていました。海兵隊は海での生存が重要視されるため、全ての隊員が水泳をできるように訓練します。「ここからここまで2時間で泳いできて、泳げない人もどうにかして来て」とだけ言われ、時間内に泳ぎ切る戦闘水泳という訓練もやっていました。訓練は実際の戦争を想定しているため、「自分の力だけで」やりきることを鍛えられていたんだと思います。他には射撃や空から飛び降りる訓練、大型ゴムボートの管理など、色々な業務に当たっていました。
海兵隊だからこその強い絆
ーーー海兵隊だけの独特なカラー・特徴的なことは?
父も海兵隊だったんですが、未だに当時の同期と連絡を取り合っています。海兵隊だけの大きなコミュニティ・戦友会は、大学ごとや会社ごとにあります。「1回海兵は、永遠海兵」という有名な言葉があるほど、他の部隊と比べて、それだけ結びつきが強いです。海兵隊同士、困った時は助けてあげたいと思うし、信頼関係は強いですね。
ーーー兵役中1番辛かったことは?
訓練で辛かったことはなかったです。強いて言うなら、2年間外に出られず自分がやりたいことができなかったことですかね。今は基地の中に携帯電話を持ち込むことができ、だいぶ規制緩和されたみたいですが、当時は友達と電話したり、音楽を聴いたり、基本的に許可されていないこと以外はできなかったので、やりたいことをやりたいタイミングでできないことが、思った以上にストレスでした。
経験が与えてくれたもの
ーーー海兵隊で訓練を頑張れた理由は?
父も海兵隊だったので、家庭環境的に厳しく育てられた事と、自分の大切な家族や、周りの人たちを守るという目的を達成するために頑張りました。
ーーー隊員の共通点・どういう人が多かった?
恐れがないところですね。やはり死ぬ確率が8割以上の訓練をする中で、勝てる20%に全てをかける経験をしているから、チャレンジ精神は誰にも負けないと思います。
ーーー海兵隊の経験が今の自分にどう影響していますか?
海兵隊での経験は、自分の人生を大幅に変えてくれたと思います。よく海兵隊を地獄に例える人もいるのですが、その地獄を経験したからこそ、これ以上恐れる物は何も無いという究極の自信を持つことができ、日本語がほとんど分からない状態でワーキングホリデーを始めたり、仕事に対しての報酬や周りからの見られ方などではなく、本気で自分がやりたいを目指して、自分の進路を決めることができた原動力になったと思います。
ーーー採用担当者の方に向けて、最後にメッセージをお願いします。
韓国の就職活動がサバイバル状態になってきている中で、韓国の学生は生き残るために自分磨きを頑張っています。書類だけだと伝えきれないこともあるので、年齢や経験の有無に関わらず、ぜひ一度話してみてほしいです。なぜそう考えるのか?何がしたいのか?深く聞けば本気で語ってくれるはずなので、そんな学生の熱い気持ちを受け止めてあげてほしいです。
まとめ
海兵隊での過酷な訓練を経験したからこそ、自信を持ってやりたいことに本気で向き合っていける、そんなゼロさんの姿勢に感心するばかりでした。まだまだやりたいことがあるとおっしゃっていたゼロさん。これからもさまざまな場でのご活躍をお祈り致します!
ちなみに韓国人採用ナビでは、韓国の兵役制度について紹介した記事も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
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