留学生やビジネスパーソンが活用するJPT(日本語能力試験)に注目!

日本での就職を目指す外国人の方の履歴書によく登場する、日本語の能力を測る試験JPT(日本語能力試験)。以前にもJPTとJLPTとの違いについてご紹介させていただきました。(過去記事はコチラ→https://bwell.jp/korec/magazine/archives/183

今回は、JPTを実施運営されている一般社団法人 日本語能力試験実施委員会の賀内さんにお話を伺う機会をいただきました。気になる試験や受験者の傾向、運営に対する思いなどを聞かせていただきました!

JPTの受験者層やレベルは?

(お話を伺った賀内さん)

-まず、JPT誕生の経緯から教えてください。

JPT自体は、元々は韓国で始まった日本語の試験です。

それを日本でもやろうということで「一般社団法人 日本語能力試験実施委員会」が立ち上がりました。

日本での第一回試験は、2019年12月に行われたんですが、現在のように毎月試験を行えるようになったのは、コロナウイルスの関係で2020年8月からです。

現在、日本・韓国・中国・香港・台湾・タイ・ベトナム・インドネシアで試験が実施されており、日本語の教育機関へ入学するための資格として、法務省出入国在留管理庁にも認定されています。

-JPTの受験者層はどんな方が多いですか?

JPTは専門用語などを取り入れた試験ではなく、日常生活で使われている日本語の試験なので、学生の方にも社会人の方にもご利用いただいています。

今はコロナウイルスの影響で留学生が日本に入国できていない状況なので、日本で働いている社会人の方の受験が増えています。

韓国人受験者は全体の15%前後で、国別でみると中国に次いで2番目に多い割合となっています。そのほかの国はベトナム・ネパール・フィリピンの方が多いですね。

-受験者の方の日本語レベルはどれくらいでしょうか?

最高点は990点で、平均点は500点台後半となっています。日本語能力試験JLPTの一番上の級である「N1」が660点ぐらいと言われているので、日本語レベルが比較的高い方にたくさん受けていただいていますね。これもまたコロナウイルスの影響で、日本ですでに学校に通っていたり勤めている方が受験者の大半を占めるので、こういった傾向が出ているのではないでしょうか。

試験の特徴としては、どの受験者も同じ試験内容ですので、難易度の高い問題から低い問題まで様々なレベルの問題を解くことになります。そのため、どなたにも受けていただきやすいのではと思います!

また、レベル別ではなく点数で現在の能力を知ることができるので、日本語能力試験JLPTで一番上の級である「N1」レベルを取得されてからも「さらに上を目指したい」といった方にも、差別化を図るツールとして活用していただいていますね。

受験者の立場でサポート

-JPT試験を実施運営されている中で、大切にされていることは何ですか?

一番は、「たくさんの方に試験を受けていただきたい」ということ。ですから、試験申し込みの締め切りが試験日の1ヶ月前で、試験結果が受験後2週間で出るようになっているんです。つまり、「自分の日本語レベルを知りたい!」と申し込んでから2ヶ月も経たないうちに、自分のレベルが分かるということです。

運営側としては、1ヶ月前に申し込み締め切りがあって、そこから会場探しなどをするので大変なんですが(苦笑)、リードタイムが短くなることで勉強へのモチベーションを上げてもらえると嬉しいですね。

また、受験者へのサポートも大切にしています。試験会場での日本語の説明が分からずマークシートの不備で点数が取れなかった、というのはなるべく避けたいと考えているので、困っている受験者がいればしっかりとサポートしていきたいです。

韓国人学習者の特色は?

-KORECでも多くの就活生がJPTを利用していますが、韓国人学習者の印象はいかがでしょうか?

非常に熱心な方が多い印象です。受験会場でも参考書を開いているのは、韓国人受験者の方が多いですね。少しでも高い点数を取りたいという意欲が高く、試験最後まで諦めずに解いていらっしゃいますよ。

-どういった目的で利用されている韓国人受験者が多いですか?

韓国は日本語上級者が多いので、JLPTで「N1」を取得した方が、より高みを目指してJPTも受験されるというケースが多いですね。

JPTでは5点刻みで点数が出るので、他の人との差別化ができます。「N1」というだけでは横並びにされてしまうような競争社会の中で、JPTで高得点をとって上手く自己PRに繋げているようです。

上手く活用して効果的に人材管理!

最後に、JPT試験の結果を見る採用担当の方へのアドバイスをいただきたいです!

JPTは、「この文法・語彙が必ず出ます」といったように試験範囲が特定されておらず、試験対策が難しい方式になっています。テクニックだけでは絶対に高得点は取れません。

基礎から地道にコツコツと勉強することで結果に繋がる試験となっているので、「JPTの点数が高い人ほど日本語能力も高い」と考えていただいて問題ありません。外国人採用において、日本語能力を判断する最適な指標になると思います。

まとめ

今回はJPT(日本語能力試験)についてのお話でしたが、いかがでしたでしょうか。

日本で就学・就業する上で必要となるコミュニケーション能力を客観的に測定、評価することを目的としたJPT。実際、試験を受けてみた実施委員会の方々(日本人)でも、時間ギリギリまでかかったとお話されていました。高得点取得者は、ネイティブレベルで日本語の情報を処理するスキルを持ち合わせていると言えるでしょう。

今後はミャンマーやネパール、バングラデシュ、スリランカなども試験開催国として予定しているそうです。JPTを通じて、多くの外国人に日本や日本語を身近に感じてもらえたら嬉しいですね。

JPT日本語能力試験はこちらより▶︎ https://www.jptest.jp