韓国ワカモノlabo

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韓国で日本ブランドが大行列!BEAMS・ドンキに学ぶ「現地ワカモノの心を掴む」最強のマーケティング戦略

2026.03.10 調査メンバー: キム・ジンア ソ・チェリム イ・ヘスン

こんにちは!私たちは、韓国現地のリアルなトレンドを調査している「韓国ワカモノLabo.」です。

今、ソウルの街を歩いていると、至る所で日本のブランドが話題の中心になっているのを感じます。聖水(ソンス)や汝矣島(ヨイド)、弘大(ホンデ)といったトレンドの発信地では、日本企業のポップアップストアが連日大行列。僕たち韓国のワカモノの間でも「あそこの限定グッズ手に入れた?」というのが合言葉のようになっています。

かつての「日本ブーム」とは一線を画す、韓国市場における日本ブランドの圧倒的な熱量。なぜ今、韓国のワカモノはこれほどまでに日本のプロダクトに惹かれ、SNSに投稿し、行列に並ぶのでしょうか?

今回は、僕たち「韓国ワカモノLabo.」が実際に現地で調査した最新レポートを基に、BEAMSやドン・キホーテといった成功事例を徹底分析。韓国市場攻略を目指すマーケティング担当者の皆さまへ、現場の生の声とデータに基づいたインサイトをお届けします。

写真提供:BEAMS KOREA OFFICIAL INSTAGRAM

1. プレミアム化と「限定」の魔法:BEAMSが仕掛ける韓国ローカライズ戦略

日本を代表するセレクトショップであるBEAMS(ビームス)が韓国で展開したポップアップストアは、ブランドの持つ「編集力」を韓国独自の文脈で見事に再解釈した成功例です。

韓国のワカモノにとって、BEAMSは単なるアパレルブランドではなく、一つの文化的なアイコンとして機能しています。今回の進出においてBEAMSが取った戦略は、ブランド価値をさらに高める「徹底したプレミアム化」と「ローカルとの融合」でした。

写真提供:BEAMS KOREA OFFICIAL INSTAGRAM

1-1. ロッテ百貨店 蚕室店での挑戦と「ソウル限定」の熱狂

2025年4月から5月にかけて、ロッテ百貨店 アベニューエル蚕室店で開催されたBEAMSのポップアップストアは、オープン前から大きな注目を集めました。 

最大の目玉は、このポップアップのために特別に企画された「BEAMS SEOUL EXCLUSIVE(ソウル限定)」商品です。 韓国のワカモノは「今、ここでしか手に入らない」という希少性に極めて敏感です。日本でも買えないソウル限定のアイテムを展開することで、既存のBEAMSファンだけでなく、流行に敏感な新規層を強力に引きつけました。

また、韓国国内の香りブランドとコラボレーションした商品を展開するなど、現地のライフスタイルに寄り添った商品構成も、ワカモノの心を掴む重要なポイントとなりました。

 1-2. 正式進出を見据えた「テストマーケティング」としての役割

BEAMSのこの動きは、単なる一時的なイベントではありません。現在、韓国への正式進出も検討中とされており、ポップアップはそのための精緻なテストマーケティングの場として機能しています。

現地での売上データだけでなく、来店客の層やSNSでの反応を分析することで、本格進出時のリスクを最小化し、ブランドの立ち位置を確固たるものにしようとする戦略的な意図が感じられます。

2. 逆輸入の「ワクワク」を創出:ドン・キホーテ×GS25の異色コラボレーション

日本旅行の必須コースとして、韓国人観光客に圧倒的な知名度を誇るドン・キホーテ。そのドン・キホーテが、韓国の大手コンビニチェーンGS25と協業して開催したポップアップストアは、まさに「体験型消費」の極致でした。

 2-1. ザ・現代ソウルに再現された「日本のドンキ」

2025年7月、ソウル屈指の人気スポット「ザ・現代ソウル」に現れたドン・キホーテのポップアップは、1200人以上の来場者が一度に集まるという驚異的な集客力を記録しました。 

ここでは、単に商品を並べるのではなく、日本の店舗スタッフ10名が来韓。陳列動線から手書きのPOPメッセージに至るまで、日本独自の「圧縮陳列」の雰囲気を忠実に再現しました。 来場者は、ソウルの中心にいながらにして、あたかも日本旅行に来たかのような没入感を味わうことができたのです。

 2-2. Win-Winを実現する相互展開マーケティング

販売されたのは、ドン・キホーテのプライベートブランド(PB)「情熱価格(ジョウネツ)」の商品を中心に約50種類。 日本でしか買えなかった人気商品が目の前にあるという高揚感が、購買意欲を爆発させました。

 

この事例で特筆すべきは、韓国でのポップアップ開催と並行して、日本のドン・キホーテ店舗にもGS25のPB商品専用売り場を設置するという、相互展開が行われた点です。 

これにより、両国の消費者に新しい体験を提供すると同時に、ブランドの認知度と親和性を高めることに成功しました。韓国では3万ウォン以上の購入者が参加できるラッキードローイベントを実施し、客単価の向上とSNS投稿の促進を同時に実現しています。 

一方、開催初期にはあまりの混雑に安全面の問題が指摘され、急遽ウェイティングシステムを導入するという事態も発生しました。 また、人気ゆえの購入制限や在庫不足に対して「やはり日本で買ったほうがいい」という厳しい反応も見られ、期待値のコントロールという新たな課題も浮き彫りになりました。

3. 「飢餓感」と「IP力」でファンを熱狂させる:ジャンプショップと任天堂の成功法則

アニメやゲームといった日本のIP(知的財産)コンテンツは、韓国において圧倒的な市場シェアを誇っています。特に「JUMP SHOP(ジャンプショップ)」と「任天堂」のポップアップ事例は、ファンダムをどう熱狂させ、消費行動へ繋げるかという点で非常に示唆に富んでいます。  

3-1. ジャンプショップ:ハンガーマーケティングによる「達成体験」の創出

『ONE PIECE』『ハイキュー!!』『呪術廻戦』など、数々の大ヒット作を擁するジャンプショップのポップアップは、ソウルや釜山で相次いで開催されました。

ここで採用されたのが、徹底した「ハンガーマーケティング(飢餓戦略)」です。

 事前予約制の導入: 予約成功そのものを「価値ある体験」に昇華。予約開始1分で完売という話題性がSNSで拡散されました。 

 空間の体験化: 単なる売場ではなく、原画を用いた大型フォトゾーンを設置。ファンが自発的に写真を撮り、SNSへ投稿する仕組みを構築しました。

写真提供:Jump shop OFFICIAL INSTAGRAM

ランダムグッズによる交流: ガチャ形式のグッズ販売が、ファン同士の交換や交流を促し、単なる消費を超えたファンダム文化の拡張に寄与しました。 

その結果、第2回の龍山ポップアップでは、第1回と比較して売上1.6倍以上を記録するという凄まじい成果を上げています。

3-2. 任天堂:O4O(Online for Offline)戦略の融合

任天堂のポップアップストアでは、デジタルとリアルを融合させたO4O施策が光りました。

写真提供:Nintendo OFFICIAL INSTAGRAM

 My Nintendoチェックイン: アカウントのQRチェックインとSNS投稿を連動させ、限定ステッカーを配布。デジタルアカウントへの誘導とリアル体験を同時に強化しました。

 トリクルダウン効果の証明: 開催地であるアイパークモールの売上が前年比17%増加。 

20〜40代が来場者の85%を占め、ファミリー層の拡大にも大きく貢献しました。

 

 4. なぜ「今」なのか?韓国市場の成功要因を深掘り分析

調査を通じて見えてきたのは、日本ブランドの成功が「偶然」ではないということです。そこには緻密な立地戦略と、MZ世代をターゲットにしたコミュニケーション設計がありました。 

 4-1. ターゲットに合わせた「場所」の最適解

ポップアップストアの成功は、その立地に大きく左右されます。

 ・ザ・現代ソウル: ファッション、フード、IPコンテンツなど、全方位的なトレンドを発信する「流行の聖地」。 

・弘大(ホンデ)AK PLAZA: 2021年以降、アニメイトの入店を機にアニメ・キャラクター文化の中心地に進化。 

・聖水(ソンス): ブランドのアイデンティティや哲学を表現する、実験的な空間作りに適したエリア。 

それぞれの地域の特性と、自社ブランドの親和性をいかに合わせるかが、集客の鍵となります。 

4-2. SNSを通じた「自発的拡散」のメカニズム

10〜20代の主要顧客層にとって、SNS(Instagram、X)は情報の入手源であると同時に、自己表現の場でもあります。 ポップアップ情報が拡散される背景には、ブランド側が提供する「フォトジェニックな空間」や「限定アイテムの所有欲」を刺激する施策があります。 

特に、日本企業のポップアップに関する言及の85%以上が肯定的であるというデータは、韓国のワカモノが日本のブランドに対して抱く信頼感と期待値の高さを示しています。 

5. まとめ:データを超えた「熱量」を味方につける

今回の調査で、僕たち「韓国ワカモノLabo.」が最も強く感じたこと。それは、韓国ワカモノは単に「有名なもの」が欲しいのではなく、「自分の価値観をアップデートしてくれる体験」を求めているということです。

BEAMSの「ソウル限定」に並ぶ誇らしさ。ドン・キホーテで日本旅行のワクワクを思い出す楽しさ。ジャンプショップで推しのグッズを自力で引き当てる興奮。これらすべての「感情」が、マーケティングの成功を支えています。

日本企業の皆さまへ。

韓国市場は変化が速く、厳しい競争環境にあります。しかし、確固たるブランドストーリーと、現地ユーザーへのリスペクト、そして「一緒に楽しむ」姿勢があれば、必ず熱狂的なファンを作ることができます。

まずは一度、僕たちが日々集まる聖水のカフェや弘大のショップを見に来てください。そこにある「熱量」を肌で感じること。それが、最高のマーケティングの第一歩になると確信しています。