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日本のメンズ美容市場を攻略するマーケティング戦略!韓国コスメの成功事例と日韓消費者インサイトの決定的な違い

2026.05.29 調査メンバー: チェ・イェリュン

韓国の若者文化やトレンドを最速でキャッチアップし、現地の生きた情報を発信している「韓国ワカモノLabo.」です。

急成長する日本のメンズ美容市場と韓国コスメの存在感

「メンズ美容」という言葉がすっかり定着した今日この頃、みなさんの周りでもスキンケアや身だしなみにこだわる男性が増えている実感がありませんか。実は、日本のメンズビューティー市場は今、私たちの想像を超える勢いで拡大を続けているんです。今回は、最新の市場データをもとに、日本のメンズ美容市場のリアルな現状と、そこに深く食い込んでいる韓国コスメ(Kビューティ)の戦略について、若手マーケターの視点からフレッシュにお届けします!

日本国内でメンズ美容ビジネスを展開したい、あるいは韓国ブランドの先進的なアプローチを自社のマーケティングに活かしたいと考えている担当者の方は必見です。まずは、驚きの成長を見せる市場の数字からチェックしていきましょう。

データで見る市場のポテンシャルと「高効能」へのシフト

日本のマネックス証券が発表した最新の報告書やインテージ社のデータによると、現在の日本における男性化粧品市場の約90%を占める「基礎化粧品(スキンケア)市場」は、前年比15.7%増の438億円規模にまで達しています 。これは5年前(2019年)の市場規模である243億円と比較すると、約1.8倍にまで拡大している計算になります 。一部の美容感度が高い若者だけのものだったメンズコスメが、今や幅広い世代に普及していることが数字からも一目瞭然ですね。

ここで、基礎化粧品における年齢層別の購入金額と購入率の推移を見てみましょう 。

日本の男性基礎化粧品 年齢帯別購入金額・購入率の推移(2019年 vs 2024年)

年齢層調査時期購入金額(単位:エン)購入率(単位:%)
20代2019年
2024年
2,604
4,007
40.4
41.6
30代2019年
2024年
1,598
3,023
39.1
43.9
40代2019年
2024年
1,692
2,449
31.9
34.2
50代2019年
2024年
1,596
2.622
29.1
32.0
60-70代2019年
2024年
1,546
2,424
21.5
23.8

(資料:インテージ(2025.2.)KOTRA 나고야무역관整理 )

このデータから、20代・30代の若い消費者層が1.8倍の成長を遂げて市場を先導しているだけでなく、60〜70代のシニア層にいたるまで全ての世代で購入金額が1.5倍近く増加していることがわかります 。

さらに注目すべきは、男性たちが購入している「化粧品の種類(カテゴリー)」の変化です。2019年比で、以下のアイテムの市場規模が爆発的に伸びています 。

* 美容液(미용액):4.9倍(6億円から32億円へ成長) * クレンジング(클렌징):3.2倍(8億円から24億円へ成長) * パック(팩):2.9倍(10億円から29億円へ成長) * クリーム(크림):2.4倍(33億円から80億円へ成長)

本来、男性の肌は女性よりも皮脂の分泌量が多く、毛穴の中の老廃物や角質のトラブルを抱えやすいという性質があります 。そのため、単なる保湿にとどまらず、肌トラブルを根本的に改善したいというニーズが強まっています 。

出典: 

実際に日本国内のブランドマーケティング事例を見ても、コーセー(KOSE)のコスメデコルテや、資生堂メンの「アルティミューン パワーライジング セラム」(30ml基準で8,800円〜1万エンという高価格帯)が、高い効能を求める消費者に支持されて購入者数を従来の13倍に急増させ、早期完売を記録する動きが起きています 。現在の日本市場では、手軽な「ガサンビ(コスパ)」製品だけでなく、確かな効果を約束する「高効能」製品への投資を惜しまない男性が急増しているのです 。

徹底比較!韓国男性と日本男性の「ビューティ」に対する消費者インサイトの違い

日本のメンズ市場でビジネスを展開、あるいは戦略を立てる上で、絶対に無視できないのが「日韓の消費者インサイトの決定的な違い」です。同じアジア圏だからとひとくくりにせず、両国の男性がどのような心理で美容に向き合っているのかを整理しましょう 。

韓国の男性にとって、外見の管理は特別なことではなく、一種の「自己管理(セルフマネジメント)」であり、社会的な競争力や基本マナーとして捉えられています 。

* 肌質・皮膚科中心のケア:メイクで一時的に飾るよりも、土台となる肌の美しさを重視します 。そのため、日焼け止めやニキビなどのトラブルケア、オールインワン製品が定番であり、メンズ1位ブランド「ビレディ」などもスキンケアや自然なベースメイクを中心に展開しています 。

* 施術への抵抗感の低さ:20〜30代を中心に、ヒゲ脱毛、ボトックス、レーザー治療などの皮膚科施術を「自然な自己管理」として積極的に取り入れています 。

* 求めるゴール:広告よりも実際のレビューや前後の変化(ビフォーアフター)をシビアに評価し、「誰から見ても肌が綺麗で、洗練されていて、良く見える顔」を目指す傾向が強いです 。

一方で、日本の男性が美容に求める一歩目は、自己表現や競争力というよりも、「清潔感」や「相手への配慮・社会的なマナー」という意味合いが非常に強固です 。

* 過度でない端正さを重視:韓国のように「一目で作り込まれた綺麗な肌」を作るというよりは、ギトギトしていない爽やかな肌、整った髪型など、「過度な飾り立て(クミン)」のない自然なスタイルを好みます 。

* ヘア・ファッション・体臭管理への高い関心:日本男性のビューティ文化の核心にあるのは、ワックスを使ったヘアスタイリングやファッション、そして「ニオイケア」です 。汗のニオイ、体臭、口臭などに非常に敏感であり、デオドラントや香水、オーラルケア市場が極めて強い基盤を持っています 。

* スキンケアは基本がメイン:洗顔、保湿、最低限の紫外線カットといった基本的なルーティンが中心で、機能性を突き詰めたり皮膚科での施術に大金を投じたりする層は、相対的にまだ限定的です 。

* 求めるゴール:周囲の人に不快感を与えない「ホ感(好感)が持てる印象」を作ることが最大の目的です 。

年齢層やライフスタイルによる多様なペルソナ

実際にレポートに登場する現地のリアルな声を見てみると、そのニーズは以下のように細分化されています。

* 21歳・大学生(ナカモト ユマ):「私はニキビ肌なので、高効能の肌鎮静製品を購入しています」と、明確な肌トラブルの解決を求めています 。データでも、使用のきっかけとして「肌トラブルの改善」が31.2%と最多を占めています 。

* 33歳・美容師(カツモト ショウ):「最近は好きな韓国アイドルがアンバサダーを務めるビューティーブランドの製品を購入する傾向があります」と、カルチャーやインフルエンサーの影響(全体で8.9%)を強く受けています 。

* 40歳・会社員(マツムラ ソウタ):「会社員で忙しいため、自宅の目の前にあるドラッグストアで購入することが多いです」と、タイムパフォーマンスとアクセスの良さを最優先しています 。

日本市場で支持される韓国ビューティ(Kビューティ)ブランドの成功事例

このように「清潔感」や「自然さ」を最優先する日本の男性消費者の心を、韓国コスメブランドはどのようにして掴んだのでしょうか。代表的な2つのブランドのローカライズ戦略を分析します 。

1. VTコスメティクス(VT COSMETICS):アンバサダー戦略と悩み特化

日本国内で圧倒的な認知度を誇る「VTコスメティクス」の成功は、日本のメンズインサイトを緻密に計算したアプローチの賜物です 。

* 段階的なアンバサダー起用によるターゲット拡大:まず、グローバルアンバサダーとして世界的スターであるBTSのV(テテ)を起用し、ファン層や美容感度の高い男子学生層の間で一気にブランドの接点を強化しました 。その後、さらに日本現地での親しみやすさとローカライズを強化するため、俳優の北村匠海さんをアンバサダーに起用 。これにより、韓国コスメに対してまだ心理的ハードルを持っていた一般の日本男性層にも「自分向けの商品だ」と感じさせることに成功しました。

* 日本現地ブランドとの積極的なコラボレーション:日本の有名メイクブランド(ヒロインメイクなど)や、定評のある「AYURA(アユーラ)」といった現地ブランドとのコラボを果敢に展開 。これにより、韓国ブランド特有のアウェイ感を払拭し、安心感と親近感を醸成しました 。

* 「シカ(CICA)ライン」への集中投資:日本男性の多くが悩む「肌荒れ・ニキビ・毛穴」というキーワードに対し、鎮静効果で知られる「シカライン」にマーケティング資源を集中させました 。あれこれ多くのステップを勧めるのではなく、「肌トラブルにはこれ」という明確な一本のソリューションを提示したことが、選び方に迷う男性たちの心を掴みました 。

2. ティルティル(TIRTIR):客観的実績による信頼構築

もう一つの注目株が「ティルティル(TIRTIR)」です 。彼らは、日本のベストコスメアワードで驚異の「24冠受賞」を達成するという圧倒的な実力と実績を前面に押し出しました 。広告によるアピールだけでなく、第三者からの客観的な評価や実際の使用者のポジティブなレビューを積み重ねることで、購入に慎重な日本の男性層からも高い信頼を獲得しています。

【完全提案】日本企業の担当者が実践すべき革新的マーケティング戦略

調査結果によると、日本の男性がスキンケアやビューティー製品を購入する場所は、「ドラッグストア・薬局」が65.7%と圧倒的トップであり、次いで「スーパーマーケット(15.7%)」となっています 。全体の8割以上が、身近でアクセスの良いリアル店舗で購入しているのが現状です 。

しかし一方で、男性たちには「化粧品売場でどれを選べばいいかわからない」「店員さんに相談したり、購入したりするのが少し気恥ずかしい」というリアルな心理的ハードルが存在します。この障壁をクリアし、購買意欲を自然に刺激するためのオンライン・オフラインを連動させた細分化戦略(KEY POINT)を提案します 。

1. オンライン・SNSマーケティング戦略:エンタメ性と強固な共感の創出

  • TikTok「私の肌点数は何点?」AIフィルターキャンペーン * 概要と手法:TikTok上で展開する、ゲーム感覚のユーザー参加型チャレンジです 。AIフィルターが起動し、画面に写ったユーザーの「肌点数」「トラブル指数」「油分レベル」を瞬時に数値化して画面に表示します 。そして、そのスコアを改善するために最適なブランドのおすすめルーティン(化粧水や美容液など)を画面上で自動レコメンドする仕組みです 。 * 期待効果:SNSで簡単に体験できるため、「ゲーム感覚のコンテンツ」として自発的な拡散と参加を促し、スキンケアへの興味を一気に高めます 。
  • 「ランチタイム5分ケア」ショート動画チャレンジ * 概要と手法:多忙な日本のビジネスパーソンをターゲットにした縦型ショート動画マーケティングです 。日本の会社員が昼休みを短時間でスマートに活用する文化に着目し、「昼食の直前・直後に5分でできる肌のリセットルーティン」をテーマにしたリアルな動画を配信します 。あえてキメ顔でカメラを見つめる演出ではなく、スマートフォンの画面を鏡代わりにして、自然かつ無造作にサッと塗る「現実的なスタイル」にこだわります 。 * 期待効果:飾らないリアルな日常のワンシーンを見せることで、多忙なビジネスパーソンに「これなら自分でもできる」「午後からの商談前にやってみよう」という強力な共感コードを生み出します 。
  • 「テレテレ(照れ照れ)レビュー」コンテンツの展開 * 概要と手法:日本の男性特有の「美容への気恥ずかしさ」を逆手に取ったユニークなレビューコンテンツです 。インフルエンサーが少し照れくさそうに囁き声で商品の感想を語ったり、オフィスのデスクで周りにバレないようにこっそりスキンケアを塗ったりする様子をコミカルに描きます 。動画内では「塗っている感が一切出ないから、会社の上司や同僚にも絶対にバレない(マジでハレない)」というメッセージを強調します 。 * 期待効果:消費者の「周りにバレたくない、でも綺麗でいたい」という深層心理を正確に突くことで心理的ハードルを大きく下げ、親近感とブランドへの信頼感を一気に高めます 。

2. オフライン・リアルマーケティング戦略:動線に潜り込むノンストレス体験

  • 駅構内の「即席肌診断自動販売機」の設置 * 概要と手法:世界トップクラスの規模を誇る日本の「自動販売機文化」とパーソナライズスキンケアを融合させた画期的な施策です 。多くのビジネスパーソンが行き交う主要駅の構内に、大型液晶スクリーンの付いた肌診断自販機を設置します 。画面の前に立つだけで瞬時に肌診断(美白や肌状態の分析)が行われ、その結果に応じた自分の肌タイプにぴったりのミニスキンケアキット(500円など)をその場で手軽に購入できるようにします 。 * 期待効果:対面で接客を受ける必要が一切ないため、スキンケア初心者でも完全にノンストレスで試すことができます。「面白そうだからやってみよう」という自然な購買意欲を引き出し、華やかな化粧品コーナーに足を運ばない潜在層を確実に捕まえます 。
  • 「オフィス巡り訪問(メンズグルーミングデー)」の開催 * 概要と手法:男性社員の比率が高い企業と提携して実施する、BtoBtoC型の訪問イベントです 。企業のオフィス内に特設ブースを構え、就業時間内や休憩時間に、社員の方々の肌測定を無料で行い、それぞれの肌悩みに合わせたサンプルセットやミニキットをその場でプレゼント、あるいは体験してもらう試みです 。 * 期待効果:普段忙しくてドラッグストアの化粧品売場をじっくり見られない20〜50代の幅広いオフィスワーカーに対し、ダイレクトにアプローチできます 。会社のイベントとして体験するため恥ずかしさがなく、ブランドや製品に対する信頼感を一瞬で高めることが可能です 。
  • 男性向け美容室(ヘアサロン)との全面協業プロモーション * 概要と手法:男性が定期的、かつ心理的ハードルなく訪れる空間である「美容室」を活用した体験型マーケティングです 。サロンでのカットやカラーの待ち時間(平均15〜30分程度)を利用し、席の鏡の前にスキンケアのテストキットやサンプルを配置します 。鏡に使い方のステッカーを貼ったり、メンズヘアのプロである美容師(ヘアデザイナー)から「髪型と一緒に肌も少し整えると、格段に清潔感の印象がアップしますよ」と、ライフスタイルに合わせた提案をしてもらいます 。 * 期待効果:男性にとって最も身近な外見のプロフェッショナルである美容師からの推奨は絶大な効果を持ちます 。退屈になりがちな待ち時間を有効活用することで、高い確率で実際に商品を試してもらうことができ、中高年の新規顧客(30〜50代)の獲得に非常に強力な力を発揮します 。

おわりに:メンズビューティの新常識を自社の武器にするために

日本のメンズ美容市場は、2024年に基礎化粧品だけで438億円規模へ到達し、今や全世代を巻き込んで驚異的なスピードで成長を続けています 。この魅力的な市場で日本企業が先行する海外ブランドに対抗し、勝率を高めるための最重要ポイントは、ターゲットの「羞恥心」や「迷い」を取り除くユニークなデジタル施策と、彼らの日常の動線(駅、オフィス、美容室)に自然に溶け込む体験の場を創り出すことです 。

メンズ美容は、もはや一時的なブームではなく、日本の男性にとって不可欠な「新常識・身だしなみ」へと進化しました 。まずは、今回提案した革新的なオムニチャネル戦略の中から、自社のリソースに最適なアプローチを一つ企画し、小さくテストすることから第一歩を踏み出してみませんか。若手メンバーの斬新な感性と確かなデータ分析を掛け合わせ、メンズ美容市場の未来を先取りしていきましょう!