韓国にはどのような産業地域があるかご存知でしょうか。総人口の約18%が集中しているソウルをはじめとして、プサンやテグといった大都市に目が向けられがちですが、ソウル以外の地域にも歴史・経済・国民性などさまざまな特徴があります。今回は大都市だけではない、韓国の地域別の特徴の中でも産業分野を中心に皆様に知っていただきたく、ご紹介させていただきます。
韓国の行政区分
まずは韓国の都市名の行政区分について紐解きます。韓国で日本の都道府県にあたる一級行政区は、1特別市、6広域市、1特別市自治市、6道、3特別自治道から成り立っています。また、それらに続いて二球行政区の市・郡・面・里・自治区(特別市と広域市のみ)などがおかれます。
韓国地域別産業の特徴
ここから韓国国内でも特徴のある都市をご紹介していきます。それぞれの都市の最新ニュースリンクもつけていますのでどうぞご覧ください!
ソンド国際都市(インチョン広域市)
インチョン市に位置するソンド国際都市は人口の島です。ソンドは、政府推進の「国家先端戦略産業バイオ特化団地」で、サムスンバイオロジテクスやSKバイオサイエンス研究所などに続き、ロッテバイオロジックスが竣工を開始し、島の埋め立て工事は現在も進行中です。また、次世代グローバル人材育成のために仁川グローバルキャンパス(IGC)と呼ばれる、国家プロジェクトが行われている都市でもあります。アメリカのニューヨーク州立大学をはじめとし、現在は5つの海外の大学がソンド市で開校しています。授業水準が本校と同水準で英語で行われることや留学するよりも安く抑えられることが学生にとってメリットであり、グローバル企業や韓国の大手企業に就職する学生も多いようです。
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パジュ市(キョンギ道)
北朝鮮との国境にある韓国最北の市で、朝鮮戦争の停戦協定が行われた板門店やDMZ(非武装地帯)があります。面積の約88%が軍事保護区で、軍との協議無しに建物の新築や開発ができないエリアです。安全保安上から資本投資が進んでいない地域でしたが、政府による誘致が行われ、現在はOLEDテレビ世界シェアトップのLGディスプレイなどの企業が集まるパジュディスプレイクラスターを形成し、産業都市として拡大中です。複合施設や駅の開設も予定されていることから、パジュの住宅市場の需要も増加しているようです。
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https://m.nspna.com/jp/news/?mode=view&newsid= 713737
http://www.econonews.co.kr/news/articleView.html?idxno=311438
ヨンイン市(キョンギ道)
ヨンイン市は、2023年に韓国政府に世界最大規模の半導体クラスターの構築を宣言された都市です。622兆ウォンの費用をかけ2026年末より着工予定でしたが、予定を繰り上げ、完成は2047年を予定しています。ヨンイン市は製造業、研究所、研修院が多く集まるエリアで、ソウルから出勤する人も多いようです。韓国最大級のテーマパークであるエバーランドや韓国ドラマの撮影地でよく利用される韓国民俗村などがあり、ソウルから気軽に行ける観光地として人気です。
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龍仁・半導体クラスターを2026年に前倒して着工、政府が方針発表 | 東亜日報
ピョンテク市(キョンギ道)
ピョンテク市史新聞によると、ピョンテク市は2023年末現在、国内国際貿易港の中で港湾全体の物量5位、自動車輸出入1位、コンテナ物流量4位という貿易が盛んな市です。ソウルから南に75キロほどの距離にあり、高速道路や高速鉄道が建設され、ソウルに近いインチョン港の代替としても活躍しているようです。また、世界最大級の米軍基地があり、軍港としても発展しています。近年は、新規工場を竣工した富士フィルム、冷蔵機能を兼ね備えた倉庫を開業した近鉄エクスプレス、粉末スープ事業を中心に韓国の食品企業と合併会社を設立した味の素など、多くの日系企業がピョンテクに進出しています。日本で例えると、自動車輸出入一日本で、静岡県付近の企業に東京・横浜港の代替として利用される名古屋港に似た存在です。
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韓国 先端半導体材料の新工場 竣工 | 富士フイルム [日本]
韓国法人 平澤(ピョンテク)物流センター 第3ターミナルを開設 | 近鉄エクスプレス [KWE]
テジョン広域市
韓国の中心に位置するテジョン広域市は、1973年に研究学園団地として指定された大徳研究団地を中心に、韓国国内の理工系大学で最難関とされている科学技術院(KAIST)をはじめとする大学と韓国電子通信研究所(ETRI)など政府・民間の研究所が集まる科学技術のハイテク都市です。研究が多く行われるテジョンでは、知的財産庁(KIPO)や国立統計局など韓国政府機関が置かれています。また、テジョンを真ん中にしてソウルと南東のプサン、南西のクァンジュの分岐点となることから韓国鉄道公社(KORAIL)の本社が置かれており、韓国国内移動の要となっています。
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知的財産ニュース ソウル、4年連続WIPOの5大科学技術クラスターに選定
ウルサン広域市
2024年1月のSBS Bizによると、2022年の会社員平均年収は、ウルサン広域市がソウルを抑えて全国1位です。(ウルサン広域市-4,736万ウォン、ソウル特別市-4,683万ウォン)日本統治時代に工業都市・捕鯨基地として繁栄し、現在は石油化学企業、自動車等の製造系企業、造船が注力産業であり、新・増設が相次いでいるようです。それらのウルサンを支える産業には外国人の労働力が必要不可欠で、2023年に移住した外国人は4125人となり、2022年は889人を大きく上回り、急激に増加しています。プサンから電車で約20分の距離にあり、プサンからの日帰り旅行として観光する人も多いようです。
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직장인 평균 급여 울산 1위…꼴찌와 ‘1200만원’ 차이 – SBS Biz
울산 총인구 88개월 만에 증가…외국인 유입 영향 | 연합뉴스
チェジュ特別自治道
韓国最南端の火山島であるチェジュ島は、韓国人にとっての国内観光スポットで日本の沖縄と似た様な存在であるそうです。2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された海女や国内生産量99%以上を誇るみかんなど、第一次産業が発達した都市です。地球温暖化の影響で亜熱帯化が進み、近年はマンゴー・バナナ・オリーブなど温暖な気候で育成できる植物の生産に力を入れているようです。日本からの直行便は一時期休止していたものの、成田空港と関西国際空港からの直行便が再開し、日本からも旅行しやすい観光地でもあります。
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済州島の海女漁業「世界農業遺産」に認定 : Korea.net
おわりに
今回はソウル以外の地域の特徴について、産業に絞ってご紹介させていただきました。多くの大学が揃うソウルの大学に通う学生は多いですが、出身やルーツはその他のエリアであることも多いようです。意外と知られていないソウル以外の韓国について認知いただき、当記事が韓国人学生とのコミュニケーションにお役立ていただけましたら幸いです。