近年、世界中で続く物価高。それに伴い、賃金の値上げも大きな話題となっています。韓国では最低賃金が初めて1万ウォンを超え、日本でも全国平均が1000円を突破するなど、各国で最低賃金の引き上げが進んでいます。
本記事では、韓国と日本の最低賃金の動向を皮切りに、世界の初任給ランキングや各国のボーナス事情など、賃金事情を紹介していきます!
韓国の最低賃金、1万ウォン超えへ
7月12日、2025年度の韓国における最低賃金が時給1万30ウォン(日本円に換算すると約1,103円)に引き上げられることが発表されました。
これは2024年度の9,860ウォンから1.7%の引き上げであり、1988年に最低賃金制度が導入されて以来、初めて1万ウォンを超える水準となります。
この背景には、物価の上昇により実質賃金が減少しているという国民の不安があり、賃金交渉が続いている状況です。
一方、日本でも最低賃金の引き上げが進んでおり、昨年の全国平均は時給1,004円となりました。韓国と同様に、日本でも近年大幅な引き上げが続いています。
新型コロナウイルスの影響で経済状況が悪化した2020年度は、引き上げ幅が1円にとどまりましたが、その後の3年間で過去最大の引き上げが行われました。
このように、世界的に物価高や賃金格差が広がる中で、日韓両国はそれぞれの経済状況や社会的背景に応じた最低賃金の引き上げを進めていることが伺えます。
世界の給料事情
世界のボーナス事情
ボーナスは多くの国で、単なる報酬の一部としてではなく、従業員のモチベーションを高め、企業への忠誠心を育む手段とされています。
国や企業によっても異なりますが、基本的には基本給1~2カ月分を年1回支払う場合が多いです。支払時期は、年末か旧正月がある国であればその旧正月前あたりが多くなります。
ただし、法的に定められたものではないため、業績によって支払われない場合もあります。例えば、フィリピンやイタリアなどでは法的にボーナスの支払いが義務付けられている国もありますが、支払いの金額や頻度には国による違いがあります。
ボーナスの制度は、企業の業績や国の経済状況によって大きく変わるため、地域ごとの経済環境や文化の違いが反映されていると言えるでしょう。
注目が高まる「生活賃金(Living wage)」
近年、物価上昇と格差の拡大に伴い、「生活賃金(Living Wage)」への関心が世界的に高まっています。
「生活賃金(Living Wage)」とは、労働者とその家族が最低限の生活水準を維持するために必要な賃金を指しますが、国際的に統一された明確な定義や基準は存在していません。そのため、地域や時代によって解釈が異なる概念と言えます。
これに対して、上記でも言及した「最低賃金(Minimum Wage)」は、各国政府が法的に定めた賃金の最低額であり、生活賃金とは異なるものです。最低賃金は明確な基準が存在し、解釈の余地がないため、法的根拠に基づいて強制されます。
国連の「世界人権宣言」では、生活賃金を基本的人権の一つとして位置づけており、2016年にイギリスで「全国生活賃金」が導入されてから、世界で取り入れられるようになったという歴史を持ちます。
近年、物価上昇が続き賃金格差が広がる中、この生活賃金という考え方が再び注目を集めているようで、日本でも一部の企業が、生活賃金を取り入れ始めています。
日韓の若者、初任給で何をしたい?
日韓の若者は初任給をどのように使うのでしょうか?2021年に韓国のジョブコリアとアルバモンが実施した調査によると、韓国の若者が「初任給をもらって最初にしたいこと」の1位は「両親にプレゼントや現金(お小遣い)を渡す」で、79.9%がこの回答を選びました。次いで2位は「自分のためのご褒美(flex)」、3位が「金融商品の購入や貯蓄」となっています。
儒教文化が根強い韓国では、初任給でまずお世話になった人に感謝の気持ちを表す傾向が強いようです。中には初任給の全額を両親に渡す人もいるようです…!
韓国では、以前は「赤い下着」のプレゼントが一般的でした。これは新鮮な始まりと幸運を象徴する伝統的な風習で、多くの人に親しまれていました。現在も下着のプレゼントは見られますが、最近ではより実用的なプレゼントが選ばれる傾向にあります。
特に「現金のプレゼント」は韓国独特の文化で、両親へのプレゼントとして現金を贈るのが一般的です。
一方、日本の新社会人に聞いた初任給の使い道では、1位に「貯蓄」が選ばれました。
韓国と同様に、親へのプレゼントも高い順位を占めており、「自分の大切な人に感謝を伝える」という文化は、変わらず根強いことが分かります。
また、近年ではNISAや投資信託など資産運用への関心が高まり、若年層の中で積極的な資産形成を始める人が増えています。特に、住宅購入や結婚など将来の大きな支出に備えて、若いうちから資産形成を意識する傾向が見られます。
出典:新社会人に聞いた“初任給”の使い道…1位は“貯蓄”!? 時代は変わっても変わらない“親への感謝”|FNNプライムオンライン
まとめ
いかがでしたか。
今回は、世界の賃金事情について触れましたが、物価上昇や生活水準の変化に伴い、賃金の引き上げが急務となっています。
特に、生活賃金の概念が広がる中で、労働者の最低限の生活を保障し、働きがいのある社会を実現するためには、どのような賃金体系を構築していくべきかが重要な課題となっているようです。
本記事を通じ、韓国人材がもつ、賃金や報酬に対する考え方や捉え方を理解していただけたのではないでしょうか。是非、採用時の意思決定に役立てていただければと思います。
参考文献
2025年の最低賃金は時給1万30ウォン(韓国:2024年7月)
韓国の平均賃金 OECD平均の9割まで上昇=日本との差も広げる
最低賃金 大幅な引き上げとなるか 厚労省の審議会で議論始まる
世界主要国「平均年収」ランキング|資産形成ゴールドオンライン
【1分解説】 生活賃金(Living wage)とは? | 田村 洸樹
日本の最低賃金1004円と英国の生活賃金2007円の意味(木村正人) – エキスパート – Yahoo!ニュース
MZ世代の求職者の半数は「初めての給料は自分のためのご褒美」 :: Newsis ::
新社会人に聞いた“初任給”の使い道…1位は“貯蓄”!? 時代は変わっても変わらない“親への感謝”|FNNプライムオンライン