皆さんは、韓国の姓名といえばまず思い浮かぶものは何でしょうか。同じ苗字が多いというイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。普段から韓国のアイドルを知っていたり、韓国ドラマをご覧になっている方は、なんとなく、よく聞く苗字や名前が思い浮かぶのではないかと思います。今回は韓国の姓名について、紹介していきたいと思います。
韓国の姓名の成り立ち
韓国人の苗字は法律上「姓」と呼ばれます。書類の名前を書く欄には「氏名」ではなく「姓名」と記され、「姓(1文字) + 名(2文字)」の3文字で構成されることが多いです。
もちろん、名字を含め2文字か4文字も少なくありませんが、下の名前だけで4文字以上の場合もあります。しかし、1993年から名字を除いて5文字以内という制限が設けられたそうです。
姓にはすべて漢字があり、名は漢字か固有語(ハングル) を付けますが、証明書を発行する時など特別な場合を除いては、ハングルで書いているそうです。また韓国ではキリスト教を信仰している人が多く、両親がキリスト教を信仰している場合、聖書から単語を引用して名前をつけることもあるそうです。
いくつか例をご紹介しましょう。
「姓(1文字)+名(1文字)」= 例/현 빈 (ヒョン・ビン)
「姓(1文字)+名(2文字)」=例/ 이 영수(イ・ヨンス)
「姓(1文字)+名(3文字)」=例/박 새로이 (パク・セロイ)
「姓(2文字)+名(1文字)」=例/ 남궁 민(ナムグン・ミン)
「姓(2文字)+名(2文字)」=例/ 황보 슬혜(ファンボ・スレ)
苗字ランキングと比率
次に韓国の苗字と日本の苗字の人口比率をランキング形式で比較してみましょう。日本の苗字は、1997年版の「日本苗字大辞典」によると、29万1129種類あるとなっています。対して韓国の苗字の種類は約290種類と言われており、かなり少なくなっています。
上表によると、韓国の第1位「金」さんは全人口の約21%も占めていることになります。日本の第1位「佐藤」さんでも比率1.5%程度なので、韓国の苗字の偏りが明らかです。
また、韓国では女性は結婚しても自分の姓を維持します。いわゆる夫婦別姓です。そして、子供は父親か母親の姓のどちらか1つに従うことができます。これまで、子供は父親の姓を受け継ぐルールでしたが、2008年以降婚姻届の提出時に協議しておけば、母親の姓も継ぐことが出来るようになったそうです。少しずつですが、母親の姓に従う子供は増える傾向にあると言われています。
名前づけのルール
日本では、命名について定めている法律は「戸籍法」です。命名のルールについて「子の名には,常用平易な文字を用いなければならない。」(50条)があります。
一方、韓国も同様で、名前にはハングルまたは通常使われる漢字を使わなけれならないそうです。(「家族関係の登録等に関する法律」第44条第3項)
また、日本のように子供が生まれる前に名前を考えることはあまりない、とのこと。韓国では生まれた日時に意味づけをして、名づけ専門の占い師さんに依頼をしたり、家紋のルールに詳しい祖父母にお任せしたりするのが一般的だそうです。
名前候補が出揃ったら、家族や親戚に投票を依頼したり、日本でいう「キラキラネーム」のように響きが良い名前か漢字がないハングルの名前を付ける若い親も増えているそうです。また日本でもジェンダーレスな響きで使える名前がありますが、韓国ではソウ(서우)、ヨヌ(연우)、スヒョン(수현)、シヒョン(시현)、ジユル(지율)、ヒョンソ(현서)などがそれにあたります。
- ・韓国で流行した名前ランキング
改名に対する価値観
韓国は改名に対する概念が日本と異なります。2005年に改名を許可する決定が下されたことと、さらに同時期に自分の名前を「ダサい」と感じ「これからの人生を新しい名前で頑張りたい」という女性の主人公を描いた大ヒットドラマ「私の名前はキム・サムスン、2005年」をきっかけに、改名申請が爆発的に増加したそうです。
筆者のアルバイト先の男子学生も、지수(ジス)という名前だったのですが、女の子に使われる場合が多いので、成人になったタイミングで改名していました。もちろんさまざまな規定があり、気楽に改名できるわけではありませんが、日本よりも比較的、改名は身近なものという印象です。
まとめ
今回は韓国人の姓名について、ご紹介しました。韓国では基本的に「キムさん」「パク様」のように、姓だけに何かをつけて人を呼ぶことはまずありません。記事にあるように苗字の種類が少なく「どちらのキムさん?」となってしまうため、基本的にはフルネームで呼ぶことが多いです。韓国人学生採用の際に、ご参考になれば幸いです。