近年、日本ではチャットアプリ「LINE」をはじめとして、「TikTok」や「Instagram」など様々なSNSアプリが人気です。若年層リサーチ結果を発信する「TesTee Lab」によると、「SNSを利用している」と回答した大学生は全体の97.9%で、ほとんど全ての学生が何かしらのSNSを利用しています。インターネット先進国と言われる韓国では、日本よりもさらにSNSの利用が盛ん!kepiosによると、全世代ではの91.2%の国民が利用しているというデータもあります(2022年1月時点)。
そこで今回は、韓国のネット事情とSNS事情について取り上げてみました。韓国人学生がよく利用するSNSや利用方法を知ると、韓国就活生への効果的なアプローチにつながるかもしれません!
デジタル先進国韓国
韓国は、2000年代初頭よりITによる急速な変化が進んだことから「IT大国」、「電子政府先進国」と呼ばれていました。その名のゆえんの一つとして「電子行政ポータルサービス」と呼ばれる行政のオンラインサービスが挙げられます。例えば、韓国では国民一人ひとりに「住民登録番号」が与えられていますが、この番号ひとつでさまざまな行政サービスをオンラインで受けることができます。コロナ感染症拡大時の2020年を思い出すと、日本が給付金の支給で時間がかかりすぎると騒がれていた中、韓国ではオンライン化された行政サービスのお陰で迅速な給付金支給が行われ、各国から称賛されていました。
また行政のみならず、365日24時間ネットバンキングが利用できたり、チャージ式の交通カードで公共交通機関やタクシーに乗れたりも早い段階から導入されていました。街中あらゆる場面でデジタルの利便性を感じることができるでしょう。
インターネット普及率は約97%と、年代問わずほとんどの国民がネットに触れている韓国では、気軽にインターネットに触れることができる施設も充実。有名なのが「PCバン」と呼ばれる、日本でいうネットカフェのような場所です。韓国ドラマでも登場人物が家出したらPCバンに行っていたり、学校をさぼってPCバンでゲームしていたりというというシーンが頻繁に出てきます。日本のネットカフェよりも安く利用できるので、韓国の若者にとって、ちょっとした暇つぶしにこの「PCバン」は最適のようです。このように韓国では行政サービスもデジタル化され、日常生活でもネットに触れる機会も多く、ITが人々にとって非常に身近であることが分かります。
韓国のSNS事情
韓国ではネット社会が浸透していると述べましたが、中でも近年SNSの存在感が増しています。韓国ではアクティブソーシャルユーザーと呼ばれるSNSに日常的に触れている人は91.2%にのぼり、韓国社会での情報発信においてSNSの活用は欠かせないといっても過言ではないほど、SNSが生活の一部になっています。SNSの種類も多く、コミュニケーション手段だけでなく、推しの俳優や歌手の情報を得たり、共通の趣味を持つ仲間と繋がったり、海外に住む人と異文化交流をするためにであったり・・と、さまざまな目的で利用されています。
利用の仕方は日本人と同じですが、SNSに触れる時間は日本人よりも長いようで、kepiosによると、韓国では毎日インターネットの利用に5時間37分、SNSに1時間8分費やしており、インターネットとSNSを合わせた合計利用時間は1日6時間を超えていると伝えられています。1日にネットに触れている時間が長い分、SNSから入ってくる情報量は多くなっています。
SNSを活用して情報収集が活発な理由の一つに、韓国人は人気の個人ブロガーやインフルエンサーと呼ばれる人の発信力のある人が強い傾向が挙げられます。日本でもYoutuberやInstagramerと呼ばれる発信力のある著名人がいますが、韓国ではインフルエンサーや俳優やアイドルなど、SNSを発信する著名人への信頼が一層強いようです。韓国人の多くは、例えばゲーム好きであればゲーム実況者、グルメ好きであればグルメブログを書くブロガー、ファッション好きであればモデルや化粧などの情報を発信する人など、それぞれ自分の興味のある分野について投稿するインフルエンサーをフォローしています。韓国の若者にとって、こういった個人が投稿する情報は企業発信の情報よりも信頼されることも多く、トレンドや人気を作っているのもインフルエンサーの存在が大きいです。
SNSでヒットしやすいものは・・?!
韓国のSNSでヒットしやすいものには特徴があるのですが、それは「ビジュアル」なんです!皆さんもカラフルな場所や美味しそうなご飯やスイーツの映像を見て、行きたい!ここで同じものを食べて写真を撮りたい!と思ったことはないでしょうか?!
韓国では何か流行る際には「ビジュアル」が非常に重要な役割を果たしています。インスタの「#○○」やテレビの韓国特集を見ると、スイーツがカラフル“映え”を意識されていたり、カフェの壁面がおしゃれにネオンで飾られていたりと、視覚的に見ている人に訴えてくるものがたくさんあります。韓国ではこの「ビジュアル」や見せ方へのこだわりがすごく、流行を引き起こすためには「ビジュアル」にこだわることが必須項目です。今や情報は「読む」ものではなく「見る」ものだともいわれており、韓国人に何か知ってもらうためには内容だけでなく、「見せ方」にこだわることも一つポイントになっています。
人気のアプリ
では実際に韓国では、どのようなアプリやツールによって、日々情報を得ているのでしょうか。この章では、特に韓国の若者が利用するSNSアプリ5選を紹介します。
- 1.Kakao Talk
一つ目は「Kakao Talk」です。日本ではチャットアプリとして「LINE」がよく使われていますが、韓国では「Kakao Talk」というメッセージアプリが主流です。韓国のスマホ利用者の10人に8人が利用しており、ここ10年で急激に普及しています。
機能としては、LINEのように1対1、グループでメッセージを送り合う他、音声・ビデオ通話機能などがあります。アプリをダウンロードすると、ピッコマと呼ばれる漫画も気軽に読むことができます。
韓国学生にとっても非常に身近なものなので、気軽に連絡を取り合うときなどは、このKakao Talkを使うのがおすすめです。
- 2.YouTube
続いて紹介するのは日本でもお馴染みの「YouTube」です。日本でも世代問わず日々多くの人に見られていますが、韓国人の1日のYouTube視聴時間は約2.5時間と日本人の4〜5倍で、さらに人気のようです。「YouTube」といえば動画を視聴するコンテンツのイメージが強いですが、オンライン検索時に利用するアプリとしても人気のようで、NAVER(4つ目に紹介する)の次に多く、60%の人が検索目的で利用しています。今や、動画を見て楽しむエンターテイメントとしてだけでなく、情報を得る一つの手段にもなっているようです。そのため、韓国大統領選挙の際、候補者が20〜30代の支援獲得のためにYouTubeで配信活動が行われたり、企業の新商品PRでYou Tubeを活用するなど知ってもらうために発信しているコンテンツも多くあります。
しかしメインの利用方法としては動画を見て楽しむことが中心で、“モッパン(食べる放送)”と呼ばれるグルメ系・かわいい動物系・K-POPアイドルや、芸能人のエンタメ系の配信コンテンツが根強い人気。自分の趣味や嗜好に合わせて、お気に入りをチャネル登録し、そのチャネルの投稿を欠かさず見ている人も多いので、認知活動を行う際はある程度のチャネル登録数がいるインフルエンサーを活用してPR活動をするのも、一つ有力な手段となるのではないでしょうか。
- 3.Instagram
こちらも日本でもお馴染みのアプリ「Instagram」です。写真とちょっとしたコメントを載せて投稿したり、逆に自分のフォローしてる人の投稿を閲覧したりと人気のSNSアプリです。日本では10、20代を中心に40代などの上の層まで幅広く使われていますが、韓国ではトレンドに敏感な10〜20代の利用者が大半を占めています。
日本の若者は友達と遊んだ時にとる複数人の写真やカフェの雰囲気・グルメの写真、街の風景などモノを載せることが多い傾向がありますが、韓国では自撮りを載せている人が多い印象です。アイドルや俳優など著名人だけでなく、ふつうの大学生や社会人も自撮りを載せています。私の大学の友人である韓国留学生も、カフェで友達に撮ってもらった写真やおしゃれな背景をバックにした自撮りをあげていました。そのため、自撮りを表す#셀카や#셀스타그램(셀카=自撮り、인스타그람=インスタグラム)といったハッシュタグがよく使っており、そのほかにも、#데일리(デイリー)#일상(日常)、#ootd(今日のコーデ)などのハッシュタグをつけてよく投稿していました。インスタを使ってプロモーションなどを行う際、これらのハッシュタグをつけて、ヒット率を高めるのもいいかもしれませんね。
- 4.NAVER
「naver」とは韓国最大のポータル型検索エンジンのことです(ポータル型検索エンジン:膨大な量のwebサイトをジャンル毎にカテゴリ分類する形式)。日本において検索エンジンの代表格と言えるのは「Google」ですが、韓国内でGoogleの利用率は2割と低いです。その代わりに利用されているのが「naver」で、シェア率は7割以上です。情報を調べる検索、深掘りする検証の段階・気になったモノやサービスを購入する段階で利用されています。Yahoo!のようにショッピングやニュース、メールなどの機能もあります。韓国ではブログを閲覧する人が多く、個人ブログや趣味やテーマに特化したコミュニティーである「naver cafe」といった機能も人気のようです。あるデータによるとトップページでの検索よりもブログを検索する割合が24%も高いという結果があります。
自社をプロモーションする際に、このnaverブログを活用するのはおすすめです!
- 5.BAND
BANDは、日本で少し前に流行ったカメラアプリ「SNOW」をリリースするなど若い世代で人気のアプリを輩出している企業キャンプモバイルが開発したアプリで、2012年にメンバー同士の交流アプリとしてサービスを開始しました。韓国語や英語などを含む7か国語対応で、小規模のメンバーで交流できるクローズ型SNSとして、人気です。「共通の趣味」や「情報共有」の場として活用されることが多く、一定のターゲットが定まっている場合は、そのターゲットに最適なアプローチをするために便利なアプリです。
リリース10周年だった2022年には、1億5000万ダウンロードを達成しました。主なユーザーは10-20代で、全体の26%を占めています。そのため日本就職についてや企業のことなどを韓国の若者に知ってもらうには便利なツールかもしれませんね。
まとめ
今回は韓国のSNS事情についてご紹介しました。韓国では日本よりも行政サービスや日常のあらゆるシーンでデジタル化が進んでいるため、若者はもちろん幅広い世代でインターネットを使っている人の割合が高く、一人当たりのインターネットに触れている時間も長い傾向にあります。中でも個人同士が発信してつながったり、推し(好きな俳優やアイドル、インフルエンサー)を見つけ、そこから情報を得たりと、SNSが大きな影響力を持っていることは間違いありません。韓国の若者に知ってもらい、興味を持ってもらうためにSNSをうまく活用することは、今後ますます不可欠になってくるのではないでしょうか。
参考文献
電子政府、韓国は「2位」で日本にボロ勝ち!?日本がDXできない理由 | THE OWNER(電子政府)
【2022年版】韓国のSNS事情まとめ 急速に利用者伸ばす「BAND」も紹介 | 訪日ラボ (honichi.com)(訪日ラボ)
https://www.korit.jp/news_platum_band_1020sedai(BANDについて)
https://gaiax-socialmedialab.jp/post-65507/amp/(Youtube,Naver)