何だかんだ言ってもまだまだリクルートスーツ文化のある日本。濃紺のリクルートスーツが並ぶ就活時期の風景は、もはや日本の風物詩と言っていいかもしれません。
お隣の韓国ではどうでしょうか。今回は服装から見えてくる文化的背景も含めてご紹介していこうと思います。
1.日本の文化?!「リクルートスーツ」の今昔
韓国の就職活動時の服装を見ていく前に、最近まで就職活動をしていた私自身の経験も踏まえて、「日本のリクルートファッション事情」についてお話ししようと思います。
最近では、学生本来の姿をみるために「私服でお越しください」と自由な服装で就活することを勧めている企業も出てきていますが、まだまだ面接時などは無難に「リクルートスーツ」を選ぶ学生が多いです。
そもそも「リクルートスーツ」の誕生は1970年末ごろまで遡ります。それまでは大学入学時に購入した学生服を着て就職活動することが一般的だったのですが、徐々にスーツ着用が広まり始め、1980年代にはデパートの特設会場で「リクルートスーツ」の販売が一斉に催されるようになりました。
私自身はといえば22卒就活時、実はすべて私服で行いました!(選んだ企業が比較的自由な企業が多かったというのもありますが・・。)しかし、私のような人はどちらかと言えば少数派で、集団面接時などは、たとえ企業が自由な服装を推奨してくれていても、スーツで来ている学生が当たり前のようにいました。
受ける企業に合わせてスーツも着れば私服も着る、という柔軟な人が増えてはきていますが、ファッションも含めて自分をアピールするぞ!と服装を自己P Rのツールにするまではなっておらず、リクルートスーツの手軽さ、無難さに軍配が上がっている感じです。
一方、韓国の就活生はどのような服装で就活しているのでしょうか。
2.韓国の就活生はリクルートスーツを着る?
韓国では、服装はフォーマルな感じであれば、比較的自由のようです。
スーツの色は黒でなくても紺やベージュでも大丈夫なようで、シャツもフォーマルであれば、色など気にする必要はないそう。
また髪型も、明るめの茶髪は結構いるそうで、基本的にTPOを意識したものであれば、自由なようです。(さすがに金髪はNG。)
特に就活生に「創造的才能」を求める会社は、面接時のスーツ着用を禁止しているとのこと。
Tシャツの上の部分に自分の写真を貼り付けたり、ネクタイを締めつつも背中にギターを背負ったり、ユニークな服装で面接に挑む就活生もいると聞きました。印象に残すべく工夫を凝らして面接に挑むあたりは、日本のベンチャーやクリエイティブの企業を受ける就活生と同じ傾向にあると言えそうです。
3.容姿が重要視される韓国
KOREC学生や韓国企業で働いている方によく聞くのが、「容姿は評価基準に入り、そして重要視されることが多い」ということ。日本でも大なり小なりある話なのかもしれませんが、儒教文化の韓国では、それが日本よりも顕著なようなのです。
かつて儒教の中興者である朱熹は、人間を大きく「聖人・君子・凡人・悪人」に分けて説明しました。
聖人とは最高の道徳観を持ち、人間的能力が非常に高い人物のことを指します。「道徳観=能力」という考え方が根強いため、不細工な人間は「人を不快にさせる能力の低い人間」「社会に受け入れられない人間」となり、悪人と見なされます。
つまり、韓国人にとっては「不細工=内面の不道徳さが現れたもの」になるため、外見を良くすることは、勉学には励む努力と同様、「徳を積む」という考えになるのです。
外見を良くするためなので、整形もマイナスイメージにつながりません。中には大学入学時や卒業時に両親から「今後の人生のための整形」をプレゼントされる人も。企業側も「外見を重要視する」とは公言はしませんが、暗黙の了解として存在するので、容姿に対する努力が詰まったリクルートファッション、とも言えるでしょう。
4.KOREC学生に聞いた、韓国学生たちの就活時の服装
KORECの学生にも、韓国での就活時の服装について聞いてみました!
やはり彼らも、日本のような濃紺一色のリクルートスーツを着ていたわけではない、とのことでした。
ただし、大企業を志望する就活生は、日本でのリクルートスーツのように黒色のスーツで就活をする方が多いようで、老舗の大企業ほどフォーマル寄りになるのは日本と似ていますね。
あと、韓国では一般的に「即戦力になる確かなスキルがあり、自分に自信を持っていて、将来の野望がある人物が評価される」ので、面接時も個性を表現することが重要だからこそ、「服装はフォーマルな感じであれば、比較的自由」なのではないか…という意見もありました!
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
日本の濃紺のリクルートファッションの文化はやはり独特のもので、韓国では比較的自由な服装文化がありましたね。容姿を重要視する韓国的思想の影響も垣間見られました。就活のために整形するという文化に驚いた方も多いのではないでしょうか。
似ているようで違いもしっかりもある隣国韓国。これからもちょっとした違いを皆さんにお届けしたいと思います。