はじめに
現役大学生を対象に「2025年 大学生が選ぶ流行語」に関するアンケート調査を実施しました。 本調査からは、万博開催で湧く表層的なニュースの裏側にある、Z世代独自の消費行動と、報道される「世間のニュース」に対する若者の冷静なスルー力が浮き彫りとなりました。
調査対象及び、実施の背景
先日の「T&D保険グループ 新語・流行語大賞」では、
2025年の流行語として 「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」/「女性首相」 が話題となりました。
しかし、これらの言葉は大学生の間でも浸透し、日常的に使われていたのでしょうか?
本アンケートでは、今回ノミネートされた流行語の中から、
大学生自身が考える「2025年に最も流行した言葉」を1つ選び、その理由や使用場面、さらにSNS(X/Instagram/TikTok等)での見かけ方について回答してもらいました。
対象:全国の大学生
期間:2025年12月1日〜2日
方法:オンラインアンケート
サンプル数:603名
質問項目
調査結果サマリー:2025年の大学生は「政治・社会」より「共感・体験」
2025年のランキング結果は、大阪・関西万博のキャラクターがトップに立ちつつも、2位以下にはSNS発の言葉がランクイン。一方で、連日ニュースで報じられた政治経済ワードは、学生の約6割〜8割が「流行していない」と回答するなど、「大人が騒ぐニュース」と「若者の流行」の乖離が見て取れます。
選ばれた理由
1位:ミャクミャク 270票
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20代・女性(関西) |
ミャクミャクブームが身近で起きており、ミャクミャクのキーホルダーやグッズをよく街中で見かけるようになったから。 |
| 10代・男性(関東) | 万博という滅多にないイベントのキャラクターとして世代を問わず、多くの人の関心を集めたと思うからです。 |
2位:エッホエッホ 165票
| 20代・女性(関東) | よく聞いてたし使うこともあったから。 |
| 10代・女性(関東) | TikTok だけでなく、多くのSNSプラットフォームで見たから。 |
3位:国宝(観た) 51票
| 20代・男性(関西) | 周りがほとんど全員見ていたから。 |
| 20代・女性(関東) | 友人間でも国宝観た?観た方が良いよ!という会話をよくしていたため。 |
「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」は41票の第4位の結果でした。
TOP3ワードが頻出していた媒体
先述したTOP3のワードはどの場面や媒体でよく使われたのかを表したのが以下の通りです。
その他のワードに対する流行度
今回のアンケート調査ではTOP3以外にも様々なワードの流行度を測ることができました。
以下は2025年多数のメディアでも目にした流行語の流行度です。
各ランクインワードの解説と「メディアとのギャップ」
【1位】ミャクミャク
〜「万博のキャラ」を超え、ファッションアイコン化した特異点〜
堂々の1位だった大阪・関西万博公式キャラクター「ミャクミャク」。 特筆すべきは選出理由です。
「万博というイベントだから」という認知に加え、「キーホルダーやグッズを街中で見かけるようになった(20代女性)」という声が多数寄せられました。 情報源としては「テレビ(24票)」と「SNS(48票)」が双方高く、マスメディアの露出とSNSでの「ネタ消費・グッズ消費」が相乗効果を生んだ、2025年を象徴する稀有な例と言えます。
【2位】エッホエッホ
〜情報源としての「テレビ」はゼロ。SNSだけで完結する熱狂〜
2位にランクインした「エッホエッホ」。 この言葉について当社が注目したのは、「どこで頻出していたか?」という設問に対し、「テレビ」と回答した学生が0人だったという事実です。
テレビ番組等で取り上げられていた可能性はありますが、学生たちの認識としては「SNS(43票)」「動画サイト(28票)」が圧倒的であり、テレビは情報源として機能していませんでした。 それにも関わらず、流行実感値(「流行していた」と回答した割合)は87.06%という驚異的な数値を記録。「大人が知らない(あるいは報じても届かない)場所」で、巨大なトレンド圏が形成されていることを証明しています。
【3位】国宝(観た)
〜アルゴリズムに頼らない、リアルな「口コミ」の復権〜
3位の「国宝(観た)」。 これは特定の展示会や推し活文脈で使われた言葉ですが、情報源として「友人などとの会話」が他項目と比べて高い数値(29票)を示しました。 「周りがほとんど全員見ていたから(20代男性)」「友人とも国宝観た?観たほうが良いよ!という会話をよくしていた(20代女性)」というコメントからは、デジタル全盛の時代にあっても、若者を動かす決定打は「リアルな友人の推奨」であることを示唆しています。
ニュースが報じる「流行」と、若者の「スルー力」
今回の調査で最も我々が注目したのは、報道量と反比例するように「流行しなかった」と判断された言葉たちです。
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「オールドメディア」:80.60%が「あまり流行していなかった」と回答
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「戦後80年/昭和100年」:84.08%が「あまり流行していなかった」と回答
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「トランプ関税」:60.20%が「あまり流行していなかった」と回答
これらは2025年に連日メディアを賑わせたワードですが、大学生の過半数が「自分たちの界隈では流行っていない」と冷静に回答しています。 社会的に重要なニュースであっても、それが「若者の会話」や「SNSのタイムライン」に乗らない限り、彼らにとっては「存在しない流行」として処理されている実態が浮き彫りになりました。
まとめ
大学生をはじめ若者が反応するのは、「身体的な体験(グッズを持つ、踊る)」や「半径5メートルの会話」です。
企業が若者にアプローチする際、「世の中で話題だから」というマスメディア的な文脈だけで語りかけることは、もはや届かない可能性があります。彼らが生きる「テレビが情報源にならない経済圏」のインサイトを深く理解することが、今後のマーケティングの鍵となります。
株式会社ビーウェルでは、大学生やZ世代のデータ分析を基に、最適なマーケティング戦略を提案します。新たなプロジェクトのご相談やターゲット層の深掘りをお考えの方は、ぜひ以下のリンクよりお問い合わせください。